ボクの音盤武者修行

ボクの音盤武者修行

2006年02月19日
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カテゴリ: 小澤征爾
旧盤(ドイツ・グラモフォン)
 録音年月:1977年10月3日~17日
 録音場所:シンフォニーホール、ボストン
新盤(フィリップス)
 オケ:ボストン響
 録音年月:1987年10月5日~6日
 録音場所:シンフォニーホール、ボストン 




 マーラーとの付き合いはクラシック音楽聞き始めの頃からだから、随分になる。私をクラシック世界に引き入れた悪友にそそのかされ、バーンスタイン=WPOの交響曲「大地の歌」(DECCA盤)を買ったのが最初だ。(この盤についてはいずれ書こう)
 初めてか、2枚目に買ったLPだった。ほんとは、そいつが聞きたかったのだろう。買った傍から「聞きに行こう」と別の友人宅に誘われた。そこのウチには豪華なステレオシステムがあったからだ。

 ラストでフィッシャー=ディスカウが大自然の永遠と人生の儚さを歌う頃には夕闇が迫っていた。全ての音が鳴り止み、部屋は真っ暗、しばらくの静寂が続き、やがて悪友がブラボーとつぶやいた。
 すべてが完璧だと思った。
 それからマーラー遍歴が始まった。

 小澤旧盤は発売当時「小澤のクリーンヒット」と称された名盤だ。そして新盤と比べるとこちらのほうが良い意味で「青春」していると思う。そういえば、最初買ったときはミュージックカセットだった。ウチにまだステレオが無かったときだ。最初に買った小澤の録音だった。
 冒頭の弦楽のフラジオレットをふわっと聞かせる音感は当時小澤盤と メータ盤 ぐらいだった。その後すぐのかっこう動機の爽やかな音色、続く第1主題の伸びやかな歌い方、まさに「朝の野原を歩けば」(この主題はマーラー自身の歌曲から引用)の雰囲気そのままだ。曲が次第に熱を帯びていくときのじりっじりとした盛り上げ方、楽章を閉じるときの力強さ。マーラーはこう弾くんだという小澤の自信にも聞こえる。
 第2楽章冒頭の跳ねるようなリズムも素晴らしいが、真ん中のトリオでの鄙びた感じに小澤独特の爽やかな叙情味を感じる。後年のマーラー全集でも言えることだが、小澤のマーラーはこうした叙情の表出が優れていると思うが、そこが弱弱しいと感じる向きもあるようだ。「fのマーラー」ではなく、「pのマーラー」。こんなやり方だっていいんじゃないかと私は思う。
 最終楽章の「嵐のように」では新盤に比べてやや粗っぽいが、そこがマーラーの若さの表出に聞こえ、ラストのホルンの吹き上げ方同様、演奏自体を熱っぽくスケールの大きさを感じさせる。

 新盤もほとんど変わらないが、より音色に練り上げられた味わいがある反面、旧盤に聞こえた若さゆえの荒々しさが消え、全体に丸みを帯びた印象がある。これはこれで良い演奏だと思うが、ちょっとスムーズにするすると行き過ぎじゃないか。もう少し何かこう悩んで立ち止まったり、意味なく突進してみたり(?)、それが若さってもんだろ!

 旧盤の明るく伸びやかで若さ溢れる演奏がこの交響曲にふさわしいと思うので、こちらを強く推す。





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最終更新日  2006年02月26日 14時34分26秒 コメント(4) | コメントを書く
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