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January 22, 2007
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カテゴリ: 教授の読書日記



しかし、今日は何だか足が筋肉痛で・・・。センター入試の試験監督って、結構体力要るんですよ。

試験監督中、机間巡視(またの名を機関銃巡視)をするのですが、この時足音を立てないよう気をつかって歩かなくてはならないんです。毎年受験生から「試験監督の足音がうるさい」という苦情が来ますのでね。

で、朝から夕方まで足音を立てないよう抜き足差し足で歩き回ると、これが足に来るんだ・・・。足音を立てないように歩くなんて、普段あまり心がけないですけど、こうしてたまに意識して歩いてみると、変に力が入ってしまってすごく疲れるんですわ。ほんと、ちょっとしたエクササイズですよ・・・。

あ!

いいこと思いついた! デューク更家に続く新たなウォーキング・エクササイズ! 「釈迦楽流『猫足ダイエット』」ってのはどう? 足音を立てないことに気をつかいながら歩くだけで2週間で3キロ痩せる! みたいな・・・。

「あるある大事典」に話もちかけて見ようかな・・・(爆)


閑話休題。


ところで毎年、センター試験の期間中、私は上着のポケットに文庫本を忍ばせておきます。さすがに試験監督を務めている間は読めませんけど、たとえば答案回収から次の試験までの5分、10分の休憩時間なんかにちょこちょこっと読もうと思ってね。



で、昨日私が読んでいたのは岸田秀の『不惑の雑考』(文春文庫)という本。岸田さんが40代の時に書いたエッセイを寄せ集めた本です。

岸田秀さんというのは、『ものぐさ精神分析』という本で一躍有名になり、一時はマスコミでよく取り上げられた人ですけど、今、どのくらい読まれているんでしょうかね。最近では、以前ほど名前を見かけないようですが・・・。

ま、それはともかく、岸田さんを有名にしたのは「唯幻論」という主張で、それによると人間というのは「本能の壊れた動物」だというのですね。で、本能が壊れているので、それとは別なものに頼って生きて行かなければならないんですが、その際人間が頼りにするのが「幻想」だ、というのです。たとえば日本民族には「血のつながった単一民族」という幻想がある。で、こういうふうに自分の民族を認識している国というのは他には例がなく、この特殊な自国に対する幻想を演繹していくと、なぜ日本人があれほど愚かな戦争に突入しちゃったか、なんてことがすごく明確に説明できたりする。

また日本の戦後思想のねじれを、男(アメリカ)にレイプされた女性(日本)の心境になぞらえて説明したりするんですけど、こういう説明の仕方も岸田さんの手にかかると実に説得力があるんだなー。ま、こういう説が学問的にどのくらい価値があるのか、私にはよく分かりませんが、無責任に読んでいる限り、「なるほど!」と思わされるところが多々あることは事実。大きな歴史的問題も卑近な事柄になぞらえて説明してくれるので、読み易いし分かり易い。

ちなみに岸田さんという方はその出生にまつわる家庭の事情がものすごく複雑で、それゆえ思春期の時に精神的にすごく悩んだ方なんですな。で、その時たまたまフロイトの精神分析に出会ってそれにのめり込み、その理論を応用して自己分析していったら自分の悩みの根源に辿り着くことが出来た。それで自分を苦しめていた悩みから解放されることが出来たんですね。ですから彼にとってフロイトの理論というのは、決して机上の空論ではなく、実質が伴っているわけですよ。岸田さんの心理学・精神分析というのは、そういうところから出発しているんです。彼の書くものに説得力があるのは、そのせいかも知れません。実体験に基づいていますからね。

ま、そんなこともあって、私も一時岸田さんの書かれるものを随分読んだのですが、今回久し振りに再読してみて、やっぱり面白いな、という認識を新たにしました。もし岸田さんの本を読んだことがないという方がいらっしゃいましたら、面白いですよ、とおすすめしておきましょう。

ところで、前に『不惑の雑考』を読んだ時には気づかなかったのですが、この本の文庫版の「あとがき」を俳優で作家の大鶴義丹が書いているんですね。私よりよっぽど若い人なのに、なんて生意気な・・・。

・・・と思って今回、その解説も読んだのですが、読んだら「なるほど」と思いました。

大鶴さんって、東京にある「超お坊ちゃん学校」の高校に通っていたのですが、半年でそこを退学してしまったんですって。ま、彼曰く「ワルだったので」ということですが、とにかく飛び出してしまった。そしたら、16歳で学校に行っていないことがどんなに大変なことか、思い知ったというのですな。

たとえば、暇なので渋谷などの盛り場に行くと途端に補導されてしまう。「学校はどうした?」というわけです。あるいは、レンタルビデオ屋に行ってビデオでも借りようとすると、それも出来ないというのです。学生証がないので会員になれないんですね。

つまり、この日本において、16歳で学校に行っていないという状況がいかにしんどいか、というのを、彼は思い知るわけですよ。



なるほどね~、って感じでしょ? そういうことならば、若い大鶴さんが岸田さんの本の「あとがき」を書く理由も理解できます。十分資格がありますよね。納得。

ただ・・・ま、敢えて言わせていただければ、私はそんな大鶴さんの「あとがき」を読んでいて、一つだけカチンと来たことがあるんです・・・。

実は大鶴さんの言う「都内の超お坊ちゃん学校」ってのは、私が小・中学校を過ごしたところでありまして、そこの卒業生として私は、この学校のことを「超お坊ちゃん学校」なんて呼んでもらいたくないんだなー。

確かにあそこは授業料のトンでもなく高い学校であり、その意味では「超お坊ちゃん学校」かも知れません。しかし、「お坊ちゃん」という言葉から連想されるような甘い学校では決してありません。独特の校風があって、それなりにタフじゃないと生き延びることは出来ないんです。夢のような素晴らしい学校なんですが、その一方で合わない人には合わない。で、その校風を知り抜いているからこそ、ワタクシは確信をもって言うのですが、大鶴さんはここの校風に合ってない感じがします。確かに半年持たないな・・・。

というわけで、いささか腹立ち紛れに言わせてもらいますと、彼は自分では退学の理由を「(自分が)ワルだったから」と言っていますが、真相は多分逆なんじゃないかしらん? ワルにこっぴどくいじめられたのではないの? 事実、そういう噂、聞いたことがありますもんね。人が知らないと思って、逆のこと言っちゃいけませんぜ、旦那。



じゃ、なおさら大鶴さんの「あとがき」は、岸田さんの本にふさわしいわけか・・・。

またまた納得。

ということで勝手に納得してしまいましたけど、そういうことも含め色々面白い本ですから、まだお読みでない方は是非!


追伸:

『不惑の雑考』(文春文庫)をアフィリエイトしようと思ったのですが、絶版でした・・・。仕方がないので、ここでは岸田唯幻論の原点、『ものぐさ精神分析』をおすすめしておきます。こちらももちろん面白いですから、おすすめですよ~!

これこれ!
↓

ものぐさ精神分析改版





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Last updated  January 22, 2007 11:11:53 PM コメント(4) | コメントを書く


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