2023年09月20日
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美空ひばりさんの273枚目のシングル。30周年記念曲。
1976年7月1日発売。

この曲は発売までに特別な逸話のある楽曲です。






A面「さくらの唄」
作詞 なかにし礼さん  作曲・編曲 三木たかしさん

なかにし礼さんが1970年代後半に兄の膨大な借金の保証人になって失意のどん底の中この歌詞を書いた。
ある意味、遺言状のつもりで書いたと語っている。
曲を三木たかしさんに頼み出来上がった。
この時点では美空ひばりさんが歌うなんて事は想像もしていなかった。

しかし、まったく売れなかった。
そんな経緯のある楽曲を耳にした久世光晴さん(TBSの有名演出家)が、
この曲と同じタイトルの「さくら」というドラマを作り、この曲を主題歌にして美空ひばりさんに
歌ってもらおうと考えた。

人が一度レコーディングした曲をカヴァーしてシングル曲にする事は
それまでの美空ひばりさんにはなかった。
それもほとんどヒットしていない曲。

ひばりさんのスタッフは当然、断った。

それでも久世さんはひばりさんの公演中の楽屋に赴き直接、交渉した。
三木たかしさんがレコーディングしたものを楽屋で流した。
なかにし礼さんのどん底な状況も説明してこの曲を聞いてもらった。

そして2回目流れる歌に合わせひばりさんは口ずさみ歌っていたらしい。

アコースティックギター1本で始まる完全なフォークソングアレンジ。
自分はこの曲を10代の頃に初めて聴き、美空ひばりさんの凄さを思い知った。
この曲を聴いてから美空ひばりさんを見る目が変わった。
歌謡界の女王のイメージよりも人間臭さを感じてから美空ひばりさんの歌を聴くようになった。


でも、ドラマ主題歌としてこの曲を耳にした人は凄い数だったと思う。
フォークな曲なのでひばりさんファンも当時はいい曲だと思っても
買う所まではいかなかったのかも知れない。
この一つ前のシングルが30周年記念曲第一弾の「雑草の歌」です!
あの壮大で感動的な人生の応援歌の次がシンプルすぎるフォーク曲だったのでがっくりした人も
いたのかも知れない。そりゃ「雑草の歌」は名曲だしキャッチーな曲なので次もこんな曲を期待するのは
当然だとは思う。
B面の「夜の雨」も当時、売れてたタイプの演歌曲。これも良い曲だった。

この「さくらの唄」を聴いた事がない人は聴いてみてほしい。

「♪ 何もかも僕は なくしたの 生きていることが つらくてならぬ
  もしも僕が死んだら友達に ひきょうなやつと 笑われるだろう・・・笑われるだろう」

こんな歌詞で始まるかなり重く暗いフォークナンバーです。
歌い方もいつものひばりさんの堂々とした歌唱を封印して、かなり声も感情も抑えて
聴く人の心の中に染み込んでくる声で歌っています。



B面「おんな酒」
作詞 なかにし礼さん  作曲 三木たかしさん  編曲 佐々永治さん

イントロもオーソドックスな演歌曲のようですが、歌バックはこれもフォーク曲のような印象も感じる
アコギのアルペジオ。フォークと古賀政男メロディを合わせたような悲しい曲です。
この曲でのひばりさんの歌唱は伸びやかなハイトーンファルセットも使っています。
いい曲です!

2016年にこの「さくらの唄」は再度 マキシシングルとして発売されました。
未発表のギターヴァージョンとオリジナルヴァージョンを収録。






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最終更新日  2023年09月22日 08時39分57秒
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