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お人好しで夢見がちなひとりの女性が、様々な出来事に遭遇し、色々な人々との出会いを通じて新たな自分の人生を歩んでいく姿を描く。 ちょっといい話ではないですか~ 好みです。麻生久美子のプロモーション的な映画かと思いましたが、それだけでは終わらない、なかなか良く出来たほのぼの系恋愛&ドラマでした。べっぴんさんな麻生演じるエイコは、優柔不断でお人よしでそのために多額の借金まで抱えている、一見だらしのない女の子。なんだかな~と思いながら観るうちに、孤独や淋しさを抱え生きてきた本当の姿が次第に描かれていって、いつの間にかエイコが好きになってしまうという、なかなか上手い展開です。内容も進めば進むほど良くなり、楽しめました。借金の取り立て屋に追われ自宅に帰れないエイコは、社長を頼ってマンションを訪れます。ところがそこに居たのは見ず知らずの初老の男。江ノ本(沢田研二)と名乗るボケかけたその男に、人違いで招き入れらたエイコは、身分を偽ってその部屋で暮らし始めるのですが...孤独で寂しい気持ちをつい買い物で紛らわせて、傷つきたくないから変に優しくて断れない、そんなエイコは借金だらけ。なんとなく、この間読んだ宮部みゆきの「火車」を思い出しました。どうしてそんな性格になったのかは次第にわかります。そして、なぜ社長宅に江ノ本が居たのかも。。男の人が代わりに荷物を持ってくれるだけで感激~そんなエイコが段々可愛くなってきて、明るい未来が見えたときには嬉しかった! 優しくしてもらったことのない彼女がやっとみつけた幸せ。ほのぼのしたハッピーエンドが好きでした。たったひとりにでも、心から愛してもらえれたら幸せになれる。そういう気持って、だれにでもあると思います。映画は初めての監督。作品は平凡だしスマートではないけれど、センスある展開が良かったです。音楽も好き。 それにしても沢田研二が‘おじいちゃん’役とは驚きました。当時55歳くらい? 恋愛に発展してもおかしくないくらいに見えたんだけれどな~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 加門幾生 出演 麻生久美子 、沢田研二 、袴田吉彦 、南果歩 、玉山鉄二 、宇梶剛士
2006.03.29
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(あらすじ)1914年、第一次大戦中のアラブ。砂漠の利権を狙い侵攻するトルコ軍とアラブ人たちとの激突、大英帝国の介入と、激動するアラブ社会に突如現れた英国人T・E・ロレンス。砂漠とその民を深く愛し、しかし英国人であるがために深い挫折に追い込まれていく青年リーダー ロレンスの苦悩を描いた、砂漠の一大戦争スペクタクル。 1962年に製作されてから、一部カットされたりプリントが裏焼きになったりしていたという本作。欠落部分を探しだして、最終的に216分に復元したのがこちら。スコセッシ、スピルバーグ等の働きかけにより88年に「完全版」として上映されました。デヴィッド・リーン自らが当初の編集の間違いを正して、全編にわたって細かい復元がなされています。画質の劣化も蘇った映画史に残る傑作。 長い作品でなかなか観ることができなかったので、鑑賞後はちょっと感激してしまいました。思っていた以上に楽しくて、映画史に残る傑作をやっと観られて嬉しいです。今はもう撮ることはできないであろう砂漠での壮大なシーンの数々に圧倒。そしてなんだか感慨深くもあり、D・リーン監督の偉大さを改めて感じました。「首長アリを演じたオーマ・シャリフ」「初めて民族衣装に袖を通し悦にひたるロレンス(ピーター・オトゥール)」アラブを愛した男の栄光と挫折の生涯。彼の非凡さは画面を通して見事に伝わります。野心家であり自信家であるロレンス。殺戮を楽しみ始める件、血を浴びて正気を失った目、普通に戻りたいと哀願する様・・・変わり続ける彼の姿には捉えようのない何かが宿っているよう。ロレンスの躍進の陰でずっと彼を支え続けたハリス族首長アリ(シャリフ)が溢した言葉は全てを物語っている。「敬愛しながら、恐れていた」飾らない姿は好かれても、何をしでかすか分からない怖さを持った人こそ、T・E・ロレンスだったのでしょう。ホウエイタット族の首長アウダ(アンソニー・クイン)と手を組み、トルコ軍の重要地点アカバを襲うシーンは、噂どおりの迫力でスケールも圧巻です。砂漠の上では何者も敵わないアラブの民の力を見せ付けられました。ロレンスが何故彼らに憧れたのかわかるほど、勇ましい男たちの勇姿。広い広い砂漠に映えて、厳しい自然に負けずに生きている人々の強さと誇りまで感じるよう。第一次大戦ころのトルコ、アラブ、そしてイギリスの関係は、観る前まで殆んど何も知らない状態でした。勉強してから鑑賞すればもっと良かったかもしれません。ガリポリの戦いの裏で、陸の砂漠側ではこんなことが繰り広げられていたとは。結局ロレンスのやったことは、イギリスの国益にばかり利があったのかと思うとすこしやりきれなくて寂しい気もしますが、その後も孤独ではなかったようだし、軍人として生きたようです。46歳にバイク事故で亡くなるまで。観終えた後残るのは、やっぱり砂漠の情景。あの辛く過酷な砂漠での出来事は、観るものまで灼熱の下に置かれたみたいな錯覚をおぼえる名シーンではないでしょうか。CGもなにも使わずに作られたこと、考えれば考えるほどそのすごさに驚かされました。名優が勢揃いしたキャスティングと演技も魅力。個人的にはオーマ・シャリフが良かったです。「ドクトル・ジバゴ」とはまた違った善良な砂漠の首長を演じる姿が素敵でした。アカデミーでは賞を逃していますが、ゴールデングローブで助演男優を獲得しています。 監督 デヴィッド・リーン 製作 サム・スピーゲル 原作 T・E・ロレンス 脚本 ロバート・ボルト 撮影 フレデリック・A・ヤング ニコラス・ローグ 編集 アン・V・コーツ 音楽 モーリス・ジャール 出演 ピーター・オトゥール アレック・ギネス オマー・シャリフ
