東方見雲録

東方見雲録

2024.11.14
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カテゴリ: 政経
名和:ガブリエルさんは、コーポレートガバナンスの一環として最高哲学責任者(CPO:Chief Philosophy Officer)と倫理委員会を置くべきだとおしゃっていますね。

ガブリエル:仮にCスイート(最高責任者職)の人々が集まった組織があり、CPOが率いているとしましょう。ちなみに、最高倫理責任者(Chief Ethics Officer)としなかったのはCEO(最高経営責任者)と被ってしまうからです。

この集団の機能は、まず社内の企業文化に目を向けることです。企業文化の道徳的事実は何か。他のどのよい社会的関係においても、まずは内部から始めて、自分自身の魂に取り組む。そうすれば、対外的関係はよりよいものになるでしょう。

次に製品を通して顧客との外部関係を見ていきます。自社は何をしているのか。市場で人々とどのような関係を持っているのか。すべて倫理的観点から評価し、矛盾があれば、すぐに解決を図らなくてはなりません。
・・・・
CPOは社内のあらゆる階層に、道徳的事実を尊重することを徹底させます。だからこそ、CPOチームには経済学者も入れて活用しなければなりません。CPOチームは企業にとって新たな経済的機会を突き止めることができます。

これはダウンレギュレーション(下方制御)ではなく、アップレギュレーション(上方制御)の一環です。人々はこうしたものを望んでいるようです。


生命科学の概念を経済の議論に持ち込む
ガブリエル:人間は動物ですから、私たちの経済活動はある種の合理的動物の活動です。たとえば、人間の細胞にはウイルスが組み込まれて、共生しています。細胞の構造そのものが感染症考古学であり、ウイルスやバクテリアは進化の原動力となってきました。

パンデミックでは、ウイルスの世界が人間の世界を攻撃します。それに対して、ワクチンで免疫を獲得し、感染をコントロールするのが現代的な解決方法です。

「見立て」――日本再生の道は温故知新にある
名和:日本では何か新しいことを始めるよりも、ドイツ、アメリカ、イギリスなど海外に目を向けて競い合い、自ら新しいシステムを考え出そうとしない傾向があります。これは日本を再生させるときにはいい方法なのでしょうか。

ガブリエル:最近、茶道で「見立て」という素晴らしい言葉を知りました。

名和:禅の奥義に日常における「今、ここ(而今)」の大切さを知るように、あるものを別のものとして見て、その趣向を楽しむのが「見立て」ですよね。

ガブリエル:そうです。真似して対処するのとは違う、素晴らしい融合方法です。ハイデルベルクの有名な哲学者であるハンス=ゲオルク・ガーダマーは「地平融合」という素晴らしい概念を提唱しています。ある時代の文化が1つの地平であり、他にも地平がある。それらを融合させると、これまで見えなかった新しいビジョンが見えてくるというのです。

「見立て」もそういうもので、日本の近代化のサクセスストーリーをつねに担ってきたと思うのです。日本は他のアジア諸国のように侵略や植民地化されることなく、独自に近代化を果たしました。

日本の近代化は、私の友人の多くが思っているほど外的なものではありません。そうせざるをえなかったから近代化したのではなく、改革者たちは未来を見据えて、16、17世紀に、そして、明治維新後には、明らかに何かしないといけないと感じていた。

京都先端科学大学ビジネススクール教授、一橋ビジネススクール客員教授
1980年東京大学法学部卒業、三菱商事入社。90年ハーバード・ビジネススクールにてMBA取得(ベーカー・スカラー)。その後、約20年間、マッキンゼーのディレクターとしてコンサルティングに従事。10年より一橋大学教授。22年より現職。ボストン コンサルティング グループ、アクセンチュアのシニアアドバイザー、ファーストリテイリング、デンソー、味の素などの社外取締役を歴任。現在、SOMPOホールディングスの社外取締役、朝日新聞社の社外監査役など。著書に『パーパス経営』(東洋経済新報社)、『超進化経営』(日本経済新聞出版社)、『問題解決と価値創造の全技法』(ディスカヴァー21)などがある。
引用サイト: こちら

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Last updated  2024.11.22 06:28:32
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