ボクの音盤武者修行

ボクの音盤武者修行

2006年02月18日
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カテゴリ: 音盤比較
カラヤン指揮ウィーン・フィル

 録音場所:ソフィエンザール、ウィーン
ホルスト指揮ロンドン響
 録音年:1926年
 録音場所:コロンビアスタジオ、大スタジオ、ロンドン




 誰でも知ってる「惑星」をカラヤン盤(旧盤)とホルスト自作自演盤を比較してみた。

 カラヤン盤はこの曲を有名にした代表的な演奏だけど、実は今まで避けていた。どうせ華麗で聞かせ所では見得を切って見せる演技たっぷりな演奏だろうとタカをくくっていたのである。
 今回聴いて、それが誤解であることがわかった。「火星」の遅いテンポとバカみたいにきざむ四角四面なリズムが徐々に速くなっていく導入から、まるでレクイエムのアニュス・デイみたいに祈るような女声コーラス(響きは厚い)の「海王星」まで、すばらしい音楽の連続だった。「木星」の例のメロディの堂々とした歌、「天王星」の威圧的なブラス、見事の一言。曲の魅力と可能性を一気に開花させたカラヤンの腕前に敬服。


彼はここで、レストランの窓から無表情の白い顔が一斉に覗き込むという演出をした。これがカラヤン流恐怖の演出である。
 普通の舞台では白い布を被った「オバケ」が出てくる。これでは観客は恐くないどころか、しまいには笑ってしまうだろう。
 火星の演出はカラヤン流「無表情の恐怖」で終始進められている。ただデカイ音で煽るような恥ずかしい演奏ではない。


 自演盤の「火星」冒頭はコルレーニョではない。低弦のきざみの重々しい響きで開始される。まるで戦前の恐怖映画(フランケンシュタインとか)の音楽みたいに懐かしい響きだ。
 全体に速めで、バスの進行を大事にした演奏。こんなラインあったっけという発見もあった。「金星」の最後、ブルックナーのアダージョみたいなホルンの上昇音形なんかそう。
 また、金管がバリバリ鳴っている箇所でも木管の音が消えない。後ろで和音を鳴らしているだけでも、必ず聞こえる。作曲者にとって聞こえなくてもいい音なんて無いのだ。
 「木星」は「人生をエンジョイする」と語った通り、幸せな音楽。例のメロディは早めのテンポで格調が高い。ただ下品に歌いまくるだけの演奏には垢を煎じて飲ませたい。
 「土星」はよぼよぼの老人の哀れな末路ではなく、「老人力」よろしく闊達で背筋のピンと伸びた、気骨ある老人の堂々たる黄昏の曲だった。
 「海王星」は神秘というよりカオスと言った趣(オケもカオス状態(^^;)。女声コーラスも低い音のラインを重視している。

 聴き終えて、「惑星」は宇宙時代に祭り上げられた曲なんじゃないかと思った。自演盤はオケを鳴らして大見得を切るよりも、ひとつひとつの響きを重ねていく地味な演奏だった。もし、アポロ計画がなかったら、この曲は知る人ぞ知る秘曲だったかも知れない。
 ホルストの他作品も実に地味で、吹奏楽の組曲1番にしても品位と慈しみに溢れたいい曲だけど一般にはあまり聴かれないし、セントポール組曲は弦楽オケでもっと弾かれてもいいと思うが、ほとんど知られていない。合唱曲にいたっては、聞いたことすらない。


 埋もれていた曲が一夜にして世界中で脚光を浴びる、それは明日あることかもしれない。





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最終更新日  2006年02月18日 16時06分24秒
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