ところが、この「ディアボラ」は現行版の「Harry’s ABC Of Mixing Cocktails」では、「ディアボロ(Diabolo)」と名前を変えて生き残っています。そして加えて、「エル・ディアブロ(El Diablo)」というカクテルも収録されています。このレシピは、テキーラ4分の3、クレーム・ド・カシス8分の1、ライム・ジュース8分の1、ジンジャー・ビア適量、カット・ライムで、まったく別物のカクテルです。
カクテル史に詳しい米国のバーテンダー、ジム・ミーハン氏によれば、1930年代のロンリコ・ラムのパンフレットには、ラム・ベースの「エル・ディアブロ(El Diablo)」のレシピが載っており、その後1937年に刊行された「The How and The When」(Hyman Gale & Gerald Marco共著)にも同じカクテルが収録されているそうです(レシピの詳細は不明)。
「エル・ディアブロ」は、1940年代に米カリフォルニア州オークランドの無名のバーテンダーが考案したという逸話(出典:欧米のWeb専門サイト)が伝わっていますが、現時点では裏付け資料には出合っていませんし、ベースは何の酒だったのかは定かではありません( 写真右
= El Diablo @ Bar K )。
テキーラ・ベースのものが登場する最も古い文献は、「マイタイ(Mai-Tai)」の考案者でもあるビクター・バージェロン(Victor Bergeron)が1946年に著したカクテルブック「Trader Vic’s Book of Food and Drink」(出典:wiki.webtender.com)です。当時は「Mexican El Diablo」という名でしたが、レシピは現代のものとほぼ同じです。
なお、マッケルホーンは改訂版で「ディアボロ」と名前を修正しましたが、「ディアボラ」というカクテルは、「The Savoy Cocktail Book」(ハリー・クラドック著 1930年刊)や「Bartender's Standard Manual」(フレッド・パウエル著 1979年刊)など、別のカクテルブックではしぶとく生き残っています。あぁ、ややこしい!
◆テキーラ・ベース ・「Trader Vic’s Book of Food and Drink」(ビクター・バージェロン著 1946年刊)米 El Diablo = テキーラ3分の2、クレーム・ド・カシス3分の1、ジンジャー・エール適量
・「Harry’s ABC Of Mixing Cocktails」(ハリー・マッケルホーン著 1986年改訂版)仏 & 「Bartender’s Standard Manual」(フレッド・パウエル著 1979年刊)米、 El Diabolo= テキーラ4分の3、クレーム・ド・カシス8分の1、ライム・ジュース8分の1、ジンジャー・ビア適量、カット・ライム
・「Complete World Bartender Guide」(2009年刊)米 El Diablo= テキーラ7分の3、クレーム・ド・カシス7分の1、ライム・ジュース7分の3、ジンジャー・ビア適量、カット・ライム
◆ポートワイン・ベース ・「New York Bartender’s Guide」(アン・サリー・バーク著 1995年刊)米 Diablo= ホワイト・ポートワイン3分の2、ドライ・ベルモット3分の1、レモン・ジュース4分の1個分、レモン・ツイスト
・「Complete World Bartender Guide」(2009年刊)米 Diablo= ホワイト・ポートワイン5分の3、ドライ・ベルモット5分の2、レモン・ジュース2~3dash