2006.03.27
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ドイツ占領下のパリ。女優マリオンは、国外逃亡したユダヤ人で支配人兼演出家の夫ルカの代わりにモンマルトル劇場を切り盛りしている。しかし実際は劇場の地下で夫を匿っているのだった。新しい演出家ジャン=ルーと、相手役に名優ベルナールを迎え、新作『消えた女』は好評を持って迎えられるが、評論家ダクシアは芝居をユダヤ的と非難する。そんな折、抜き打ちのゲシュタポの捜査が行われるのだった……。 強烈なものはないけれど、厳しい時代に劇場で働く人々の生活をじっくり堪能できました。夫ルカと共演者ベルナール(ドパルデュー)のふたりを愛したマリオン(ドヌーヴ)。気丈に険しい時代を生きながら、市民の楽しみであった劇場を守り続けた彼女の聡明な姿は、気持が良いほどさっぱりとしていて魅力があります。役者という難しいであろう役を見事に演じた、女優カトリーヌ・ドヌーヴには、始終美貌と確かな演技で惹きつけられました。もちろん他の出演者たちも素晴らしい。劇場の地下で、上階から聞こえる稽古の声を聞きながら、必死に800日に及ぶ潜匿生活を送ったルカ。彼の芝居への情熱を受け止めながら、密かな生活を守り続けたその妻。ふたりに愛がなかったのか...。そこには分かりにくくはあるけれど、私には情に近い愛があったのではないかと感じました。その上で、共演者ベルナールとも惹かれあっていたのではないかと思うのです。その愛を夫ルカに知られ、ベルナールのレジスタンス活動もきっかけとなり、別れを余儀なくされるふたり...。さりげない切なさが好きでした。ナチスドイツの暴虐が終焉したラストで、三人が再び舞台に会するシーンが素晴らしい。じんわりとした感慨に浸れる良い作品でした。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督・製作 フランソワ・トリュフォー 脚本 フランソワ・トリュフォー シュザンヌ シフマン 撮影 ネストール・アルメンドロス 音楽 ジョルジュ・ドルリュー マルチーヌ・バラケ=キュリー 出演 カトリーヌ・ドヌーヴ ジェラール・ドパルデュー ジャン・ポワレ ハインツ・ベネント ポーレット・デュボスト ハインツ・ベンホント
2006.03.22
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ベルリンのグランドホテルを舞台に、落ち目のバレリーナ、男爵と偽っている宝石泥棒、野心家の女性速記記者、破産の危機に瀕している実業家、病に冒され余命わずかな男など、様々な事情を抱えた男女5人が繰り広げる人間模様。 昨年公開の「THE 有頂天ホテル」がとても面白かったので、その形式の元になった元祖「グランド・ホテル」を早速借りてきました。陽気な作品を想像していましたが、意外とシリアス。味わいあるドラマがホテルのみを舞台に巧みに展開していきます。5人の人生と事情が交差して絡んでいく、秀逸な作品でした。病気で死の宣告を受けた経理課勤務のクリングライン(L・バリモア)が、自暴自棄になりながらも、人生を楽しもうとする姿が印象に残ります。限りある人生、豪華なホテルでせめて豪遊してから死にたい―。はじめは弱々しかったのに、次第に生き生きとしてきて、まさかの幸せまで手に入れる様がすごく面白い!速記記者の女性(ジョーン・クロフォード)や落ち目のバレリーナ(グレタ・ガルボ)には、なんといっても花がありますね~。満たされない思いを抱えて日々を生きる女性たちも、この人生のルツボ「グランド・ホテル」で新たな恋や別れに遭遇するのです。男爵(ジョン・バリモア)の正体が分かった時は単純に驚いてしまいました。多額の借金を抱えた彼は、男爵と名乗りバレリーナの宝石を虎視眈々と狙う泥棒。そして誰よりも紳士的な態度と優しさを秘めた存在は、物語をますます複雑に楽しくしてくれます。「恋に落ちたバレリーナと男爵」はじめは舞台劇になり、それからこの映画が作られたそう。「THE 有頂天ホテル」もそうでしたが、舞台のような雰囲気が漂っています。それでも上階から捉えた、フロントの鮮やかな床の模様の中で人々が行き来する姿など、映画ならではの見所もたくさんありました。70年前の作品だなんてすごいですね!先日の「オーケストラの少女」もそうでしたが、今も人々に鑑賞され続けてる古典作品にはそれだけのわけがあるんだな~ってあたり前だけど感心してしまいました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 エドマンド・グールディング 製作 アーヴィング・G・サルバーグ 原作 ヴィッキ・バウム 撮影 ウィリアム・ダニエルズ 美術 セドリック・ギボンズ 出演 グレタ・ガルボ 、ジョン・バリモア 、ジョーン・クローフォード 、ウォーレス・ビアリー 、ライオネル バリモア
2006.03.20
