C. H. Lawrence, The Friars. The Impact of the Mendicant Orders on Medieval Society
, London-New York, I. B. Tauris, 2013
多くの文献 (*)
(*)
たとえば、赤江雄一「托鉢修道会―中世後期の信仰世界―」『西洋中世研究』 9
、 2017
年、 2-7
頁、 三浦麻美『「聖女」の誕生―テューリンゲンの聖エリーザベトの列聖と崇敬―』八坂書房、 2020
年
。
著者のローレンスはロンドン大学ロイヤルホロウェイカレッジの中世史講座名誉教授。本書のほかにも、中世修道制の基本文献として Medieval Monasticism. Forms of Religios Life in Western Europe in the Middle Ages
, 2015
があります(が、のぽねこ未見)。
本書の構成は次のとおりです(拙訳)。
―――
謝辞
脚注で用いられる略号
新版への序文
第1章 危機のなかの中世教会
第2章 アッシジの聖フランチェスコと小さき兄弟会 [
フランシスコ会 ]
の起源
第3章 小さき兄弟会の成長、危機と変容
第4章 聖ドミニクスと説教者修道会 [
ドミニコ会 ]
第5章 新たな修道士たち
第6章 都市への伝道
第7章 学校の獲得
第8章 聖職者の不平
第9章 王への宮廷で
第 10
章 教皇職への奉仕
第 11
章 遠く異邦人のために
エピローグ 失われたものと得られたもの
精選参考文献目録
索引
―――
新版への序文で、本書の焦点は、 (1)
托鉢修道会が 13
世紀に興隆した社会的文脈と、 (2)
托鉢修道会が社会や宗教的経験に与えた影響の2点とされます。常に、托鉢修道会と社会とのかかわりが意識された論述となっています。
目次をなぞるようなかっこうになりますが、本書は、エピローグを除き、大きく3部に分けることができるでしょう。
第1部にあたる第1章は異端や大学の誕生など托鉢修道会誕生の背景を描きます。
第2部にあたるのは第2章から第5章で、主要な托鉢修道会の概観です。第2章~第3章がフランシスコ会の成立と展開、第4章がドミニコ会の同じく成立と展開、第5章がその他の托鉢修道会を見ていきます。
第6章以下は、托鉢修道会の社会での活動の諸側面を論じます。内容は章のタイトルどおりですが、第 11
章について補足すると、アラブ人やモンゴル人への宣教活動が取り上げられています。また、面白かったのは、第7章で論じられる学校(大学)に托鉢修道士が進出し授業を行うようになるのですが、その目的のひとつに学生を自分の修道会にリクルートすることがあったという指摘です。
ざっとの記事になりましたが、本書は、中世における托鉢修道会の概要を得られる基本文献です。
(2022.10.27 読了 )
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