Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2017/05/05
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 48.ニッカーボッカー(Knickerbocker)

【現代の標準的なレシピ】 【スタイル】 シェイク

 19世紀半ばに誕生した最初期の古典的カクテルの一つです。考案者は伝わっていません。カクテル名は、ニューヨークに数多くやって来たオランダ系移民が愛用していた「短ズボン」に由来し、転じて「ニューヨーク市民」のことを指す俗語としても知られています。

 しかし、残念ながら現代日本のバーでの知名度はそう高いとは言えません。私自身もバーで頼んでいる人や、お客様に勧めているマスターを見たことは、ほとんどありません。ところが「ニッカーボッカー」は、欧米では現在に至るもそれなりに名の知られたカクテルで、クラシック・カクテルが近年再評価されていることもあって、再び人気ドリンクの一つとして注目を集めています。

 欧米のカクテルブックで「ニッカーボッカー」が初めて登場するのは、“カクテルの父”とも言われるジェリー・トーマス(Jerry Thomas)のカクテルブック「How To Mix Drinks or the Bon-Vivant's Companion」(1862年初版刊)です。
 そのレシピは、「ラム1Glass、キュラソー2分の1tsp、ラズベリー・シロップ2tsp、ライム(またはレモン)・ジュース2分の1個分(シェイク・スタイル)」となっています(※ただし、ニッカーボッカーは本文の「Cocktails」の項ではなく、「Fancy Drinks」という項に「トム&ジェリー」や「プース・カフェ」などと共に登場しています)。

 ちなみに、トーマスの本以降、1880~1940年代の主なカクテルブックは「ニッカー・ボッカー」をどう取り扱っていたのか、どういうレシピだったのか、ひと通りみておきましょう。

・「Bartender’s Manual」(ハリー・ジョンソン著、1882年初版刊、1934年再版刊、2008年復刻版刊)米 ラム1Glass、キュラソー2分の1Glass、ラズベリー・シロップ2tsp、レモン・ジュース2dash、氷、飾り=パイナップル・スライス、オレンジ・スライス(ステアまたはシェイク・スタイル)

・「Modern Bartender's Guide」(O.H.バイロン著、1884年刊)米 ラム1Glass、キュラソー2分の1Glass、ラズベリー・シロップ2tsp、レモン・ジュース2分の1個分、氷、飾り=パイナップル・スライス、オレンジ・スライス(ステア・スタイル)

・「Modern American Drinks」(ジョージ・J ・カペラー著、1895年初版、2008年復刻版刊)米 ラム1jigger(約45ml)、キュラソー2分の1pony(約15ml)、Glass、ラズベリー・シロップ1pony(約30ml)、レモン・ジュース2分の1個分、飾り=パイナップル、オレンジ、レモンのスライス(ビルド・スタイル)

・「Bartenders Guide: How To Mix Drinks」(ウェーマン・ブラザース編、1912年初版、2008年復刻版刊)米 ラム1Grass、キュラソー3dash、ラズベリー・シロップ3tsp、レモン・ジュース2分の1個分(ビルド・スタイル)

・「ABC of Mixing cocktails」(ハリー・マッケルホーン著、1919年刊)英 ラム3分の2、ラズベリー・シロップ1tsp、レモン・ジュース1tsp、オレンジ・ジュース1tsp、キュラソー2dash、パイナップル1切れ(飾り) 
 ※ラム「3分の2」という表記だけで、残りの「3分の1」については、マッケルホーンはなぜか触れていません。

・「The Savoy Cocktail Book」(ハリー・クラドック著、1930年刊)英 ラム3分の2、キュラソー2dash、ラズベリー・シロップ、レモン・ジュース、オレンジ・ジュース各1tsp、飾り=パイナップル・スライス)※ただし、「ニッカーボッカー・スペシャル(Knicker-bocker Special)」との名で掲載されています。
 ※同著には「ニッカーボッカー」というカクテルも収録されていますが、ジン3分の2、ドライ・ベルモット3分の1、スイート・ベルモット1dash、レモン・ピール(シェイク・スタイル)と、明らかにマティーニのバリエーションです。
 なぜ、マティーニのバリエーションとして「ニッカー・ボッカー」という名のカクテルが生まれたのか、本来の「ニッカー・ボッカー」がなぜ「ニッカー・ボッカー・スペシャル」とその名が変わってしまったのかは、今後解明すべき課題です。