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仕事にあぶれた楽団員の父を持つ少女パトリシアが、100人以上の失業楽士を結成し、カーネギーホールでの公演を成功させていく姿を描いた音楽映画。 アメリカ映画らしい古典映画のサクセスストーリー。少女の頑張りで100人の失業音楽家たちが救われるという、ほのぼのと気持の良いお話です。ストコフスキーを指揮者にカーネギー・ホールでの公演を成功させるまで、パトリシアが笑顔を絶やさず奔走している姿には、元気が湧いてきます。少数のお金持ちや実力者の善意に救われる、仕事にあぶれた善良な市民たちをみていると、貧しい人々を救済することは意外と簡単なのかもしれないと感じます。それが現実でなかなかできないのは、やはり善意がたりないのでしょうか。。パトリシアを演じるディアナ・ダービンの歌声の、伸びやかな美しさに聴き入ってしまいました。物語でも彼女の美声は皆の心を動かし、カーネギー・ホールでの公演という夢のような舞台を設けることに一役買っているのです。ついで、その歌声もホールで披露されることに。劇中に登場するストコフスキーことレオポルド・ストコフスキーは、ロンドン生まれの個性的な指揮者。演じているのはご本人でした。オーケストラの演奏も聴き応えあって楽しい古典映画でした。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 ヘンリー・コスター 製作 ジョー・パスターナク 脚本 ハンス・クレーリー チャールズ・ケニヨン ブルー・スマニング ジェームズ・マルハウザー ハンス・クレイリー 原作 ハンス・クレーリー 撮影 ジョゼフ・バレンタイン 音楽 アンドレ・プレヴィン チャールズ・プレヴィン 出演 ディアナ・ダービン アドルフ・マンジュー レオポルド・ストコフスキー アリス・ブラディ ユージン・パレット
2006.03.19
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60年代の香港を舞台に、6人の男女の恋の行方をスタイリッシュな映像で綴った恋愛ドラマ。愛を知らない主人公と、彼を愛する女たち。交錯するそれぞれの想いは、雨音にかき消されて行く・・・。 60年代の青春と恋愛劇、叶わない想いが切なく、出会いと別れを繰り返す彼らに懐かしさを感じました。ウォン・カーウァイによる、監督2作品目。初期の頃の作品ですが、大好きな「恋する惑星」「天使の涙」の原型がすでに出来上がっているようでした。女性的なお洒落な雰囲気はまだ少ないけれど、登場人物たちの生活の暗部や寂しさや身勝手さなど、負の部分に焦点の当てられたこちらには、前作とは違った良さがあります。いたるシーンで画面の片隅に映し出される時計。時間が鍵になって、5人の中に流れているそれが交差することで生まれる何か…それは恋であったり友情であったり。主人公のひとり退廃的に生きるヨディ(レスリー・チャン)は、ダンサーのミミ(カリーナ・ラウ)とサッカー場で働く女 スー(マギー・チャン)に愛されますが...。どの恋にも真剣にならず、いらなくなれば捨てるのが彼の生き方。生みの母を探し求め、義母の束縛で傷ついたぶん、人にも辛く当たってしまうという、どうしようもない男なのです。演じたレスリー・チャンが不似合いと感じたのは、いい人のイメージが強いからでしょうか。どれが愛だったのか、どの出会いが真実だったのか。彼の命の時計が止まる時に気付くなんて、あまりに遅すぎました。ミミとスーに想いを寄せる男がそれぞれ現れて、物語は5つの心の視点ですすんでいきます。絡みがあるのは5人ですが、アラスジなどで6人と書かれているのは、ラストシーンのみに登場するトニー・レオンのこと。彼が第6の人物となる予定だったそうですが、続きは作られず、終わりに違和を感じてしまい、すこしもったいないかも。「スーと彼女に密かに想いを寄せる警官(アンディ・ラウ)」洒落た音楽、流れるような映像などの斬新さは、当時のままに今も楽しむことができると思います。語り草となっている映像美、クリストファー・ドイルの撮る幻想的なカメラワークと主人公たちのとても魅惑なショットは、本当に素晴らしいです。ウォン・カーウァイ作品の大半は彼によるもの。突然アクションで終盤が大きく変わる展開は多少劇的過ぎましたが、後味は悪くないです。ハッピーにはなれないけど、心地よい倦怠感が残る青春もの恋愛ものとして、なかなかでした。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督・脚本 ウォン・カーウァイ 製作 ローヴァー・タン 製作総指揮 アラン・タン 撮影 クリストファー・ドイル 美術 ウィリアム・チャン 出演 レスリー・チャン カリーナ・ラウ マギー・チャン ジャッキー・チュン トニー・レオン アンディ・ラウ
2006.03.17
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1983年のロンドン。22歳のスイス人家庭教師エリザベスは、父親の負債を救うため、イギリス人貴族チャールズからある提案を受諾する。それは子供のいないチャールズのために、彼の子供を産むことだった。そして7年の歳月が流れ、彼女は家庭教師として未だ見ぬ我が子と再会するが...。 とても素敵な物語でした。冬の凍えそうなイギリスを舞台に、男と女の絆、そして母娘の絆を描きます。父親の窮地を救うため、名も知らぬ男の赤ん坊を身ごもり、出産することを受諾したエリザベス。男はイギリス人の貴族で、チャールズには事故で植物人間となった妻がいました。理由を語ることなく共に過ごした3夜は、それぞれの胸に暖炉の炎のように温かな想いと情炎を残します。7年後、我が娘の産声を忘れられないエリザベスは、再会できる唯一の手段である家庭教師として、男の邸を訪れるのです。再会した娘ルイザは母の愛を知らず、父親に溺愛されて我がまま放題。驚きを隠せないエリザベスでしたが、母としてルイザに向かい合う彼女の姿は力強く、優しさに胸うたれます。