全5件 (5件中 1-5件目)
1
![]()
フランス音楽を得意とする(ご本人はそう思ってないらしいけど)小澤さんですが、不思議とドビュッシーの録音は、カンタータ「選ばれた乙女」(シュターデのソロ)しかありません。 が、ライブですとボストン響と「選ばれた乙女」「海」「牧神の午後への前奏曲」をやっています。小澤さんはミュンシュに憧れて弟子になったし、またサンフランシスコ響時代ではモントゥとも交流がありました。二人ともドビュッシーを得意とした指揮者でしたから、何かしら教えや影響を受けているはずです。 現にミュンシュから「海」を見てもらったとき「スープル」(力を抜け)と注意されたというエピソードを「やわらかな心をもつ」で書いています。 そんな小澤さんが指揮している「海」の映像がYouTubeにありました。これはたいへんな珍品です。資料では、1984年5月28日シャンゼリゼ劇場でフランス国立管弦楽団と演奏した記録があります。このときのプログラムは ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ ラロ スペイン交響曲(Vnソロ:アンネ=ゾフィー・ムータ) ドビュッシー 交響詩「海」 しかもこの翌日に同じ組み合わせでスペイン交響曲は録音されています(EMI)。なんで「海」が録音されなかったのか、小澤ファンとしては残念な限りです。 さて実際の演奏ですが、興味深いのは楽器バランスとテンポです。第1楽章冒頭オーボエが弱音で入ってくるとろのクラリネットを強調したバランス(マイクがクラリネットに近いのかも知れませんが)、コーダ前のオーボエとチェロとのカラミなど、こんな風に楽器が重なっていたのかという発見もありました。また、コーダのところで盛り上がるところをオーケストラは雄大に遅めのテンポでやろうとするものの、小澤さんはむしろ早めのテンポで一気爽快に締めくくろうとして、オケが慌てています。最後の音で小澤さんの面白いジェスチャーもいいですね。 YouTubeには全曲乗っていますが、全体を通すと小澤さんは非常にオーソドックスかつストレートな引き締まった演奏です。テンポをあまり落とさずにコーダに向かって走り抜ける感じとか、音色に対するキラキラした感じ(特に第2楽章)とか、小澤さん特有の感覚をここでも発揮していて、新鮮な「海」だなぁと思いました。必見ですよ。このときの「スペイン交響曲」の録音。若きムターの奔放な演奏に小澤さんががっちりサポート。
2007年05月27日
コメント(0)
小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトVIII ビゼー:歌劇「カルメン」出演メンバー~若き塾生たちの協演~ 公演日程 2007年7月27日(金) 18:15開場 19:00開演 京都コンサートホール (大ホール) 曲目 ビゼー:歌劇「カルメン」より 前奏曲、間奏曲 ハバネラ「恋は野の鳥」 この乾杯のお返しをさせて下さい<闘牛士の歌> 「何が出たってこわくないわ」 おまえの投げたこの花を<花の歌> 「響きもするどく」 ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」 指揮 鬼原 良尚 管弦楽 小澤征爾音楽塾オーケストラ 歌手 カルメン / 手嶋 眞佐子 ドン・ホセ / 志田 雄啓 ミカエラ / 松田 奈緒美 エスカミーリョ / 与那城 敬 お話 / 音楽監督 小澤征爾 小澤征爾音楽塾の成果をコンサート形式で披露するそうです。今年の小澤音楽塾の演目「カルメン」からの抜粋と「運命」。指揮は音楽塾でアシスタントを務めた人です。直接、小澤さんが振るわけではありませんが、活動記録として残しておきます。(ちなみにチケットは完売だそうです)
2007年05月20日
コメント(0)
![]()