・「Cocktails by “Jimmy” late of Ciro's」(1930年初版刊、2008年復刻版刊)米 ラム4分の3、オレンジ&レモン・ジュース4分の1、キュラソー2dash、飾り=パイナップル・スライス(スタイル不明)

・「The Artistry Of Mixing Drinks」(フランク・マイアー著 1934年刊)仏 ラム1Grass、ラズベリー・シロップ1tsp、レモン・ジュース&オレンジ・ジュース各1tsp、飾り=パイナップル・スライス(シェイク・スタイル)

・「The Official Mixer's Manual」(パトリック・ギャヴィン・ダフィー著 1934年刊)米 ラム3分の2、キュラソー3分の1、ラズベリー・シロップ、レモン・ジュース、オレンジ・ジュース各1tsp、パイナップル・スライス=クラッシュド(シェイク・スタイル)

・「Mr Boston Bartender’s Guide」(1935年刊)米 ラム60ml、キュラソー2分の1tsp、ラズベリー・シロップ1tsp、レモン・ジュース1tsp、オレンジ・ジュース1tsp、飾り=パイナップル・スライス(シェイク・スタイル)

・「The Old Waldorf-Astoria Bar Book」(A.S.クロケット著 1935年刊)米 ブランデー45ml、レモン・ジュース2分の1個分、アンゴスチュラ・ビターズ2dash、角砂糖1個、レモンピール  ※「Knicker-bocker」を名乗っているが、ベースの酒もレシピもまったく異なる。

・「Café Royal Cocktail Book」(W.J.ターリング著 1937年刊)英 ラム45ml、キュラソー2dash、分の1tsp、ラズベリー・シロップ、レモン・ジュース、オレンジ・ジュース各3dash、飾り=パイナップル・スライス(シェイク・スタイル)

・「Trader Vic’s Book of Food and Drink」(ビクター・バージェロン著 1946年刊)米 ラム60ml、キュラソー2分の1tsp、ラズベリー・シロップ、レモン・ジュース、オレンジ・ジュース各1tsp、飾り=パイナップル・スライス(シェイク・スタイル)=「ニッカーボッカー・スペシャル」の名で収録。※サヴォイ・カクテルブックと同様、「ニッカーボッカー」というマティーニのバリエーション・カクテルも併せて紹介されている。

 1950年代以前のカクテルブックでは、「ニッカーボッカー」と「ニッカーボッカー・スペシャル」のレシピが入れ替わっているケースは少なくありません。また、ブランデー・ベースの同名カクテルも著名なカクテルブックに登場するなど、現場には混乱が見られます。

 なお、上記で紹介したような古い時代の「ニッカーボッカー」レシピに登場するラムの種類(産地)ですが、サンタ・クルーズ(Santa Cruz)、セント・クロワ(St.Croix)と記されているケースが多く、ジャマイカ(Jamaica)、プエルトリカン(Puerto Rican)と記されている例もありましたが、とくに種類・産地・銘柄は指定せずというケースも相当数ありました。

 「ニッカーボッカー」は、日本にも1920年代末に出版されたカクテルブックに紹介されていることからも、20年代半ばまでには伝わっていたことは間違いありません。しかしラズベリー・シロップや生のラズベリーは日本では入手が難しかったこともあり、バーの現場ではその後もなかなか普及しませんでした。日本では、現在ラズベリー・シロップの入手はさほど難しくありませんが、生ラズベリーは高価なので(残念ですが)バーの現場ではあまり利用されていません。

【確認できる日本初出資料】 「カックテール」(安土禮夫著、1929年刊)。レシピは「ラム・ワイングラス1杯、キュラソー半杯、ラズベリー・シロップ大匙2杯、レモン汁2分の1個分、パイナップル・スライス、オレンジ・スライス各1切れ、氷(ビルド)」となっています。



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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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