いつしかルイザの心も溶解するのですが・・・大人たちもまた苦悩をかかえています。植物人間となった夫人を10年に渡り看病し続けている邸は、まるで牢獄のようなのです。ルイザの寂しい気持ち、チャールズの悦びを抑圧した人生、我娘に真実を打ち明けられずにもがくエリザベス、この10年、密かに義兄チャールズに想いを寄せながら邸を守ってきた夫人の妹・・・・。それぞれが心痛めて暮らしている切なさ。幸せになりたい…そう願う優しい人々が、やがて牢獄のような邸から、光の差すほうへと歩みだせる一歩を手にするまで―――。エリザベスが愛しいのに、妻を気遣う優しさゆえ、一線を越えられないチャールズ。図らずも、父と母と娘がひとつ屋根の下に引きあわされる運命、どこをとっても切ないドラマがあり目を逸らすことができません。みんなが好感持てる人物で、だれにも幸せになる権利があって、ハッピーエンドを心から願ってしまいました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督・脚本 ウィリアム・ニコルソン 製作 ブライアン・イーストマン 撮影 ニック・モリス 音楽 クリストファー・ガニング 出演 ソフィー・マルソー スティーヴン・ディレイン ケヴィン・アンダーソン リア・ウィリアムズ ドミニク・ベルコート ジョス・アックランド サリー・デクスター
2006.03.15
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チャーリー少年は、失業中の父と母と寝たきりの祖父母4人の7人家族。貧しくても幸せに暮らしていました。ある日、家の近くにある謎に包まれたウィリー・ウォンカのチョコレート工場から、「“ゴールデンチケット”を引き当てた5人の子供とその保護者を工場に招待する」というニュースが流れます。両親は少年の誕生日になけなしのお金で一枚のチョコレートをプレゼント。果たして当たりチケットは出るのか?そして工場の中で行われていることとは―? 大人気のこの作品、やっと観ることができました。ティム・バートンの描き出す色鮮やかな映像美は期待以上で、最後まで楽しむことができました。子ども向けにしては長いのかもしれない、ほぼ2時間。選ばれた5人の子どもがひとりまたひとりと、不愉快な順に消されていくなんて、結構なブラックユーモア。主人公が絵に描いたように貧乏で純真な少年というのも、寓話チックです。素直で誠実な子が幸せになれる―そういう普遍的なテーマがしっかりと根付いています。「ウンパ・ルンパ」中盤すこし、子どもたちが減っていくのが繰り返されるあたり、しつこく感じてしまいましたが、ディープ・ロイ演じるウンパ・ルンパの各種ミュージカルでその都度楽しませてくれて良いです。気分が変わる。同じ顔をした小人が何十人も集まって奇妙な踊りと歌を披露する。とても勢いのあるシーンです。おかげで大人も子どもも退屈しませんでした。 少年の家族もいい味出してます。4人の祖父母から父母にいたるまで、期待を裏切らない会話と優しさとほのぼの感でいっぱいです。気に入ったのは彼らの家。大きく傾いて建ってるボロ屋は、ドアも家具もやっぱり傾いていて、室内のシーンさえ摩訶不思議に歪んで見える!平行とは無縁のハウスなのです。工場主であるウィリー・ウォンカを演じたジョニー・デップ。ちょっとくすんだ肌色とその質感、なんだかお人形のようでした。歯科医の父親からチョコレートを始めお菓子を禁じられて育ったウォンカは、隠れて食べたチョコの禁断の味に魅せられて、ついには家出した過去が。。以来‘両親’‘家族’というものに嫌悪感とトラウマを抱えているのです。ウォンカ工場長のトラウマは癒されるのか..そこにも注目ですね。もちろんチャーリー少年が鍵になるのは必然です。ユニークでカラフルな映像で視覚も大喜びな作品でした。‘71年にはじめて映画化された「夢のチョコレート工場」も気になります。観てみようかな。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原作 ロアルド・ダール 『チョコレート工場の秘密』監督 ティム・バートン 脚本 ジョン・オーガスト 音楽 ダニー・エルフマン 出演 ジョニー・デップ 、フレディ・ハイモア 、ジュリア・ウィンター 、アンナソフィア・ロブ 、ジョーダン・フライ 、フィリップ・ウィーグラッツ 、デヴィッド・ケリー 、ヘレナ・ボナム・カーター、 ディープ・ロイ
2006.03.15
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マリーとジャンは結婚して25年になる50代の夫婦。子どものいないふたりは例年通りランド地方の別荘で夏を過ごしにやってきた。しかし、マリーが浜辺でうたた寝をしている間にジャンの行方がわからなくなる。捜索も虚しく、数日後、マリーはひとりパリへと戻るのだが―。 長い歳月をともに過ごしてきた幸せな夫婦に、突如起こる悲劇。海へ行ったきり夫の行方が分からなくなり、突然ひとりになった妻は事実を受け止められない。自分を見失った生活がはじまるのです。夫のまぼろしを追う生活、それは淡々と続きます。異性との出会いも仕事も通り越して、夫のことだけが頭から離れない。心では分かっていても、‘死んだ’という事実を受け入れられないのです。そしてある時気付くのです、全く知らなかった夫の心の闇に... 中年女性マリーが、身動きとれずに暮らす姿が痛々しかった。彼女を愛してくれる人が現れても、マリーは過去の思い出から逃れられないまま。義母との確執が突破口となるまで、ひたすらにまぼろしを追うのです。普段から当たり前の様に傍にいた人間が消えたら、もちろんすぐになど立ち直れません。