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2020年08月10日
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カテゴリ: ニュース
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聴覚障害の母がダウン症次男を切りつけた孤独と誤解




ダウン症で重度の知的障害のある次男(36)を

包丁で殺害しようとしたとして、

殺人未遂罪に問われた母親(70)に大阪地裁堺支部は7月、

執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。


聴覚障害があり、生まれつき耳が聞こえない母親。

〈心が苦しかった〉。

法廷では手話を交え、事件への後悔と次男への愛情をにじませた。

無理心中に至った2人の孤独と思い込み。

裁判長は「境遇を踏まえると、あまり非難できない」と述べた。
​​



​ 手話で〈謝りたい〉


 昨年10月20日、堺市中区の自宅。

その日は次男が通う作業所は休みだった。


 包丁を取りに台所に向かった母親。


背中に包丁を隠したまま次男と向かいあうと、

そのまま首を切りつけた。


腕をバタバタと動かして抵抗する次男の姿に、

涙があふれた。

それでも再び、包丁で切りつけた。


 自らの首も切った。

数時間後に意識が戻ると、近くに住む姉にファクスを送った。

「たすけて」-。


 大阪地裁堺支部で開かれた母親の被告人質問。

「息子はどういう存在か」。

弁護士がこう問うと、手話を交えながら説明し、目を赤くした。

〈かわいい子〉。

被害者である次男には、

顔を見て自分のしたことを〈謝りたい〉と訴えた。


 証人として出廷した長女によると、

「(次男は)母親の言うことだけは『分かった』と素直に聞いていた」。

親子仲は良好だったという。


 一命をとりとめた次男は事件後、施設で暮らしている。

事件の影響からか、母親の存在を怖がる一方、

その身を案じることもあるという。




​ 自殺とどまった理由


 2人に何があったのか。

 判決などによると、母親には長女、長男、次男の3人の子供がいた。

平成25年に長女、29年に長男が独立すると、

以降は次男と2人で生活。


次男との意思疎通は簡単な手話で行われていたが、

自力では入浴や排泄(はいせつ)ができない次男の身の回りの世話は、

母親が一人で行っていた。


ただそんな母親も、

徐々に精神に不調をきたすようになっていた。

 事件の3カ月前。

次男が作業所の旅行で家を空けた日を見計らい、

自殺しようと思い、行く当てもなく電車に乗った。


ある駅で降りてしばらく歩いていると、

深い谷にかかる橋にさしかかった。

橋から身を投げようとしたが、それ以上は体が動かなかった。


 〈とにかく心が苦しかった〉。


公判で母親が当時を振り返った。なぜ自殺を踏みとどまったのか。

理由は次男の存在だった。

自分が死んでしまうと〈息子が1人になる〉。


 長女は母親について「悩みや困りごとを相談できない性格」と述べた。

数年前に亡くなった夫との不和により、

「思っていることを抱え込むようになってしまったのかな」。

​​

​一方的な思い込み​

 厳しい生活だった。

それでも親子は互いを信じ、何とか生きていた。

だが事件直前、決定的ともいえる出来事が起きた。


 日本年金機構から母親宛てに届いた通知。

親子の生命線だった障害年金の受給額に関するものだ。


母親は2カ月に1度、約16万円を受け取っていたが、

10月以降は約2千円減額される。


そんな内容だった。


 しかし、いつまでたっても次男宛ての通知が届かない。実は今回、

年金が減額されるのは母親だけで、次男への通知は届くはずがなかった。

 ただ母親の受け止めは違った。

「次男の年金が打ち切られる」。

生来の性格からか、

年金口座や生活費の管理を任せていた長女にも相談しなかった。


 次男の年金が止まれば、収入のおよそ半分を失う。

「このままでは2人で生活ができない」。

早合点からの思い込みだった。

次男を1人にはできない。

将来を悲観した母親は、無理心中を決めた。



​ 「自分を大切に、長生きを」

​

 今年7月17日。

大阪地裁堺支部は懲役3年、

執行猶予4年(求刑懲役3年)の有罪判決を言い渡した。


 「少なくとも半年程度、精神的に追い詰められていた」。

安永武央裁判長は判決理由で、母親の心情をこう推し量った。


身勝手な犯行を指弾する一方、

「2人の境遇や生活状況を踏まえると、

自殺する際に次男を殺そうとしたことはあまり非難できない」

とした。


 最後に、安永裁判長は裁判員からのメッセージを読み上げた。

「2人とも死なずに済んだことは本当に良かった。

困ったことがあれば周りに相談し、自分を大切にして長生きしてください」。

法廷で母親は目元をぬぐっていた。

​ [産経新聞] ​






母親の障害年金の減額通知に、

途惑い、錯乱状態になったことは間違いないですね。



ご無事で本当に良かったです。 ☄

​​​






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Last updated  2020年08月31日 20時34分09秒
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