Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2021/11/21
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カテゴリ: ITTETSU GALLERY
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 ITTETSU GALLERY:もう一つの成田一徹(381)~(400)

 バー・シーンを描いた切り絵で有名な成田一徹(1949~2012)ですが、実は、バー以外をテーマにした幅広いジャンルの切り絵も、数多く手掛けています。花、鳥、動物、職人の仕事、街の風景、庶民の暮らし、歴史、時代物(江戸情緒など)、歴史上の人物、伝統行事・習俗、生まれ故郷の神戸、小説やエッセイの挿絵、切り絵教則本のためのお手本等々。

 今回、バー・シーンとは一味違った「一徹アート」の魅力を、一人でも多くの皆さんに知ってもらいたいと願って、膨大な作品群のなかから、厳選した逸品を1点ずつ紹介していこうと思います(※一部、バー関係をテーマにした作品も含まれますが、ご了承ください)。
※故・成田一徹氏の切り絵など作品の著作権は、「Office Ittetsu」が所有しております。許可のない転載・複製や二次利用は著作権法違反であり、固くお断りいたします。








(381)「介護あの目この目/介護ざっくばらん」のための挿絵<上>  2000~01年
 ※2000年から翌年にかけて、一徹氏は共同通信配信の連載記事「介護あの目この目」(掲載紙によっては「介護ざっくばらん」というタイトルに)のための挿絵を担当した(筆者は複数の専門家。記事は全国各地の地方紙に掲載された)。
 「介護」という切り絵にするには少し難しいテーマ。一徹氏は当時、「大くくりなテーマなんで、何をモチーフにしたらいいのか迷った末、一から手作りで作り上げる様々な器の姿を添えようかと…」と語っていた。そして、毎回味わいのある器を、存在感たっぷりに描き上げた。せっかくなので、この挿絵の中から選りすぐった8枚を、2回に分けて紹介したい。





(382)ハロウィーン・かぼちゃ  2000年代前半
 ※昨日紹介した「介護あの目この目/介護ざっくばらん」の2回目<下>をきょうお届けするつもりだったが、きょうはハロウィーンということなので、きょうしか紹介できない作品を。一徹氏が描く「ハロウィーン・かぼちゃ」がこれ。
 ちなみに、元来「ハロウィーン」は古代ケルト人が起源と考えられている祭りだという(ケルト人にとって、1年の終わりは10月31日であるとのこと)。本来、キリスト教にとっては異教徒の祭りであることから、キリスト教教会においては、容認派から否定派まで様々な見解があるというが、一方で現代では、宗教的な意味合いはほとんどなくなっている。
 10月31日の夜は、死者の霊が家族を訪ねてくると信じられていた。かつては、有害な精霊や魔女から身を守るために仮面を被り、魔除けの焚き火を焚いた。現代ではこれに因んで、カボチャをくりぬき、蝋燭を立てて「ジャック・オー・ランタン (Jack-o'-lantern)」を作り、魔女やお化けに仮装した子供たちが近くの家を1軒ずつ訪ねては「トリック・オア・トリート!(Trick or treat!=「お菓子をくれないと悪戯するよ」)」と唱えて回る。家庭では、カボチャの菓子を作り、子供たちはもらったお菓子を持ち寄り、ハロウィン・パーティを開いたりする(上の2段落の記述は、Wikipediaの説明を参考にしました)。
 以上、いずれにしても、いい歳をした大人が仮装をして、飲んで騒いで街で暴れる日ではない。くれぐれも他人に迷惑をかけないで楽しみたい。











(383)「介護あの目この目/介護ざっくばらん」のための挿絵<下>  2000~01年
 ※2000年から翌年にかけて、一徹氏は共同通信配信の連載記事「介護あの目この目」(筆者は複数の専門家。掲載紙によっては「介護ざっくばらん」というタイトルに)のための挿絵を担当。毎回味わいのある器を、存在感たっぷりに描き上げた(記事は全国各地の地方紙に掲載された)。一昨日の「上」に続き、残りの4枚を紹介する。





(384)禁酒法下のシアトル港で  1995年
 ※故・伊藤精介氏の連載エッセイ「今宵どこかのBARで」(95~97年、集英社刊「スーパージャンプ」誌上)の第14回「禁酒法密輸事件」のために制作された挿絵。米禁酒法下(1920~33)、北米航路の日本の客船に乗務していたバーテンダーS氏の思い出を紹介する。
 シアトル港での入国検査の際、税関長からこっそりウイスキーやシャンパンの密輸を頼まれたS氏。「仕入れ値の2倍の値段で買う」という税関長の言葉に乗せられ、毎回、上海から日本経由でシアトルまで密輸し続けた。寄港の際、乗船してきた検査官は葉巻を渡して買収したという。伊藤氏が言いたかったことは、最後の段落の中の一行に尽きている。「この世から酒を一掃しようなんて、どだい無理な話なのだ」と。コロナで酒類提供を禁止された身としては、激しく同意したくなる。