愛していたぶんだけ悲しみは深く、彼女と同じように過去にすることが出来ないでしょう。けれど、突きつけられた現実に向っていくことができなければ、自分のために生きることはできない。主人公マリーは果たして乗り越えていくことができたのか...涙のその後が不安になるラストでした。孤独な中年女性を演じたのはいつまでも魅力的なシャーロット・ランプリング。フランソワ・オゾン作品では「スイミング・プール」でも作家役で出演しています。台詞のない時でも思わずじっと見つめてしまう彼女の魅力が、作中に漂っていました。 それにしても、25年一緒に居ても相手の心が分からなかったなんて、、悲しい。相手が死にたいと思っていたことも、大切なことを打ち明けてくれていなかったことも、残されたマリーにとっては青天の霹靂。ただ、それに対して溜息が出るような後ろ向きな態度しか取ることができないのが、マリーらしさなのです。悲しいけれど。人間は奥深くて複雑で、だからこそ惹かれる。面白い―そう感じるからこそ、私は映画を観て、色んな人の人生のドラマに喜怒哀楽しているのだなあ。こういう作品を観ると、そのことを改めて実感します。 監督 フランソワ・オゾン 製作 オリヴィエ・デルボスク 、マルク・ミソニエ 脚本 フランソワ・オゾン 、エマニュエル・ベルンエイム マリナ・ドゥ・ヴァン 、マルシア・ロマーノ 撮影 アントワーヌ・エベルレ ジャンヌ・ラポワリー 音楽 フィリップ・ロンビ 出演 シャーロット・ランプリング 、ブリュノ・クレメール 、アレクサンドラ・スチュワルト 、 ジャック・ノロ 、ピエール・ペルニエ
2006.03.13
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正義に燃える若き弁護士アーサー・カークランドは、法規を振りかざすフレミング判事と対立関係にあったが、ある日、フレミング判事が婦女暴行罪で訴えられ、アーサーに弁護を依頼してくる―――。 『セルピコ』『狼たちの午後』に次ぐアル・パチーノの社会派ドラマ。腐敗した司法制度に立ち向かう、若き弁護士の姿を描いた秀作。正義とはなにか――真っ向から疑問と矛盾を投げかけます。主人公アーサーの憤りや悔し涙に同情しながら、腐敗した裁判所の中に良心を探すけれど、見つかりません。どこまでも辛い展開に、追い込まれるばかり。‘正義’を執行していない裁判官らと、弱者のために懸命に動き回る若き弁護士たち。双方の温度差が印象に残ります。どうして苦しむのは正しい行動をとっているほうなのだろう、、。やるせない矛盾に腹が立ちます。アーサーが怒りを爆発させるシーンは、そのまま見ている自分の衝動と重なり、暴れるアル・パチーノに終始感情移入。よくやった! そう心から思えてしまう。司法制度は腐り切り、フレミング判事はあまりにも汚い。今壊しても、またなにも変わらない明日が待っているのでしょう。けれど主人公のような弁護士がひとりでも居てくれたら、少しでも希望が持てるというもの。いると信じたいです。「怒り爆発のアーサー」アーサーをひとりの人間として魅力的に思えたのは、恩人である祖父とのシーンや恋愛を絡めたからでしょうか。脚本も見事でした。社会派でありながら、法廷もの独特の重さをあまり感じず、テンポのあるドラマに仕上がっています。いかにも‘70~80年代という音楽が心地よいと思ったらデイヴ・グルーシンという有名な方。にわかに爽快なラストは後味も抜群。● ● ● ● 監督 ノーマン・ジュイソン 製作 ノーマン・ジュイソン 、パトリック・パーマー 製作総指揮 ジョー・ワイザン 脚本 ヴァレリー・カーティン 、バリー・レヴィンソン 撮影 ヴィクター・J・ケンパー 音楽 デイヴ・グルーシン出演 アル・パチーノ 、ジャック・ウォーデン 、リー・ストラスバーグ
2006.03.12
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マカロニ・ウエスタンの雄セルジオ・レオーネが米進出したウエスタン大作。殺された農場主の妻が、流れ者のガンマンの手を借りて、鉄道会社の陰謀と戦う。 マカロニウエスタン、たぶん初鑑賞です。この濃さ半端じゃありません。どのシーンをとっても重圧でずっしりくる、まさに男気映画という感じでした。三人の男をひたすら無言で描く冒頭は、無言なだけによけい怖くて、始まりから何が起こるのかと目が離せませんでした。それが、すぐに殺される脇役だったと知って、かなりの驚き。しつこいくらいにじっとり見せながら、ただの端役だったなんて...!その流れはずっと続き、何処をとってもじとーっと熱い粘りを感じました。脇だろうがなんだろうが関係ない、どこまでも重くエキゾチック。ハモニカ、シャイアン、フランク。この三人の男の存在感といったら、圧倒されるばかりです。チャールズ・ブロンソン、ジェイソン・ロバーズ、ヘンリー・フォンダがそれぞれ演じた悪い男。ハモニカとシャイアンは未亡人を助けた粋な役どころで根っからの悪人ではありませんが、ヤクザな雰囲気はそのまま最後まで彼ららしさとして続きます。ハッピーエンドの明るさ微笑ましさが微塵もないのもひとつの驚きでした。腹の底から恐ろしい残忍な男たちの中に、突如飛び込むこととなった未亡人ジル(クラウディア・カルディナーレ)。彼女の気丈な美しさが、物語に花を添えていて印象的。開拓に力を注ぐ男たちのロマンと、壮大な線路工事の情景が、ラストで酒を振舞う逞しいジルの姿と相まって、爽やかに感動しました。男性にはたまらない名作だと、観てみて納得~な作品でありました。音楽とハーモニカの音色は抜群のインパクトです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・製作 フルヴィオ・モルセラ原案 セルジオ・レオーネ ダリオ・アルジェント ベルナルド・ベルトルッチ 監督 セルジオ・レオーネ 脚本 セルジオ・レオーネ セルジオ・ドナティ 音楽 エンニオ・モリコーネ出演 ヘンリー・フォンダ クラウディア・カルディナーレ チャールズ・ブロンソン ジェイソン・ロバーズ ガブリエル・フェルゼッティ
