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監督が【虎ひげ】だけを残して謎の失踪!
日本シリーズ目前、“東京ヒーローズ”リーグ優勝の立役者・桂監督が、東京タワーの展望台にてトレードマークだけを残し行方不明に。球団は失踪を隠し、代理監督をたてシリーズに挑む。桂監督はいったい何処に? 背後に忍び寄る影、そしてシリーズの行方は・・・


さすがに面白い。名作、『大誘拐』を彷彿させるような展開とノリ。
それに野球が絡むとなれば、私にとってこれはもう至れり尽くせりです。
と、なんだか褒めすぎな気もしますが、やはり雰囲気がいいのです。
失踪事件なのでそんなに明るい話ではないし、狙った笑いがあるというわけでもないのですが、どこかコミカル。“やんちゃ”で“楽しげ”なのです。日本シリーズという短期決戦もよく書けていて、野球モノとしても十分ではないかと。

話を内容に戻して。

“東京ヒーローズ” は万年最下位チームだが、今年“大阪ダイヤ”からやってきた桂監督、立花ピッチングコーチのもと一躍リーグ優勝を遂げた。日本シリーズの相手は大阪ダイヤ。決戦を2日後に控えた夜に起きた事件。

東日新聞の『東京』担当記者・矢田貝は、友人の立花コーチに監督の捜索を依頼される。若い三人の記者・西、井川、姉小路を従え、監督の娘・比奈子も助っ人?に加わって、内密に捜査ははじめられた。
“東京”と“大阪”球団の因縁、球団内部の事情、あやしい両オーナー、監督の冷たい親族たち、何かを知っているキャップ、浮かびあがる“賭け屋”の存在などなど。そうこうするうちに、日本シリーズがはじまった!


というわけです。かなり昔の作品ですが、色あせてない。
謎解きそのものよりも、どこか漫画的な(違うか)行間に漂う空気を楽しみたい、そんな作品です。

解説は倉知惇さん。天藤作品への愛情が感じられます。
なお天藤さんは1983年に亡くなられています。


『鈍い球音』(天藤真推理小説全集4) 天藤真 創元推理文庫 (1995年6月初版)





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最終更新日  2004年02月14日 20時25分42秒
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