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March 12, 2009
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カテゴリ: 今日もいい日だ

 昨夜はまたまた送別会がありました。同僚で他大学に転出される方がいらっしゃいましたので。

 その先生(またまたS先生)のご専門は英文学というよりは英語教育学で、中高の現場に勤められた後、11年ほど前に我々の大学に移って来られたんです。ですから、先生がこちらに来られた時点で私よりもずっと年上でしたし、またS先生のお人柄からしていかにも「善き学校の先生」タイプでしたので、この大学における勤続年数という点では私の方がよほど長いにも関わらず、何となく「頼れるセンセイ」として接してきたところがある。ま、それは私以外の同僚も同じだったようで、S先生の勤続年数が11年であったと伺った途端、皆、狐につままれたような顔をしながら、「え? そんな短かった? なんだか自分がこの大学に勤める以前からいらしたような気がする」と口々に言ってましたね。

 しかし、朗らかで、冗談好きで、人を拒まず、人と争わず、学生を可愛がり、卒業生の面倒をよく見られ、愛知県の英語教育界の重鎮として活躍してこられたS先生が他大学に移られるとなると、うちの英語科にはぽっかりと大きな穴が開いてしまいますなあ・・・。

 しかし、何せ明るい性格のS先生の送別会ですから、暗い話は一切無し。会は終始笑いに包まれながら進行していったのであります。

 で、そんな中、下世話な話ながら、S先生が今度私立大学に移られた場合、給料は倍増するのか? というような話題が出まして。これに答えてS先生曰く、「給料は1.5倍だけど、仕事量も1.5倍! 公平なもんだよ!」とのこと。

 で、ここから話題はさらに下世話な方に移動し、英語科の大学教授の副業としては何が最適か? というハナシで盛り上がる、盛り上がる。

 で、一同の共通理解となったのは、「辞書執筆は最悪だ」ということ。ま、辞書の場合、執筆者数が多いので、たとえ項目執筆しても原稿は買い取りになります。つまり一度執筆料をもらったら後は無し、印税は発生しないということですね。で、その執筆料も大体一行100円が基本とのことですから、どんなに書いたってそう大したことはない。しかも、間違ったことを書いたら後々まで不名誉になりますから気が抜けない。労多くして益少なしの代表格なんですね。同じことは教科書への執筆にも言えます。

 じゃ、何を書いたら「益多し」になるか?

 で、種々討議の結果、「高校生向けの英語参考書」だろう、ということに。



 で、そんな皆さんの話を聞いていた私も、悟るところが多いにありましたね。そうか、大学生・一般向けに英語の教則本なんか作っちゃダメだったんだ! 狙いは高校生に合わせるべきだったんだ!

 じゃ、さあ・・・。「愛知県内有名大学を受けるなら、これやっとけ!」的な英語の参考書とか、書いちゃおうかな~。

 ・・・それはこっちの話。送別会での話題はさらに続きます。高校生向け参考書よりも「益多い」のは何? 

 これまた種々討議の結果、「子供向けの英語の本を訳すこと」に決定!

 ま、「ハリー・ポッター」は言うまでもなく、例えば『ガリバー旅行記』的な昔からある名作でも、子供向けにいい新訳を出すと、売れるらしいんだ、これが。同僚の友人などもこれで一発当て、今では税金対策に頭を悩ませ、自ら会社法人を立ち上げんとしているらしい。『ガリバー』クラスでそうなのですから、『ハリー・ポッター』クラスになれば、いわずもがな、です。

 で、『ハリー・ポッター』に日本でいち早く目をつけた奴ってすごいよね、という話になったんですが、そこで別の同僚曰く、今から10年くらい前、イギリスに行って地下鉄に乗っていたら、イギリス人がみな同じ本を読んでいた。で、何の本だろうと思ってよく見たら、『ハリー・ポッター』か『ブリジット・ジョーンズ』だった、と。で、「へえ、今、こういう本がイギリスで売れているのか・・・」と思って帰国し、しばらくしたら日本でもどっかん、どっかん、えらい騒ぎになった、と。

 このお気楽な回想談に、同僚一同突っ込む、突っ込む! 「何でその時、版権とってこなかったんだぁ~!」

 で、ここから話はこの路線で進み、よーし、同僚の中で今後イギリスに海外出張がある者は、現地の地下鉄に一日中乗って、イギリス人が何を読んでいるか調査することにしよう。で、抜群に売れている本があったらただちに版権を取り、英語科一同力を合わせて短期間で一気に翻訳する。で、さっさと市場に出す。売れる。儲かる。英語科一同、家を建てる。と、まあ、計画としてはこういう具合であります。

 昔を懐かしみ、別れを惜しむべき送別会が、かくも未来志向のオチを迎えたとは、これ如何に?

 ま、そんなこんなで、楽しくも賑やかな送別会となったのでありました、とさ。S先生、アチラの大学に移られても、たまに遊びに来て下さいね~!