13日(日)の夜中にNHK教育でロストロポーヴィチの追悼番組として「ロストロポーヴィチ 75歳 最後のドン・キホーテ」が放映されました。彼は小澤さんにとって大親友にして8歳上の兄貴分でした。 内容はスラヴァ(ロストロポーヴィチの愛称)がR.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」の総決算として映像と結合した作品を残したい、ついてはセイジ指揮サイトウ・キネンオーケストラと共演したいというところから始まる。実はこの番組、5年くらい前にリハーサル風景までは見た覚えがあったけど、完成した映像詩「ドン・キホーテ」のほうは今回が初めて。さてどんな風にできたのかなと楽しみにしてました。 結論を言うとごくありきたりなと言いますか、ドン・キホーテの物語とサイトウ・キネン・フェスティバルでの本番演奏を交錯させたものになっていて、言いたいことは明快。夢に向かって不器用にしかし断固として突き進む男の姿、ドン・キホーテとスラヴァの人生が重なる、ということです。社会主義国家と間然と立ち向かう姿は、風車に突撃する老騎士に重なっていきます。 それより気になったのは、リハーサル風景。ドン・キホーテになりきり、その物語をチェロで演じきろうとするスラヴァ。風車のゆったりした動き、羊の群れ、水滴などを何とか音で表現しようとオケにサジェスチョンしていました。対する小澤さんはスラヴァの意見をオケに伝える役割。それはまるでドン・キホーテの物語を知らないかのように見えました。 おそらくこれが小澤さんの音楽が西洋人にとってユニークな点であり、日本のオタクたちが嫌う理由なのでしょう。彼にとっては音楽の物語性より構造や響きのほうが大事なのではないか。この交響詩を「ドン・キホーテ物語」の音化と見るか、オーケストラのための変奏曲と見るか。小澤さんはずっと後者の立場で振ってきたに違いない。他の曲に対しても。 あと気になったのが、ドルシネアの長く美しい主題をオーボエの宮本文昭さんがブレスなしで吹き切ったことに驚き、「彼はいくつ肺をもっているんだ?」とスラヴァの質問に「36個」と応えた場面。オケのメンバは笑っているというより、失笑ぎみ。息抜きのつもりが却って疲れてしまったのでは。 その後リハーサルが終わり楽屋に引き上げるスラヴァと小澤さん。肩を組んでなにやらひそひそ話で笑っていたけど、きっとこんな会話をしていたに違いない。ス「・・・でさっきのオーボエだけなんだけど、君の肺はいくつあるんだい?って訊いたのに、『36』ってこたぁないだろう」小「彼は真面目だからねぇ。一生懸命彼なりに応えたつもりなんだよ」ス「せっかくカメラも回ってておいしいところなのにさぁ。アドリブの利かないヤツだ」小「練り上げていくタイプなんだよ。リアクション命じゃないんだよ」ス「おれだったら『肺は2つだけど、広げると8畳敷きぐらいあるんです』ってボケるね。そうしたら『オマエ、タヌキノ○○○マカヨッ!』って日本語でツッコんだのにさ!」小「・・・どこで覚えたの、ボケとかツッコミとか」 あの番組、DVDで出ないかなぁ。小澤=BSOとヨーヨーマの「ドン・キホーテ」。叙情的なオケに熱いチェロがユニークな名演を生んだ。あと、サイトウ・キネンオケの前身、斉藤秀雄メモリアルオーケストラによる、ライブ録音でも堤剛ソロによる「ドン・キホーテ」があった(84年録音)。(FONTEC盤)
2007年05月15日
コメント(0)
![]()
今住んでいるマンションは小高い丘の上にあり近くの雑木林からいつも鳥の声が聞こえる。大抵はカラスが占拠していてガサガサ、がーがーと五月蠅いが、今時分などは雀以外に鶯なども来ている。「鶯など」という言い方しかできないくらい鳥の知識が乏しいのだけれど、声だけで判別するとおそらく5種類ぐらいはいつもいるだろう。 今朝、窓を開けていると一際良い声が部屋に響いた。近くの梢にとまっていたのだろうが、姿は見えなかった。高く澄んだ張りのある声だった。 今までさほど興味はなかったがあれだけ良い声を聞くと、鳥の愛好家たちが集まり自慢の鳥の声を競う「鳴き合わせ会」なるものが存在するのも頷ける。 川端康成の短編に「日雀」というのがある。茫洋とした主人が、愛人との旅先で日雀の名鳥を見つけるも買うことができなかった、という話を素直に妻治子にしゃべってしまう。どうやら物事に頓着しない性格らしい。隠し事ができないのだ。他の日雀はよくないとすぐ放してしまうが、その名鳥が後日手に入ると子供のように喜んで離れない。そんな素直さに治子は、愛人の思い出があるかもしれないその日雀の世話をする。 「名鳥の鳴き声は高く澄んで、切ないほど長くつづき、治子の胸を清く通った。(中略)なにか神の世界から夫の生命に通うものが、一筋に響き渡って来るようであった。治子はひとりでうなずいて涙ぐんだ。」(「日雀」より) 鳥の声に神の世界を聞くのはフランスの作曲家オイヴィエ・メシアン(明40~平4)が有名だ。もちろん音に特殊な能力を持つ音楽家たちは多少の差はあれ何かを感じているには違いないが、メシアンほど積極的に主要なテーマとなっているのは他にない。 例えば「鳥たちの目覚め」(ピアノとオケのための)は「この譜面には鳥の歌声しかない。すべては森できいた完全な本物である」とスコアに書かれているし、そのものずばり「鳥のカタログ」(ピアノのための)という曲もある。そのほか主要作品には必ず出てくる。彼にとって鳥の歌とは「神の作り給うた音楽」つまり天上を象徴するものであり、彼の言葉を借りれば鳥たちは「非物質的歓喜の小さな奉仕者たち」なのだそうだ。 昭和37年来日の折には軽井沢の林の中で鳥たちの声を聞こえるまま採譜したという。後に小澤さんはこう述壊している。 「数日後、東京に帰って来た彼は、採譜した野鳥の歌の譜を私に見せてくれた。それは実に詳細なもので、例えばウグイスの声をただそれだけ記譜してあるのではなく、一斉に嘲る野鳥のコーラスを、まるでオーケストラ・スコアのように、同時に書きとめているのである。UguisuとかHototogisuとか、誰かに教えられたのだろう。鳥の名をローマ字で書き込んださまざまな旋律を辿ってみると、実に正確に鳥の歌が捉えられていて、私はメシアンの注意力、集中力、そして耳の確かさに驚嘆したのだった。」(CD解説より) この譜が「七つの俳諧」(ピアノとオケのための)という作品の6曲目になっていく。 メシアンは非常にユニークな20世紀の作曲家なので、折に触れて書いていこうと思う。文中の「鳥たちの目覚め」「七つの俳諧」を収めた日本人演奏家の記録。小澤さんのコメントはここから取りました。(指揮は故岩城宏之さんです)こちらは「鳥のカタログ」。私は時々BGMにしてます。(メシアン先生ゴメンナサイ)
2007年05月07日
コメント(2)
![]()
小澤さんは29日の開演前に盟友ロストロポーヴィッチのために1分間の黙祷を行ったそうです。当然ながらこの公演は亡き友に捧げられました。結果は大成功だったようで、まずはひと安心です。 さて、チェリスト・ロストロの評価は言わずもがなですが、指揮者・ロストロはどうでしょうか。個人的には活動初期のほうが面白かったように思います。初期はやりたいことがうまくできなかったりするんですが、ユニークなキャラのせいか、チェリストとしての評価のせいか、なかなかうまくオケをリードしていたのではないでしょうか。 もちろん不器用でアンサンブルもうまく揃ってないところもあったりするんですが、それがかえって味わいや迫力になって聞こえて来るから、音楽ってぇのはわかりませんね。 いきなり出てきたチャイコフスキー交響曲全集はロンドンフィルからすんごく重たい響きを引き出していました。自らチェロで弾いて聞かせたんじゃないかと思うくらい。これがまたなんともチャイコフスキーにぴったり。洗練された演奏とは対極にある、武骨な感じがいい。 私が一番好きなのはパリ管との交響組曲「シェラザード」です。これもあのパリ管から重い響きを出しつつ、ゆったりしたテンポで猥雑で幻想的な世界を醸し出していました。チェロのソロでは自分で弾いてるんじゃないかと思うくらい、深い歌があります。 この曲の録音としては私は5本の指には入るのですが、小澤「火の鳥」(旧盤)同様、ARTリマスタしてないんですよね。レコード会社にはなんとか価値をわかってもらいたいです。チェイコフスキー全集から「悲愴」。重くうねるような歌が心に沁みる。天下無双の「シェラザード」。いやあ、いつ聴いてもいいなぁ!
2007年05月04日
コメント(2)
全5件 (5件中 1-5件目)
1
![]()