2006.03.11
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1930年代、才能に恵まれたジプシージャズのギタリスト、エメット・レイはシカゴのジャズクラブの人気者。しかし自堕落で破滅的な人生を送っていた。ある日彼は、洗濯屋に勤める口がきけない娘ハッティと出会う。エメットが奏でるギターを聴いたハッティは彼に夢中になり、やがて2人は同居生活を始めるが…。 ウディ・アレンらしい滑らかな物語の展開に、ほのぼのとした恋愛模様が楽しめました。エメット・レイという実在しないギタリストを、あたかも本当に居たようにドキュメンタリータッチで描くという趣向。ジャズやギターに疎い私はすっかり騙されてしまいました。エメットは自意識過剰で女好き。その代わり、去るものは追わず来るもの拒まず、特定の相手を愛することをしない独身主義者。気持がいいほど単純で、憎めません。趣味は汽車を眺めることと、鼠を撃ち殺すこと。そんな彼に恋した口の利けない娘ハッティは、小さな出来事に喜びを感じ小さな幸せを積み重ねて、気ままな彼と一緒に暮らすようになります。移り気で女たらしで、自分を愛してくれているか分からないエメットに、ハッティはいつもヤキモチ。それでも「オレは今傍にいるだろ」そういってもらえるだけで安心してしまう純真無垢な存在は、いつしか彼の心を深く引きつけていくのです。見えないくらい深いところで。離れてみて初めて知る情の深さ――テーマはよくあるもの。テキトウに生きてきた主人公が、ギターと同じくらいに大切なものを見つけるけれど、再び手元に置きたいと願った時には、もうあの頃の彼女はいません。いたってシンプルな恋物語なのです。そんな物語を惹かれるものにしているのは、ショーン・ペンとサマンサ・モートンの魅力ある演技でした。そしてセットや衣装や音楽で彩られた1930年代の雰囲気。それと聴き応えあるギターの音色。在り来たりを、個性唯一なものに変えられるのは、まんまウディ・アレンのすごさなのではないでしょうか。何も語らないサマンサ・モートンの演技は素晴らしかったです。そしてション・ペンの演奏も。本当に弾いているようにしか見えなかったのですが...実際はどうだったのでしょう。ちょっと切なく笑えて聴かせる、ステキな作品でした。 「口の利けない彼女のぶんまで語るエメット 愛着が芽生えていくが...」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督・脚本 ウディ・アレン 製作 ジーン・ドゥーマニアン 製作総指揮 J・E・ボーケア 撮影 フェイ・チャオ 音楽 ディック・ハイマン 出演 ショーン・ペン サマンサ・モートン ユマ・サーマン グレッチェン・モル アンソニー・ラパリア ブライアン・マーキンソン ウディ・アレン
2006.03.08
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1950年代のシチリア。映画監督と称してオーディション費用をだましとっている詐欺師ジョーとひとりの少女ベアータとの運命的な出会いを描く。 ジュゼッペ・トルナトーレは大好きな監督です。心に残る名作「ニュー・シネマ・パラダイス」、崇高な異色サスペンス「記憶の扉」、「マレーナ」「海の上のピアニスト」「みんな元気」どれも印象に残っています。「ニュー・シネマ・パラダイス」から6年、微妙に酷似した雰囲気のあるこのラブストーリーにも、映画への愛がいっぱい詰まっていました。詐欺師のジョー(セルジョ・カステリットー)はオーディション費用を巻き上げながらシチリアを旅する男。カメラの前に立つ人々が、精一杯演技したり、自らの人生を語ったり、夢を託したり、不満をぶちまけたりするのを、レンズ越しで見つめながら、いつしか撮る行為へのこだわりと喜びを持つようになりました。貧しい人々を嘘で騙しお金を取るのも、叶わぬ希望を抱かせるのも罪。けれど夢を見せられ、人生を変えようと動き出す者も現れます。悪事を働くただの詐欺師が、時に覗かせる優しさ。レンズを覗く真剣なまなざしは、本物の監督さながらに映る時もあるのです。美しい孤児ベアータもまた、彼にそそのかされたひとり。無垢な魂を持つ少女は「女優になれる」というジョーの言葉を素直に信じ、彼の後を追いかけました。愛を知らず荒んだ男と、純真無垢な女。ベアータの真っ直ぐな気持に打たれたジョーは、次第に忘れていた心を取り戻すのですが…。しかし、何百何千という人を騙した詐欺師の未来は決して明るくありません。罪を犯せば償わなければなりません。たとえ大切なものをようやく見つけた幸せの最中であっても。あまりに辛い別れは無垢な少女をずたずたに傷つけ廃人にして、男の人生をも狂わせてしまいます。悲しい結末です。けどジョーには優しさと人間らしさがちゃんと残ったのではないでしょうか。ベアータを愛した証のように。詐欺の道具であるカメラでふとした情景を撮るジョーが心に残りました。彼にとってカメラや映画はただの商売道具以上のものだったはずです。それが伝わる時、このどうしようもない主人公がふと愛しくなりました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 製作総指揮 ヴィットーリオ・チェッキゴーリ リータ・チェッキ・ゴーリ 監督・脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ 撮影 ダンテ・スピノッティ 音楽 エンニオ・モリコーネ 出演 セルジョ・カステリットー ティツィアーナ・ロダート レオポルド・トリエステ フランコ・スカルダーティ