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Last updated  March 12, 2009 02:03:00 PM
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かくも未来志向のオチ  
藍毘尼 さん
>現地の地下鉄に一日中乗って、イギリス人が何を読んでいるか調査することにしよう。で、抜群に売れている本があったらただちに版権を取り、英語科一同力を合わせて短期間で一気に翻訳する。で、さっさと市場に出す。売れる。儲かる。英語科一同、家を建てる。
いいですね~♪
>売れる。儲かる。英語科一同、家を建てる。
捕らぬ狸の皮算用ですか(笑)。。
家が建ったら、写真をアップしてくださいね。
イギリスの地下鉄の、、、家ですと(笑)♪ (March 13, 2009 08:00:51 AM)

ぜひとも  
黒猫 さん
こんばんは。
久しぶりに大学院の院生室からネットしています。

子ども向けの本の翻訳、いいですね。
釈迦楽先生にはぜひとも、
『赤毛のアン』の最新訳をなさっていただきたいです。

英語を一番勉強する時代ですか。。。
高校の時よりも、
大学院はいる前とか
入った後のほうが勉強しました。
一日に7時間くらいやりました。
そういうのは少数派でしょね。 (March 13, 2009 05:35:21 PM)

Re:送別会にて新企画浮上?!(03/12)  
釈迦楽さん;
なぁるほど。子供向けの本の英訳ですか。
でもどうなんでしょう、逆に日本の子供向けの本を英訳して向こうで出すなんてのはダメでしょうかねぇ?
例えば金子みすずとか、松谷みよことか、佐藤さとるとか・・・

元々日本は文化については極端な入超でずっとやって来ましたね。日本の物語(源氏物語とか三島由紀夫とか)は幾つか外国語に翻訳されているけれど、知っている限り訳者は殆ど毛唐です。これ、ヘンでしょう?翻訳というのは「翻」訳であって、直訳ではない。タテのものをヨコにするだけじゃない。翻訳の背景にはタテヨコ変換より遥かに深いものが必要です。

上田敏が居たからヴェルレーヌの詩は日本人の感性に訴えた。これが「翻訳」でしょう。ねぇ。
「番茶」をサベッジ・チーとした漱石も翻訳でしょう(?違うか?)

不幸にしてというか、元来が無理というか、英米人には上田敏は望めないから、ここは一つ釈迦楽先生に頑張っていただいて、金子みすずの大漁なんかをばっちり英語にしていただき、毛唐どもを日本の細やかな感性に瞠目させていただきたい。

そうすると、釈迦楽さんは向こうの出版界で令名を馳せ、それがやがて逆に日本に波及し、出版講演依頼は引きもきらず。そして、結果としてお好み通りの家が建つ・・・なんて、どうでしょうか?

風が吹けば桶屋が儲かるなんてのよりは、はるかに確かな話だとは御思いになりませんか?

(March 13, 2009 08:34:03 PM)

Re[1]:送別会にて新企画浮上?!(03/12)  
釈迦楽  さん
連帯を求めて孤立を恐れるノダ!さん

昨年12月に、講談社インターナショナルの偉い人(アメリカ人)と話をして、日本人が日本人の書いたものを英訳して、向こうで出版したらどうだ、と問いかけたのですが、彼は一言のもとに「それは無理」といいました。日本人で、格調高く、詩的な英文を書くことが出来る人なんて、自分の知る限り、ゼロだと。

私は、日本でももっとも有名な日本語と英語の遣い手の方が英訳されたものを引き合いに出したのですが、その方曰く、「その英訳は自分も知っているけど、ぜーんぜんダメ」とのことでしたね。

ま、彼は私の英訳を見たことがないわけですけどねえ、などと言ってみたりして。

ちなみに、私も大学院時代に、とある日本の詩を英訳したことがありますが、例えば「そろり、そろりと・・・」なんていうくだりを「slowly, slowly,」などと訳して、我ながら天才かと思ったりもしましたが。 (March 13, 2009 10:38:39 PM)

Re:ぜひとも(03/12)  
釈迦楽  さん
黒猫さん

大学院受験生となると、ちょっと少数派ですねえ! 確かに、一番高度な英語を猛勉強する連中ですが。

『赤毛のアン』の新訳。なるほど。その手があったか。でも、多分、あれはガチガチに版権が固まっているんだろうなあ・・・。なんか他にないですかね。どうも私は、その辺の嗅覚が悪いようで・・・。 (March 13, 2009 11:30:58 PM)

Re:かくも未来志向のオチ(03/12)  
釈迦楽  さん
藍毘尼さん

私、皮算用だけは達者なんですけど、実現しないんですよね。そこが悩みのたねでして。

でも、高校生向けの参考書くらいだったら、片手間になんとか出来そうな気もします。それに、そういう企画を考えること自体、結構楽しいですしね! (March 13, 2009 11:37:13 PM)

Re[2]:送別会にて新企画浮上?!(03/12)  
釈迦楽さん
>日本人で、格調高く、詩的な英文を書くことが出来る人なんて、自分の知る限り、ゼロだと。
-----
そうですか。何となく納得できる意見ではあるけれど、寂しいなぁ。
じゃぁワタクシめが、終生の事業として挑戦してみようかなぁ!?
アーネスト・サトウが、あの時代に結構な日本語の文章を残しているんだ。日本人だって人種的DNAとして劣っていなければ出来るんじゃないかと思いますが・・・ダメか?
(March 14, 2009 11:38:12 AM)

Re[3]:送別会にて新企画浮上?!(03/12)  
釈迦楽  さん
連帯を求めて孤立を恐れるノダ!さん

私も、自分で書いた英語を自分で眺めている分には結構イイナと思うのですが、それをネイティヴにチェックしてもらうと、結構あちこち手を入れられるもので、ひゃー、一体いつになったら、直されない英語が書けるようになるのか・・・と、気が遠くなりそうになることがあります。

外国語ってのは、実用以上を目指すとなると、やはり難しいようで・・・。 (March 14, 2009 04:32:40 PM)

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