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2012/07/11
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【おことわり】


◆カクテル ―― その誕生にまつわる逸話(2012年版:ABC順)(11)

 32. カルーソ(Caruso)


【レシピ】 ジン(30)、ドライ・ベルモット(15)、クレーム・ド・マント(ミント・リキュール)(15) ※3つの材料を等量にするレシピもある。
【スタイル】 ステア    【グラス】 カクテルグラス

 誕生の詳しい経緯は不明だが、カクテル名は、19世紀末から20世紀初頭に活躍した人気オペラ歌手、エンリコ・カルーソ(Enrico Caruso 1873~1921)にちなむ。1900年代後半から1910年代にかけて、米国内で誕生したと思われる。レシピからみて、マティーニのバリエーションの一つとして考案されたのであろう。

 ハリー・マッケルホーンのカクテルブック(1919年刊)では、「(カルーソは)米国ワシントンDCのドライバーズ・バー(Driver’s Bar → 正式な名はGeorge Driver’s Bar)のバーテンダー、ヘンリー・トーマス(Henry W. Thomas)が考案した」と記しているが、Web上ではそれを裏付ける明確な資料は紹介されていない(ヘンリー・トーマスは実在しているが、彼とCarusoを結び付ける証拠は現時点では見当たらない)。

 カルーソはイタリア・ナポリ生まれ。19世紀末にはすでに母国で名声を確立。1903年にはニューヨークに活動の拠点を移し、メトロポリタン歌劇場で亡くなる前年の1920年まで活躍した。「レコード録音を盛んにおこなった最初のスター歌手」としても知られる(出典:Wikipedia日本語版)。

 マッケルホーンの本の出版年も考えると、1910年代にはすでにその名が知られるカクテルだったと思われるが、カルーソが米国で人気を得るようになった時期を考慮すれば、考案されたのは1904~05年以降であろう。

 なお、カルーソは米国サンフランシスコでの公演ツアー中の1906年4月18日、同地に壊滅的な被害を与えた大地震(M7.9 死者3000人以上)に遭遇したことでも知られる。カルーソは地震直後、惨状を伝える文章やスケッチを描き残し、それは後に出版物で紹介され、反響を呼んだ(今日でも閲覧可能)(出典:sfmuseum.org/1906/ew19.html)。

【確認できる日本初出資料】 世界コクテール飲物辞典(佐藤紅霞著、1954年刊)。

 *************************************

33. シャンパン・カクテル(Champagne Cocktail) 【2016~19年改訂新版】で記述内容を更新しました。 そちらを ご覧ください。



34.チャーリー・チャプリン(Charlie Chaplin)

【レシピ】 スロー・ジン(30)、アプリコット・ブランデー(30)、レモン・ジュース(30)、ライム・ピール
【スタイル】 シェイク 【グラス】ラージ・カクテルグラス

 喜劇王・チャーリー・チャプリンに捧げられたカクテル。詳しい誕生の経緯や時期は不明だが、石垣憲一氏の著書「カクテル ホントのうんちく話」(2008年刊)によれば、少なくとも1920年以前、チャプリンがハリウッド映画で活躍し始めた1910年代半ばには考案されていたという。

 考案されたのは、ニューヨークのウォルドルフ・アストリア・ホテルのバーという説もあり、同ホテルのカクテルブック(The Old Waldorf-Astria Bar Book、1935年刊)にも収録されている。

 1977年にチャプリンが死去するまではライム・ジュースを使うのが一般的だったが、米国内でレモン・ジュースを使うのが主流となったことで、とって代わられたという。

 欧米ではかなり昔からスタンダード・カクテルとして知られていたが、日本国内で知られるようになったのは1970年代に入ってからということもあって、収録しているカクテルブックは極めて少ない(Webの専門サイトでは、たくさん紹介例はあるが…)。

【確認できる日本初出資料】 サントリー・カクテルブック(1984年刊)。


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Last updated  2021/07/03 11:02:49 AM
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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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