ハリー・マッケルホーン(Harry MacElhone)の「ABC Of Mixing Cocktails」(1919年初版刊)も、この誕生当初のレシピに従っています。従って、このレシピの「ギムレット」というカクテルは1910年代のロンドンやパリではすでに登場していたことは間違いありません(マッケルホーンは現行版の「Harry’s ABC …」でもこのレシピを採用していて、違いはステアがシェイクに換わったくらいです)。
ギムレットに関しては、「1890年頃、英海軍いた軍医トーマス・D・ギムレット卿(Sir Thomas D. Gimlette 1857~1943)が、酒の飲み方を知らない新人将校の飲みすぎを防ぐために、ジンにライムを混ぜて飲むことを提唱したことから、彼の名がカクテル名で定着した」という有名な逸話が伝わっています。ギムレット卿は実在の人物ですが、こうした逸話を裏付ける資料・データは見つかっていません( 写真
= Gimlet @ Bar Papa Hemingway)。
さて、話が少し横道にそれてしまいましたが、マッケルホーンとその子孫は、ギムレットのレシピに関しては結構頑固なようです。1986年以降の改訂版でも生のライム・ジュースは使わず、ライム・ジュース・コーディアルにこだわっています。この頑固さについては「サヴォイ・カクテルブック」を著したハリー・クラドック(Harry Craddock)も同じで、収録されているギムレットのレシピは、オリジナルを守っています(しかし、Harry’s New York BarやSavoy HotelのAmerican Barでは、今でも本当にこのオリジナル・レシピでギムレットを出しているのでしょうか? どなたか飲まれた方はいらっしゃるでしょうか?)。