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January 8, 2007
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カテゴリ: 今日もいい日だ



ということで、今日は両親を連れて地元に最近できた「西山美術館」というところに行ってきました。

西山美術館というのは、ようするに「ダスキン」という会社の社長が自分の趣味で作ってしまった美術館らしいのですが、ロダンとユトリロの専門美術館です。

ま、田舎に急にぽつんとできた、何となくいかがわしい(失礼!)美術館だものですから、最初はあまり期待もせず、「話のタネに」ぐらいのつもりで行ったのですけど、これが案外良かったんですわ・・・。

まずロダンですが、『考える人』(これもロダンの生前に鋳造した8体のうちの最後のものだそうです)や、デビュー作だった『鼻の曲がった男』なんかもあって、それなりに面白かったです。『鼻の曲がった男』というのは、コンクールへ出展するつもりで前日まで作っていたのだけど、たまたまものすごく寒い夜だったものだから、一夜明けたら作品が割れて、鼻も曲がってしまったのですって。で、さすがの若きロダンも絶望したようですが、半ばヤケになってその半分に割れ、鼻の曲がった男の顔を出展したら、なんとそれが彼の初めての入選作になってしまったのだとか・・・。運命ってのは、分からんものですな。

しかしロダンのコーナーでは、素描・版画もよかった。ま、当たり前なんですけど、すごく上手で、味わいがありました。

で、今度はユトリロの方を見たわけですが、こちらはロダン以上に圧巻。ユトリロの作品の中でも質のいいものが50点くらい展示されているんですよ。これにはちょっとびっくり。

ま、私は別にユトリロ・ファンというわけではなく、詳しいことは知らなかったんですけど、ユトリロってのは相当に数奇な運命をたどった人のようで。

まず彼の母親というのが、当時の若く有能な画家たち(ピカソとか、そういう連中ですわ)のモデルをやっていて、それで18才の時に、誰の子なんだか分からない子を生んじゃった。それがユトリロなんですな。



ユトリロの画業は6つの時代に分かれ、最初期である「モンマニーの時代」から「緑の時代」、「白の時代」、「色彩の時代」・・・などを経ていくらしいのですが、特に彼の真価が発揮されたのは「白の時代」で、この美術館にはこの時代の作品が19点もある。ユトリロはこの独自の「白」を出すために、貝殻を粉にしたもの、煙草の灰、白砂、それから鳩の糞までも絵の具に混ぜ、心血を注いで研究したのだそうで、確かにどれも素晴らしい出来。これは見とれてしまいます。

特に白の時代の絵を見ていると思うのですが、ユトリロの絵ってのは、まるで夢の中に出てくる風景みたいで、物音がしませんね。写実的なのに、どこか夢の中で見たしずーかな風景のようで、見ているとこちらの心もしずーかになってくる気がする。皇后の美智子さんがユトリロがお好きってのも、わかるような気がします。

また建物の壁など、白一色で平滑的に塗った部分など、ちょっとビュッフェを思わせるようなところもありますね。モダンで、ちょっとハッとするようなインパクトがあります。

ちなみにユトリロは晩年、51才の時に13才も年上の女性と結婚したようですが、この奥さんという人がパリ一の悪妻だったそうで、ユトリロの絵を勝手に売ってしまったり、酒を餌にユトリロに絵を量産させたりしたのだとか。そのせいか、晩年の絵は安い(といっても2千万、3千万のレベルだそうですが)のだそうです。

でも、私の目には、晩年の絵も、それはそれで軽みがあってよかったですけどね。

ところで、そんな感じで一通り見終わった頃でしたか、変な小男がやってきて、絵を見ている入館者を呼び集めるんです。何事かと思ったら、このおっさんが西山美術館の館長さん、つまりダスキン社長の西山氏だったのでありました。今日は休日だってんで、自らユトリロの解説をしようというわけです。

ま、一見、およそ芸術とは縁のなさそうなおっさんなので、こんな人の解説聞いてどうなるもんでもないだろうと思ったのですが、これが意外や意外、面白かったんですわ・・・。

確かに、これだけ熱を入れてユトリロを集めているのですから、やはり好きなんでしょうな。なかなかユトリロの生涯についてもよく知っているし、説明を聞いていても、情熱的なところがある。

で、所々、下世話な話も混じるのですけど、その下世話なところがなかなか面白いわけ。

たとえば、これだけユトリロの名品を揃えていると、デパートなどのユトリロ展に出展してくれと頼まれることもあるそうですが、「たかだか三万円の謝金くらいで、これらの絵を出す気にはなりません」なんて言われると、「ほう、絵のオーナーが展覧会に出展する時の謝金の相場はそのくらいなのか・・・」なんてことがわかります。

それから、やれ「絵を守るためにナショナルが作っている最高の絵画用電灯を使っている。この電灯1個7万円ですよ」とか、やれ「ここにある絵なんか、たかだか2千万くらいですけど、上の階にある奴は、どれもその10倍、20倍の値段ですよ」とか、やれユトリロ好きの美智子妃殿下に招待状を出したけど、おみ足がお悪いので、と断られてしまった、とか、そんな話がボロボロ出てくる。こういう下世話な話は、「評論家」大先生のレクチャーでは聞けませんからね。



ということで、西山館長のレクチャーも楽しむことが出来たし、ロダン、ユトリロの名品も楽しめたし、冬休みの最後を飾る、なかなかのイベントとなりました。小田急線鶴川駅からタクシーで10分の西山美術館、教授のおすすめ!です。できれば日曜日など、西山館長のレクチャーを聴くことのできる日にいらっしゃるといいのではないでしょうか。


さてさて、今日はこの後軽く夕食をとってから、夜の東名をひた走り、名古屋に戻ります。明日からはまた名古屋からの「お気楽日記」となりますが、引き続きご贔屓に。それでは、また!





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Last updated  January 8, 2007 05:08:33 PM コメント(8) | コメントを書く
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ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
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