仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2025.11.17
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カテゴリ: 東北


よく、その県の県民のうち、自県出身者の次に多いのはどの県の出身者か、という話題が上るが、それをマップにしたものを見ることもある。東日本の県では東京都が多く、関西では大阪府が、九州では福岡県が多いようだ。

こうした議論の根拠になるのが、人口移動調査である。
■国立社会保障・人口問題研究所  第9回人口移動調査

第9回(2023年)の調査結果を見てみよう。「Ⅳ.出生地と現住地」では、調査対象者の現住地(調査時の居住地)と出生地を都道府県単位で比較している。

各県で生まれた人が調査時どこに居住しているか (表Ⅳー1)では、どの県でも調査時の半数以上は出生した県に住んでいる。従って、どの県においても出身は地元の県が第1位だ。もっとも、東北や九州ではその割合は他より低い傾向にある。

・出生地と同じ県に住んでいる割合(カッコ内は、他県に住んでいる割合、上位3県、%)、前回第8回

 全国67.8  (東京都5.7 神奈川県3.8 埼玉県2.9) 68.6
 北海道80.2 (東京都5.2 神奈川県3.4 千葉県2.3) 79.4

 岩手県63.0 (東京都8.1 宮城県 5.7 千葉県4.6) 67.7
 宮城県74.3 (東京都5.7 神奈川県4.7 埼玉県2.4) 77.5
 秋田県61.8 (東京都9.7 神奈川県6.6 埼玉県4.6) 65.4
 山形県67.8 (東京都6.4 神奈川県5.2 埼玉県4.8) 70.6
 福島県63.5 (東京都7.6 埼玉県6.2 神奈川県4.7) 68.4

他県に住んでいる人の現住地の第1位は、東日本では東京都となっている県が大半だが、群馬県では埼玉県が第1位(東京都が第2位)、東京都の場合は、神奈川県、埼玉県、千葉県となる。岐阜県と三重県で愛知県が第1位に、福井県と滋賀県で大阪府が第1位になるが、以西では、広島、福岡、沖縄で東京都が第1位になっている以外は、多くの県で第1位を占めるのが、大阪府、福岡県だ(兵庫県、広島県も登場する)。

表Ⅳー2は、 その県に住んでいる人が、どこで出生したか 。どの県でも、現住地の県で出生した割合が一番高い。こうした同一県出生者の割合は、東京圏や大阪圏で相対的に低い。現住地と別の県で生まれた人については、近隣県の出生者が多いが、三大都市圏以外の地域では隣接していない東京圏や大阪圏の出生者が相対的に多い地域もある。

・現住地と同じ都道府県で生まれた人の割合、カッコ内は、他の都道府県・国外で生まれた人(割合の高い上位3地域、同順位がある場合は5地域まで)、他県だが県名不詳、出生地不詳。最後は、現住地と同じ県で生まれた人の前回第8回の割合(単位は%)

 全国67.8 ( 東京都3.3 大阪府1.9 国外1.4 0.9 2.7) 68.6
青森県 0.7 0.5 2.2) 87.3
 青森県87.1 ( 岩手県 3.2 北海道1.2 宮城県 1.1 0.3 2.9) 86.4
 岩手県85.3 ( 宮城県 秋田県 1.3 青森県 1.0 0.2 4.0) 87.6
 宮城県75.0 ( 岩手県 4.0 福島県 2.8 山形県 2.6 0.7 3.4) 73.4
 秋田県87.6 ( 青森県 1.6 千葉県1.1 北海道0.6 岩手県 0.6 福島県 0.6 0.2 3.2) 88.0
 山形県91.2 ( 宮城県 0.9 千葉県0.7 東京都0.7 神奈川県0.7 0.6 1.6) 84.4
 福島県82.3 (国外4.0 岩手県 1.4 宮城県 1.2 0.2 3.2) 84.0

出身を出生地の県と定義した上で、話題性のある話を進めるとすれば、宮城県居住者のうち他県出身者は岩手県出身が一番多く、岩手県では逆に宮城県出身者が他県で一番多い。このように他県出身者の第1位が対になっている「相互交流ペア」は、他では、東京都ー神奈川県、富山県ー石川県、岐阜県ー愛知県、大阪府ー兵庫県、福岡県ー長崎県、宮崎県ー鹿児島県、のようだ。





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最終更新日  2025.11.17 08:40:04 コメントを書く


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