2006.03.08
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2006.03.06
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夏休みを利用しておばちゃまの羽臼屋敷を訪れた姪っ子“オシャレ”と6人の友人たち。だがおばちゃまはすでにこの世の人ではなく、生霊は屋敷を使い少女たちを食べるのだった…!大林宣彦監督の劇場デビュー作。最近になって初めて「ふたり」「さびしんぼう」「時をかける少女」「ねらわれた学園」など、大林作品を観始めたわけですが、そんな中で、やんわりおすすめして頂いたのがこちらです。90分に満たないコメディホラーでしたが、受けたショックは多大でした。「ねらわれた学園」も充分エキセントリックと感じていたのに、その上のまた上をゆく奇矯さです。所々驚くほど怖かったし、グロさも展開もすごかった。とことん描かれる監督の妄想世界に引き、人間性を疑いそうになっても‘確信犯’だと思えば許せますね。ここから「さびしんぼう」や「ふたり」という佳作に辿り着いたなんて、ちょっと信じがたいのですが。。7人の女子高生につけられたあだ名も、思い切り作り物の背景も、今では色んな意味で衝撃です。理想と妄想の狭間。美しさからグロさ、恐怖の次はセクシー。なんだかまさにビックリ箱。楽しんだかと言われると返事に困りますが、こんなの観たことない~とは久しぶりに持った感想でした。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 大林宣彦 製作 大林宣彦 山田順彦 脚本 桂千穂 撮影 阪本善尚 音楽 小林亜星 ミッキー吉野 出演 池上季実子 大場久美子 神保美喜 笹沢左保 宮古昌代
2006.03.06
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寅さんは飲み屋で変な老人と知り合うが、この老人、日本画壇の重鎮・青観だった。そして播州龍野で青観と再会した寅さんは、お供した歓迎会の宴席で大輪の花が咲いたような芸者ぼたんと出逢う。 シリーズ第17作。驚くほど完成度の高い作品でした。たしかにマンネリではあるけど、こんな風に秀逸な作品が中に含まれていているのは、山田洋二監督の確かな力量。人気の高さは、単なるシリーズものとしてだけで語れない奥深さがあるからでもあるのでしょうね。この17作目を観て、ますますもっと沢山、寅さんが好きになりました。飲み屋で泥酔した変わり者の老人と知り合い、放っておけずに‘とらや’へ連れて帰った寅次郎。どこの馬の骨とも知らないずうずうしい客人を、とらやの面々はあからさまに迷惑がります。そんな彼らに寅さんは言うのです。「身寄りのない老人には優しく、この家で面倒を見ようじゃないか。人を見かけで判断しちゃいけないよ」寅さんのしたことは誰にでもできることじゃありません。人柄の良さ、根の優しさ、めったと居ないステキな人なのです。数日居候した老人が、帰りに残した一枚の簡素な絵。老人の正体が、実は画壇の重鎮・青観あったことからその絵は7万円で売れて...とらや一堂は大騒ぎ!‘情けは人のためならず’真心から人の為に尽くす寅次郎には、回り回って最後に笑顔がもたらされます。とても粋なストーリーが心に沁みました。登場人物たちがそれぞれの優しさで互いを幸せにしていく――人同士の繋がりが、秀逸に描かれていきます。「昔の恋人を訪ねる青観(宇野重吉)」青観役、宇野重吉の飄々とした演技が素晴らしかった。生まれ故郷の兵庫県龍野を訪れた件で、そこの観光係長役はなんと若き寺尾聰。驚いたことにこの二人は父子だったんですね!寺尾氏の味のある温かみある演技は親譲りでもあったのだと知って、新鮮な驚きでした。龍野で出会った芸者と寅次郎の恋模様も、いつになく温かく爽やかで、後味の良さも秀でている、シリーズ中の傑作でありました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 製作 名島徹 原作・監督 山田洋次 脚本 朝間義隆 山田洋次 撮影 高羽哲夫 音楽 山本直純 出演 太地喜和子 渥美清 倍賞千恵子 宇野重吉 寺尾聰
2006.03.04
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夫(三島)の死後、クリーニング店を営みながら子どもたちを育てる母(田中)の姿を、子どもらや店を手伝ってくれるおじさん(加東)との交流を通して、都会の下町の中に描く。 昔の日本映画の監督といえば黒澤明、小津安二郎をまず思い出します。成瀬巳喜男という名は正直聞いたことがありませんでした。昨年、BSで‘生誕100年特集’と題して連日放映しているのを見て初めて興味が湧き、初鑑賞となりました。小津安二郎(1903~1963)成瀬巳喜男(1905~1969)黒澤明 (1910~1998)三人はほぼ同年代。小津、成瀬の両氏は60代の若さで亡くなっています。みなさん故人となってしまいましたが、こうして今も作品を観る者が多くあるというのは素晴らしいですね。普遍的な名作を数々撮ってきた名匠たち。この「おかあさん」もそんな作品のひとつでした。親の苦労は親にならなきゃわからない―そんな言葉がありますが、子どもだって良く親を見ているものです。