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紛失防止を狙って導入した新制度。起案した貝瀬は・・・


表題作他3編収録。

『陰の季節』に続いて、警察の内部を描くこの事件から始まります。

警務科企画調査官。
という今まであまり見たことのない設定の主人公・貝瀬。
外勤警察官の鑑と讃えられた父は、定年後発病し入院中。
面会に訪れた病院で受けた事件の連絡は、貝瀬にとって致命的だった。

またもや地味目の話。
ですが、これがまたしっかり読ませます。

外部犯は考えにくい状況。となると、疑いの目は・・・内部へと。

手帳の保管責任者、『軍曹』とあだ名される県警きっての堅物・大和田。
警務部への憎悪。“揺らぎ”。

捗らない調査。迫り来る制限時間。マスコミへの発表。父の病状。
犯人は誰?【動機】はいったい?

唯一(?)のアクションシーン、
貝瀬と益川の取っ組合いでのやりとりが印象深い。

「てめえらの仕事って何だよ。俺らは体張ってんだ。街ィ守ってんだよ。てめえはなに守ってんだ?」 P53

と激高する益川。
それに対する貝瀬のせりふ。
やはり横山さんはこれを書きたいのではないかと思う。
皆、必死で守ってんだよ。というところを。


警務部と刑事部。営業と管理みたいなものか。(違う?)

他に『逆転の夏』は、かつて殺人を犯し刑期を終えた男が、
見知らぬ男から“殺人依頼”をされる話(100頁超。一番長い)
『ネタ元』は地方紙事件記者もの。
『密室の人』公判中に居眠りをし、妻の名前を洩らした判事の話。


『動機』 横山秀夫 文春文庫(2002年11月第1刷)





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最終更新日  2004年07月24日 20時21分28秒
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