教授のおすすめ!セレクトショップ

教授のおすすめ!セレクトショップ

PR

×

Profile

釈迦楽

釈迦楽

Keyword Search

▼キーワード検索

Shopping List

お買いものレビューがまだ書かれていません。
August 13, 2008
XML
カテゴリ: 教授の読書日記



 で、私が書評することになっている本というのは、アメリカ文学の研究書ではあるのですが、専門用語などは極力使わずに書いてあるし、また内容的に一般の人が読んでもそれなりに楽しめる内容になっていて、まあ一言で言って「いい本」です。

 が、出版元が英米文学とか英語系の教科書とかを手掛ける地味な出版社ですし、そういうところの常として、もともと出版部数もそんなに多くないと思われ、しかも値段が3400円ですから一般の人が買う本ではないですね。多分、そういうものとして、ベストセラーになることもなく、ロングセラーになることもないまま、闇から闇へ葬られ、息絶えることでしょう。

 いい本だからと言って、売れる本になるとは限らない。これが出版ビジネスの面白い、というか悲しいところでありまして。

 ところが逆に、大したことない本だなあ、と思う本がベストセラーになることはあります。ここがまた不思議なところなんですよね・・・。

 私はアメリカの出版ビジネスを専門に研究している身ですし、大学出版会に身を置いて本を出版しているくらいですから、日本の出版ビジネスについてもまるで知識がないわけではありません。しかし、日本の出版ビジネスに関して一つ、どうしてもわからないことがあります。それは「大手出版社」と言われるところがどうやって有望新人の原稿をゲットするか、ということです。

 もちろん、小説の場合ならわかります。小説の場合は色々な「新人賞」がありますからね。自分でなかなか面白い小説が書けたと思えば、そういう新人賞に応募して評価を待つ、ということが可能でしょうし、そこで賞の一つも取れば、そこから先の道も開ける、ということはいくらもあるでしょう。

 しかし、小説以外の書きものの場合は? 

 たとえ書いた当事者としていいものが書けたつもりでも、それを大手出版社から出版するのは至難の業です。なぜなら、大概の出版社は「原稿持ち込みお断り」が原則だからです。試しに頭に思い浮かぶ出版社のHPをご覧ください。そこには必ず「原稿持ち込みお断り」と書いてあるはずです。



 実はこういう矛盾はどの社会にもあることでありまして、たとえば大学なんかでも、非常勤講師を募集する時に「非常勤講師の経験のある人」という条件をつけることがよくある。これは非常に馬鹿馬鹿しい矛盾でありまして、こんな条件をすべての大学がつけたとすると、たとえ大学院を優秀な成績で出た有望新人がいたとしても、その人を雇うことができないわけですよね。

 それと同じで、どの出版社も「原稿持ち込み禁止」を原則にしてしまったら、才能ある新人ライターを発掘できないと思うのですが・・・。

 しかし、こうした日本の出版会の慣行と矛盾するように、大手出版社から突然、無名の新人が本を出すことがあります。ここがまた不思議なところで、じゃあ一体、そういう人はどうやってその出版社と渡りをつけたのか・・・? 出版社自体が、どうにかしてそういう新人に目を留め、声をかけたということなのでしょうか? 

 ま、そういう不思議なことがあるとはいえ、原則的には「持ち込み原稿お断り」という妙な慣行があるので、日本では有名な人しか大手から本を出せないというところがあります。逆に言えば、有名でない人はいつまで経っても大手から出版できず、その結果いつまでも有名になれないというわけです。もちろん例外的にこの構図を突破する人はいるでしょうが、それはあくまで例外的なことでありまして。

 だからこそ「自費出版」というビジネスが存在する余地ができるんでしょうなあ。とにかく自費でもいいから出版して世間の人に見てもらおう、そうすればいずれ大手から声が掛かるかも知れない・・・。そういう幻想が生まれるのも、わかる気がする。しかし、実際には自費出版の出版物が注目されるなんてことはほとんどないのでありまして、幻想は幻想で終わってしまうことが多い・・・。

 ま、それはともかく、私が今回書評する本にしても、多分、1000部位しか売れないんじゃないかしら。もう少し短くした上で新書版かなにかにして大手から売ったら、それなりに売れそうな本なのに、おそらくそういうことにはならないんだろうなあ。私が書評でいくら絶賛しても、多分そういうことにはならない。そこがちょっと残念、というか、むなしいところなんですよね。

 いい本が売れるとは限らないし、売れている本がいい本とも限らない。この重大な矛盾が解消される日は来るのかしら。そんなことを考えつつ、「いい本だけど、売れない本」のために書評の筆を執りつつあるワタクシなのでありました、とさ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  August 14, 2008 12:21:03 AM コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Calendar

Favorite Blog

俳諧の鼻祖山崎宗鑑… AZURE702さん

残暑が続くが ゆりんいたりあさん

YAMAKOのアサ… YAMAKO(NAOKO)さん
まるとるっちのマル… まるとるっちさん
Professor Rokku の… Rokkuさん

Comments

釈迦楽@ Re[1]:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) ゆりんいたりあさんへ  いやあ、メッシ…
ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
釈迦楽@ Re[1]:S師範と稽古(06/11) はちみつ先生へ    こちらこそ、有意義…
はちみつ@ Re:S師範と稽古(06/11) 先日の稽古、大変勉強になりました。 あり…
釈迦楽 @ Re[3]:柔術のコツが少し分かってきた気が・・・(04/23) はちみつ先生へ  引っ越し、思っていた…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: