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小澤征爾氏が名誉会員に=ウィーン歌劇場 【ベルリン12日時事】ウィーン国立歌劇場は12日、音楽監督を務める指揮者の小澤征爾氏(72)に名誉会員の称号を贈ると発表した。17日にオペラ「スペードの女王」の公演後、ホレンダー総監督から授与される。 小澤氏は1988年に同歌劇場デビューを果たし、2002年に音楽監督に就任した。これまで指揮したオペラやコンサートは163公演に上る。06年1月に体調を崩し、公演を一時キャンセルしていたが、今年4月に復帰。10年に任期切れとなり、フランツ・ウェルザーメスト氏(47)が後任の音楽監督に就任する。 (時事通信社より) 指揮者としてまた名誉ある称号を授与されることになりました。かつてシューリヒト、師バーンスタインなどにも授与された「名誉会員」。小澤さんもこうした人達の仲間入りを果たしたということですね。
2007年11月13日
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井上喜惟=ジャパン・シンフォニア 第9回定期演奏会「ロマン主義の情熱と憂愁」 エルガー : 弦楽のためのエレジー ブラームス: ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調、Op.102 交響曲第1番ハ短調、Op.68 11月10日(土) 15:00開演晴海トリトン・スクエア・第一生命ホール指揮:井上喜惟ヴァイオリン:三戸素子チェロ:小澤洋介******************************************************************************** 音楽評論家の許光俊氏が絶賛している井上さん指揮するジャパン・シンフォニアの演奏会に行ってきました。 井上さんは噂では「アマオケを一夜ウィーンフィルに変える」とか。井上さんは中卒後、渡欧。名匠たちにピアノ、指揮を習いながら1992年、チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会で正式デビューという経歴のお方。所謂、音大卒でもなけりゃコンクール歴もありません。地道に実力をつけながら認められてきた、叩き上げの本物の実力者というべきでしょう。 2000年アルメニア・フィルでの「日本ウィーク」で指揮、そのときのライブCDを以前入手しました。そこには、たいへん手の込んだ織物を見ているかのような仕事ぶり、音のひとつひとつを大事にしながらも熱いパッションを感じさせる演奏でした。(昔のラトルもこんな感じでした) これは実演を聞かなければならない。 ホールも初めてだったので早めに到着。狭い舞台にオケの座席が並んでいます。第1ヴァイオリンは4プルト、チェロは3プルト、ベースは3丁って室内オケ?ちょっとがっかり。ついでに席は3列目のはずが、舞台がせり出した関係で最前列でした。最前列って音が頭の上を飛んでいくし、フォルテのときにヴァイオリンのキーンという高音が耳を直撃するのでは、とこれまたがっかり。 さて1曲目のエルガー。井上さんはからだが細くてカリスマ性をあまり感じさせません(失礼!)。けれども最初の音が出たとき、これは只者ではないぞと思いました。ハーモニーの美しさ、まるで触れるんじゃないかと思えるような芯のある音、そして何とも温かみのある優しい響き。この編成のどこからこんな厚い音が出るんでしょう。曲が終盤ぐっと深く沈んでいくとき、胸が締め付けられるようでした。 ヴァイオリンが目の前でもキーンという嫌な音がしなくて、これもびっくり。音がハーモニーのなかにしっかり埋もれているといった感じ。 2曲目はこれまた渋いドッペルコンチェルト。正直、積極的には聴かない曲です。ソリストはオケのコンサートミストレスと主席チェリスト。オケの仲間ということもあり、温かい雰囲気のなか、曲が開始。フルオケのイントロに続き、チェロが何やらもにょもにょと語りだす。それにヴァイオリンが応える。これは「語り合い」の曲なんだと気付く。ソリストどうしだけでなく、オケ仲間たちとの親密で濃密な語り合いをじっくり聞かせてもらいました。最終楽章のちょっとおどけたようなテーマもノリのいい感じ。最後まで飽きさせない名演でした。ただソリストには舞台が窮屈そう。チェロの弾く弓がヴァイオリニストの脚に当たったり、ヴァイオリニストの大きなお尻(失礼)が1stヴァイオリンの譜面台に当たったり。最前列ってそうした事故現場を見るには最高ですね(ナンノコッチャ)。 ラストはブラ1です。先ほどのソリストたちはトップに座っています。コンミスの方は体がでかくて、背中の大きさに頼もしささえ漂っています。誰が見ても「この人なくしてこのオケなし」という感じ。この方にひょろっとした井上さんが練習のときどう対峙してきたのかなと、ひょっとしたら押し切られて何も言えなかったりしてとあらぬ想像をするうちに曲が始まりました。 冒頭のCmの和音が鳴ったとき、この編成から考えられない分厚くて熱い塊のような音が耳を襲いました。口あんぐり。コンミスはpでは背を丸め、fでは伸び上がってまさに獅子奮迅のごとき。チェロの主席の方はこれまた音楽するのが楽しくてしょうがないという弾き方。こちらも楽しくなってしまいます。 けれどどんな小さなモチーフも決して弾き飛ばしたり誤魔化すことはしません。丁寧に表情付けをしていきます。響きは厚いがもっさりした感じではなく、むしろ精悍で敏捷。歌いこんだりリズムを刻んだりが瞬時に変化していきます。それとヴァイオリンの左手を見てましたが、ひとつのフレーズは必ず同じ弦で弾いてます。フレーズの中で弦を変えると音色が変わってしまうからです(当たり前のことですが意外とプロでも適当だったりします)。 最終楽章まであっという間でした。アルペンホルンの主題が実に雄大に確信をもって豊かに鳴り渡り、続くベト9のメロディーに似ていると言われる有名なメロディーは濃密な歌い口だけれど演歌にならず品格がありました。 畳み掛けるような展開部でも楽器間の語り合いが聞かれ、成る程これがブラームスの醍醐味なんだ。 例のメロディーが再現され、もうすぐ演奏が終わるんだと惜しいような悲しいような気持ちになりました。コンミスの広い背中が激しく揺れる向こうに、井上さんは背中を丸めながら淡々と棒を動かしていました。派手な身振り手振りは全くなし。指揮者がいることさえ忘れるくらい地味です。でもこの人が冷静にオケを導いてるんだという安心感がありました。このオケにはスタープレーヤーもスター指揮者もいません。でもこれだけ豊かな響きで素晴らしい演奏ができるのです。 最後の金管のコラールは速度を落とし、これ以上ないくらい雄大で深々と鳴り渡り、そしてまっすぐラストに向かっていきました。涙が溢れました。偉大な曲です。そして偉大な演奏家たちです。 終演後帰るのを惜しみながらホールを出ると、CD販売コーナーで指揮者のサイン会でした。井上さんは元気に知人たちと言葉を交わしていました。ひょろっとしたからだなのに声がでかいなと感心しつつ、大きな仕事をひとつ演り終えた充実したいい顔を遠巻きに眺めてました。 残念なのは、700人収容のホールなのに空席が目立ったこと。500人くらいしか入っていなかったのはないでしょうか。もしこれを読んで興味を持たれた方は次回是非行ってみてください。ブラームス:ピアノ協奏曲第1番/大学祝典序曲@舘野泉(p)井上喜惟指揮 チェコ・ナショナルso.井上さんの若い頃の録音です。楽天にはこれしかないようです。
2007年11月11日
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