長女の年子(香川京子)が優しい語り口で語る、おかあさんの人生。「母」という存在が持ち続ける、大きな何かをいっぱいに感じます。どんなに忙しくても文句ひとつ言わず、子どもたちに頼りにされる優しいおかあちゃん像。貧しくても近所同士の深い繋がりがあった頃の情景は、今流行の‘古きよき日本’をそのままに感じることができます。昔の作品独特の温かい雰囲気が生きていて、私は日本人である以上惹かれ続けていく気がしています。長男が病で死んで、最愛の夫も急逝して、女手ひとつで二人の娘と甥っ子を育てることとなる母は、夫が遺したクリーニング店を、弟子の木村に支えられながらやりくりして生計をたてるのですが...。泣くことも怒ることも疲れも、みんなの見えない場所でそっと吐き出している母の姿にジンときてしまいました。おかあさんの不満も怒りも苦労も、直接は見えないけれど感じている子どもたち。気遣う気持が生まれるのも自然です。ただ、わからないのです。おかあさんが幸せなのか――。ラストの年子の語りかけに、涙が出そうになりました。とにかく長く生きていてほしい、その願いに。わんぱくな子どもたちの会話や様子、そして長女年子のさわやかな恋模様など、ほのぼのした見所がたくさんあります。 監督 成瀬巳喜男 製作 永島一朗 脚本 水木洋子 撮影 鈴木博 音楽 斎藤一郎 助監督 石井輝男 出演 田中絹代 香川京子 三島雅夫 中北千枝子 榎並啓子 片山明彦 岡田英次 加東大介 鳥羽陽之助
2006.03.03
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ここまで貧しい地域が残っているとは知らず、舞台が現代であるとしって本当に驚いてしまう。 ぼろぼろの校舎で勉強に励むのは、みんな貧しい家庭の村の子どもたち。チョークもノートも机も買えないなかで、学校に寝泊りして教える先生の偉大さがひしひしと伝わってくる。 ある日、皆から慕われるカオ先生が私用で学校を離れることになり、一ヶ月間の代用教師として13歳の平凡な少女ウェイがやってくる。 “生徒が一人もやめなかったら褒賞金をあげる”というカオ先生の言葉を信じて、懸命に見張り続けるがウェイだったが....問題児のホエクーが都会へ出稼ぎに出てしまうのだったーー 現金のない貧しい村の生活では、何をするにもお金が絡むのは必然。ウェイ先生もお金のためにやってきたわけで、生徒を一人も減らすまいと必死なのは褒賞金が貰えるから。そして生徒が減るのも、貧しさから勉強より働くことを余儀なくされてしまうからだという深刻さ。 なんも分からないまま先生になった幼さの残るウェイは、甘い考えではじめた仕事の過酷さを、初日で実感するはめになる。 行動の殆どがお金の為、そう見えてしまうのはそれが事実だから。 出稼ぎで街にやられたホエクーを探しにいくのもそう。日本では考えられないけど、これが現実。貧しいなかで生まれる切実さは、他の題材では代用できない説得力がある。 無いところから何かを生み出すのにはどんなに努力が必要か、忘れて暮らしている沢山が詰めこまれていて、素朴な生活から学ぶことはハッとするほど多い。無ければ手に入るまで努力する精神力や、労わりあう心が温かい。 貧しさを理由に諦めないウェイの涙と、三日掛かりで探し出した小さな命にジンとくる。 ウェイの呼びかけで貧しい村の現状が全国に報道されたおかげで、沢山の文房具が寄付された村。その色とりどりのチョークで、生徒たちが一文字ずつ黒板に文字を書きつけるラストシーンが感動的だ。 子どもたちの横顔は、学べることに感謝しながらいっぱいの希望に満ち溢れていた。 監督 チャン・イーモウ 製作 ツァオ・ユー 脚本 シー・シャンシェン 撮影 ホウ・ヨン 美術 ツァオ・ジュウピン 音楽 サン・バオ 出演 ウェイ・ミンジ チャン・ホエクー チャン・ジェンダ カオ・エンマン
2006.03.02
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出獄したばかりのモーリス(セルジュ・レジアーニ)は仲間のシリアン(ジャン・ポール・ベルモンド)を誘い金庫を破るが、察知していた警察に逮捕されてしまう。ふたりの男の友情と疑心暗鬼が招く悲劇を描く―。 序盤はいまいちだが、モーリス逮捕後のシリアンのクールな言動で目が離せなくなる。シリアンは”いぬ”かもしれない....そんな疑心暗鬼に陥るモーリスと一緒にハラハラした。 翻弄される刑事や仲間をよそに、飄々とコトを成していくシリアンが実にスマート。 ”いぬ”は誰かーー先の読めない展開には大満足。 裏切られたと思い込んだモーリスが、獄中で知り合った男に、シリアン殺しを依頼していたことで起こる悲劇のどんでん返しが素晴らしい。全編モノクロームの渋い雰囲気のなかで、行動の美学と謳われる監督の才を感じる。デッドエンドが美しいと思える。 タイトルに掛けられた帽子の効果的な使われかたや、街路樹、小道具の数々がたのしい。 「デュロス/Doulos」とは帽子のことで”いぬ”を表す隠語である― そんな冒頭のテロップからはじまる物語は、フィルムノワールの傑作と呼ぶにふさわしい好編だった 「ジャン・ポール・ベルモンド演じるシリアンとモーリスの恋人」 製作 カルロ・ポンティ監督・脚本 ジャン・ピエール・メルヴィル 原作 ピエール・V・スルー 音楽 ポール・ミスラキ 出演 ジャン・ポール・ベルモンド セルジュ・レジアーニ ジャン・ドザイ ファビエンヌ・ダリ モニク・エネシー ミシェル・ピコリ ルネ・ルフェーヴル
2006.03.01
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