(385)「脳外科医の独り言/医師の目 人の目」のための挿絵  1993年
 ※1993年から94年にかけて、一徹氏は、神保実・東京女子医大教授(当時)の連載エッセイ「医師の目 人の目」のための挿絵を担当した。エッセイ(記事)は共同通信が全国の地方紙に配信。新聞社によっては、「脳外科医の独り言」というタイトルに変更して掲載した。
 毎回のテーマは「尊厳死」「くも膜下出血」「運命論者」「バビンスキー反応」「脳腫瘍」など難しいものが多かったが、一徹氏も毎回、あの手この手で工夫した。これは第3回の「バリアフリー住宅」というタイトルの回に添えられた挿絵。連想から「究極のバリアフリー」である茶室を描いたのだろう。











(386)「美術探偵・仙堂耿介(こうすけ)シリーズ」のための挿絵  1997~99年
 ※一徹氏は、作仙家・高橋克彦氏の連載小説「美術探偵・仙堂耿介(こうすけ)シリーズ」のための挿絵を3年ほど(1997~99年)担当した。小説は江戸時代の美術品の贋作を巡る事件などをテーマとした。挿絵は、内容に合わせて江戸の風俗・文化、伝統行事・郷土玩具などを主にモチーフとしたが、必ずしも絵を小説の筋書きに合わせるようなことはしなかった。なので、挿絵というより独立した作品として見てほしいと思う。





(387)「らくだ」の歌詞の秘密  1995年
 ※作家の半藤一利氏(故人)の連載エッセイ「歴史探偵かんじん帳」(毎日新聞日曜版、1994~95年)の第31回「下町言葉の巻(4)」の挿絵として制作したもの。笑い転げながら、何やら歌をうたう老人。周りには、訳のわからないカタカナ言葉が並ぶ。これは有名な江戸古典落語「らくだ」に登場する「カンカンノウ」という唄の歌詞をカタカナで表記したものらしい。
 半藤氏によれば、実は、元唄は清の時代のもので、実は耳で聞いた中国語(の発音)を無理やり、カタカナで表したとのこと。文政三、四年頃(1820年頃)の江戸の町で流行ったが、歌詞の内容を理由に幕府が禁止令を出したとも伝わるという。で、どんな意味の歌詞かと言えば、ここではちょっと説明しづらい、まぁ俗に言う「春歌、艶歌(つやうた)のようなもの」と思っていただければよい。いずれにしても、半藤氏の博覧強記には恐れ入る。





(388)タイガージェット・シン  1990年前半
 ※何の媒体で使われたのかは不明な作品だが、描かれているのはプロレスラーのタイガージェット・シン(1944~)=左(襲われている右側の人は誰なんだろう?)。
 タイガージェット・シンと言えば、一時代を画したインド出身の悪役レスラー。トレードマークは”凶器”として使ったサーベル。たびたび来日し、アントニオ猪木、ジャイアント馬場らと名勝負を繰り広げた。現在は引退し、カナダに在住とのこと(一徹氏は意外かもしれないが、プロレスをネタにした切り絵作品を多く手がけていて、結構好きだったのかもしれない)。





(389)揖保の糸  2000年代前半
 ※兵庫県西部・播州地方の名産、手延べ素麺の「揖保の糸」。その製造過程を描いたカラー作品。残念ながら、(昨日に続き)これも何の媒体で使われたのかは不明である。おそらくは観光パンフか何かのエッセイの挿絵ではないかと想像している。「揖保の糸」については、ほぼ同じ時期(2003年)に「どこへ一徹 切り絵旅」(朝日新聞大阪本社版夕刊連載)という連載でも一度取り上げている(下の画像ご参照=当時の紙面からのスキャニングのため画質が粗いことはご容赦ください)が、この時は屋外での乾燥工程を描いた。






(390)異国の街から  1990年代前半(推定)
 ※当分は時折り、制作目的や発表媒体が不明の作品が続く。異国の街角。蘭燈のような街灯。周囲には街路樹が…。遠くに見える建物の屋根には煙突が立ち、テレビ?のアンテナも。ロンドンのような雰囲気もあるが、正直よく分からない。制作時期もあくまで推定である。残念ながら、残された作品には情報不足のものが多く、リサーチの旅は続く(何か情報をお持ちの方はぜひご教示くださいませ)。





(391)老人と海  2002年
 ※2002年に、漫画原作者・城アラキ氏とのコラボレーションで刊行した切り絵コミック「ザ・シガー・ストーリー 葉巻をめぐる偉人伝」(集英社・刊)の第9話「ヘミングウェイ」の1ページとして制作された。タイトル通り、文豪の名作「老人と海」=1952年発表=をテーマにした作品(後に、2011年刊行の「成田一徹の切り絵入門」でも「作例」として収録された)。





