2008年03月03日
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それから俺は病院に入院することになる。
会社にはまだこのことを伝えていない、親が病気で介護しなきゃならないといって休みをもらった。
正直もう会社なんかどうでもいい。

個室かと思っていたが、大部屋だった。隣には俺と同じ病名の女。
毎日家族や友達が来て笑って過ごしている。
内心何が楽しいんだよってかんじだ。

夜になるとその女は小説を毎日読んでいる、というより暇があれば?か・・・。
題名は「海辺のカフカ」俺はそんなん興味ない。
テレビさえも見る気になれない。



二日くらいした頃だろうか、その女がおれに話しかけてきやがった。
「あのー、私と同じ病気なんですねっ。」

俺はうぜえ奴、そんなこと言ってくんなっておもってシカトした。
それでもそいつは話しかけてきた。

「名前・・・。康太っていうんですね、うちの弟と一緒の名前です!あっ、私はすずねっていうんです。ひらがな3文字でって・・・聞いてないですかね・・。あはは」

俺はいらいらした、何でこいつ笑ってられんだ?って怒りが爆発した。

「はなしかけんなよくそ女!」

いってしまった。まあいいか。

その後その女は、黙っていつもニコニコしているのに暗い表情になってしまった。

夜突然目が覚め、いつもなら薄暗い電気がついているのに今日はついていない事を不審に思った俺は…その子が隣にいない事に気づいた。

昼にあんな事をいってしまった事を少し後悔してその日は眠りについたんだ。


いた、良かった。と何故か俺は思ってしまったんだ。


「あ、康太さんおはようです」
その女はまた笑ってだけどどことなく苦しそうに俺に話しかけてきた

「昨日の夜…ちょっと病気がでちゃったみたいで・・・うるさくありませんでした?ごめんなさい」
だからか・・・。とにかく俺は昨日の事を謝ろうと思った。


とっさにでた言葉だった。

「気にしないでください。それとすずねですよ、ひらがな3文字ですずね。すずねって呼んでいいですから」
笑って答えてくれた。

「それより康太さん、これみてくださいよ」

すずねは本の折れ曲がったページの一文を俺に見せてきた。
そこには「鍵はかけててもかっこいいとおもう、がちがちにかけてても。いつか自分でその鍵をあけられる日まで。」と書いてあった。

すずねはニコリと笑うとベッドに潜って眠った。

「ありがとう」
俺は小さくつぶやいた。

そう、俺はすずねとの出会いで少しは変われたのかもしれない。


つづく





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最終更新日  2008年03月04日 01時46分03秒
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