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July 31, 2012
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カテゴリ: 教授の読書日記




 さて、ジェフリー・ディーヴァーの『ロードサイド・クロス』というサスペンスを読了しましたので、以下、心覚えを書き付けておきましょう。ネタバレ注意です。


 本作は、女子高生が突然拉致され、車のトランクに押し込められたまま海辺に取り残されて、大潮であわや水没! というシーンから始まります。

 しかし、結局、車は水没を免れ、女子高生は溺死せずに済んだのですが、被害者の女子高生から事情を聞き出すことになった kinesics (表情や身振りなどから証言者の嘘を見抜く捜査方法)のプロ、キャサリン・ダンス捜査官は、この女子高生が明らかに犯人を知っていて、しかも彼の逆恨みを恐れて偽証しているらしいことに気付くんですな。

 で、色々調べた結果、この女子高生、ネットのスレッドで、自動車事故を起こして同級生を二人事故死させてしまったあるクラスメートの男子についてネガティヴなことを書いていたんです。で、どうやらそのスレッドの書き込みを恨んだこの男の子(トラヴィス・ブリガム)が、今回の殺人未遂を起こしたらしく、その女子高生もそう思い込んでいるらしい。

 で、その容疑者のトラヴィスが起こした事故ですが、高校の卒業式後のパーティーで、その男子高生がクラスメートの女子高生3人と共にクルマで暴走、車が道路脇に転落して後部座席に座っていた女の子二人が死亡、助手席の子も大怪我を負ったものの、どういうわけか単なる事故として扱われ、トラヴィスもほとんど何のお咎めもなかった。

 で、そのことを疑問視したジェイムズ・チルトンという著名な社会派ブロガーが、自分のサイトでこの事故を取り上げたんですな。で、そのブログが投げかけた疑問に多くのブログ読者が反応し、トラヴィスを非難するスレッドが立った。

 で、ここが現代ネット社会のコワイところですが、有力なブロガーがこうした問題を取り上げると、たちまちトラヴィスの素性をばらす奴が現れ、その子が社会的な制裁を受けるようになってしまうんですな。そして、トラヴィスの貧しい家庭環境、ゲームオタクであることまでが俎上に載せられ、非難と嘲笑の的となる。で、これに怒ったトラヴィスが、どうやらスレッドに批判的な投稿をした人物に復讐を始めたらしいと。

 で、ダンス捜査官は、次にこの男子高校生に非公式に事情聴取に行くのですが、彼と話をするうちに、確かに彼は何かを隠していることをダンス捜査官は見て取る。



 で、ダンス捜査官はトラヴィスの逮捕に全力をあげるのですが、しかし、そんなダンス捜査官にはもう一つ、彼女の全神経を奪うような出来事が起こってしまう。

 実はこの事件の少し前に、ダンス捜査官は別な凶悪犯を追っていたのですが、この凶悪犯がダンス捜査官の同僚に大やけどを負わせ、瀕死の重傷を負わせたことがあったんですな。で、その同僚は、ダンス捜査官の母親が看護婦として働いているある病院に入院していた。

 で、瀕死の状態があまりに辛かったため、その同僚の捜査官はダンス捜査官の母親に何度も「殺してくれ」と、安楽死の幇助を頼んでいたわけ。

 そして、実際、何者かの手によって、その捜査官は安楽死させられる結果となった。

 で、安楽死の手引きをしたのが、ダンス捜査官の母親ではないかという容疑が課せられ、彼女が逮捕されてしまうんです。でまた悪いことに、彼女を検挙した検察官が敏腕で、証拠を積み重ねている様子。そして、場合によっては、ダンス捜査官自身を検察側の証人として召喚するのではないかという恐れすらある。

 ダンス捜査官は、自分の母親に不利な証言をしなくてはならないかもしれないということもさることながら、仮に本当に母親が安楽死をさせたのであれば、母親は少なくとも20年くらいは刑務所に入ることになるのではないか、そしてそれは彼女にとって死刑と同じくらいの苦しみになるのではないかということに、恐れおののきます。

 さて、ダンス捜査官は、殺人を重ねるトラヴィスを捕まえることができるのか、そして彼女の母親の容疑の行方は?!


 というような話です。ですが、そこはそれジェフリー・ディーヴァーのローラーコースター・サスペンスですから、こんな単純な話であるはずもなく、この先、話はどんどん展開して、最終的には思ってもみないような結末になります。あと、本作には、ダンス捜査官と男性同僚との恋の行方も描かれていて、ロマンティックで胸キュン(←中年男の使う言葉ではないな・・・)な側面もありますので、そういう楽しみもありますぞ。

 あと、ダンス捜査官の真骨頂たるキネシクスの活躍の場が本作ではちょっと少なく、また、あまりにも最初の事件と最後の解決との間(意味合い)が離れすぎていて、読者としては肩透かしを食うような感じを受けてしまうところもある。その辺がね、ちょっと物足らないかな・・・。前作『スリーピング・ドール』の方が、私としては面白かったかも。

 でも、本作のテーマは「ブログの暗部」、ですからね。私もブロガーの末席を汚すものとして、本作を読みながら、ちょっとコワイなと思うことが多々ありました。ディーヴァーは現代社会の闇を描くことが多いですが、ブログもまた、そういう闇に成り得るのだと、本作を読んで改めて思わされました。そういう意味では、勉強になりました。

 ということで、『ロードサイド・クロス』、絶賛はしませんが、面白くなくはないです、程度のものとして、おすすめしておきましょう。でも、できれば先に、前作『スリーピング・ドール』を読むことをおすすめします。二つの事件は、密接に関連しますのでね。



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Last updated  July 31, 2012 11:58:26 PM
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ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
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