(392)ビールには枝豆  1990年代前半
 ※丹波の黒枝豆の季節も終わってしまったが、ビールと枝豆は、居酒屋でも家でも”鉄板”の組み合わせ。この頃、定期的に依頼されていた毎日新聞休刊日お知らせ用チラシのための挿絵として制作されたカラー作品。





(393)葉 脈  1993年  ペン画
 ※本日は久しぶりに切り絵ではない作品を紹介する。第279回で登場したバッタのペン画(下のコメント欄ご参照)と同様、製図用の径0.1mmのペンを使った、かなり細密な絵。点描と線描を駆使して描いている。この年出版したトリノまさる氏との共著「ペンとカラーインクで描く」(グラフィック社・刊)の「作例」のために描いた作品だが、実際には本には収録されなかった。
 前回も同じことを書いたが、1993年と言えば、すでに切り絵作家としての評価・知名度がかなり広がっていた頃。なぜ、一徹氏が(共著とは言え)このような本に関わることになったのか、少し不思議である。生前、本人に聞いておけばよかった…。





(394)旧・函館ロシア領事館  1990年代前半
 ※絵のタッチから想像するに、先般紹介した「赤ひげ異人伝」での作品と同じ時期に制作されたものと思われるが、何の記事に添えられた作品なのかは現時点では不明である。
 函館の旧ロシア領事館は、1858年(安政5年)に開設された。ロシア革命後、日ソ基本条約締結によりソビエト連邦の領事館となった。現存の建物は、初代が火事で焼失した後、1908年(明治41年)に再建された二代目。領事館は太平洋戦争末期の1944年に閉鎖された。戦後は外務省の管理となり、1964年に函館市が購入。歴史的文化財として保存(内部は非公開)されてきたが、2020年には、市が旧ロシア領事館売却を検討しているとの報道も。貴重な建物の行く末はどうなるのだろう。





(395)レトロな電話器  1995年頃
 ※作家・邱永漢氏(1924~2012)のエッセイ「鮮度のある人生」(月刊「ほんとうの時代」誌連載)のための挿絵として制作。連載は1994~96年の約2年間、計20回続いた。





(396)冬薔薇の落花  1994年頃
 ※何という雑誌なのかは不明だが、一徹氏は「旬のたより」という連載の挿絵を担当していた。これはその中の1枚。「散りしきし冬薔薇 花とは思えず<川島彷徨子>」という自由律の俳句が添えられており、絵もその句の内容に合わせたものになっている。





(397)不思議な灯り  1990年代前半?
 ※灯りの下での読書。その灯りにツタが絡まり、先は本のページにまで達している。いや、「絡まっている」というより、灯りそのものからツタの枝が伸びているようにも見える。何とも摩訶不思議な絵柄。これも残念ながら、何のために制作したのか、実際に印刷媒体に載ったのかどうかも、よく分からない作品である(何か情報をお持ちの方はご教示をお願いしたい)。





(398)男の肖像  1990年代前半
 ※人間像を、可能な限り直線だけでどれだけ表現できるか。そんなテーマに挑んだのではないかとも思われる男性の肖像。ニューヨークにあこがれて、たびたび現地を訪れていた頃、出会った黒人男性をイメージしたのかもしれない。昨日に続き、この絵も何のために制作したのか、実際に印刷媒体に載ったのかどうかも、よく分からない作品である(何か情報をお持ちの方はご教示をお願いしたい)。





(399)紅葉の秋<1>  1990年代半ば
 ※列島各地で紅葉の便りが聞かれるこの頃。一徹氏も「紅葉」は好きなテーマだったが、どちらかと言えば、樹上の紅葉よりも木から落ちた紅葉の方に絵心をそそられることが多かったようだ(下の画像ご参照=第21回で紹介した作品)。本日からそういう作品を4日連続で紹介したい。初回の作品は、毎日新聞の休刊日お知らせチラシのために制作されたもの。






(400)紅葉の秋<2>  1990年代後半
 ※昨日に続いて紅葉のカラー作品。どこかの寺だろうか、塀の上の瓦に落ちた、美しい紅いモミジを描いている。黒、グレー、赤のコントラストが見事だ(発表媒体や発表された作品かも不明)。



◆故・成田一徹氏の切り絵など作品の著作権は、「Office Ittetsu」が所有しております。許可のない転載・複製や二次利用は著作権法違反であり、固くお断りいたします (著作権侵害に対する刑罰は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金という結構重いものです)。

※「ITTETSU GALLERY:もうひとつの成田一徹」過去分は、 こちらへ



★過去の総集編ページをご覧になりたい方は、 こちらへ。

【Office Ittetsuからのお願い】成田一徹が残したバー以外のジャンルの切り絵について、近い将来「作品集」の刊行を計画しております。もしこの企画に乗ってくださる出版社がございましたら、arkwez@gmail.com までご連絡ください。

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汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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