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November 26, 2016
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カテゴリ: 教授の旅日記
 例の「ふるさと納税」、やってます? あれ、やらないと損よ。大損よ。もう馬鹿みたいな制度で、納税した分だけ得する一方っていうおかしな制度だからね。知らない人だけ損をするという。

 で、あわら市に納税したおかげで、あわら温泉から宿泊券をたんまり貰っていたもので、年休とって北陸に旅行してきちゃった。

 まずね、東海北陸道経由で九頭竜湖を通過。紅葉のひとつも見ようと思ったものですから。もっとも、紅葉見るにはちょっとだけ遅すぎたかな・・・。

 だけど、それにしても九頭竜湖の荒んでいたこと。昭和中期のドライブインとかが潰れたその残骸が残っていたりして、こわい、こわい。ちょっと前、ここで「冷凍庫殺人事件」があったじゃん? いかにも、って感じ。せっかくの湖なのに、もうちょい、洒落た観光地に出来なかったのかね?

 で、その凄まじいところを通過して勝山に向い、立寄ったのが「恐竜博物館」。これはね、結構気合の入ったところで、恐竜及び生物の進化について、かなり本格的な展示がしてある。大人でも楽しめます。一見の価値あり。

 そしてその日は芦原温泉に宿泊。

 だけど、そーねー。芦原温泉。周辺は特に見るべきものもない、街中の温泉街でしょ。大きな旅館がいくつもあるのだけど、結局、昭和風の社員旅行の大型団体向けって感じなのかな。


 そして、翌日。まずはすぐ近くの三国に向います。

 三国っていうのは、北前船の時代には大いに栄えたところ。北前船の時代には、日本海側こそが「表日本」だからね。海産物や米や塩や、そういった様々なものを、産地で積んで消費地で売って、またその消費地の産物を買いこんで、また別のところで売って、ってな感じで、三角貿易どころじゃない多角形貿易でしこたま儲けたらしいんですな。つまり北前船っていうのは、物流業者じゃなくて商人なのね。で、そのすごく儲かる商売船が出入りするもので、その経由地となる港町は栄えるわけよ。実際、当時の三国の港沿いには、京都の町屋づくりみたいな細長い商家がずらりと並んで壮観だったみたい。またこの地お花街の賑わいなんかも、江戸・大坂のそれと競うほどだったらしい。



 で、そんな感じで地元のため、人々のために尽くしたために、ついに内田家の財産も底を突き、家屋敷も全部無くなって、残ったのは一本の庭木だけ、という、まるでドラマのようなことになる。昔の人は、偉かったねえ。

 で、それに追い打ちをかけるように時代は北前船から鉄道の時代に。これで、三国は没落し始めるのですが、三国財閥の中には気の利いたのも居て、船商売がダメなら次は銀行だってんで、銀行業を始めた森田家なんてのもあったりして。今も残る森田銀行の建物なんて、凄くモダンで洒落てましたわ。

 次の次の大河ドラマ、内田家の没落と森田家の勃興を壮大に描く、ってのはどう? 花街もあったから、花魁との恋物語も混ぜたりして。

 それにしても、かつてはそれほどの繁栄を謳歌したという三国の町なんですが、それがねえ、今はもう、閑散とした田舎町でね。時代の流れって、無惨だなと。

 で、この辺のB級グルメとして「三国バーガー」ってのがあって、特産のラッキョウをピクルス代わりに使ったハンバーガーらしく、それをお目当てに立寄ったようなところもあったのですが、なんと三国バーガーを売っている「三国湊座」ってのがたまたまお休みで。しかも、この店以外、三国バーガーを売っている店がないってんですから。

 普通、B級グルメっていうのは、地域全体で盛り上げていくものだろうに、そういう町興し的な発想すら、この町にはないのかと。

 で、じゃあ仕方ない、ってんで、急遽他のお店を探したのですが、海を見下ろす洒落乙なカフェは・・・閉店、海を見下ろす洒落乙なイタリアン・レストランは・・・閉店。あるのは渋い蕎麦屋と中華料理屋と洋食屋がそれぞれ一軒だけ、的な感じで、もう町として終わっとるじゃないかっ!

 三国は、そんな感じでした。


 さて、そんな近代史の無惨な爪痕を眺めた後、我らが向かったのは、能登半島の付け根にある羽咋の町。なんで羽咋に向かったかと申しますと、そこに折口信夫とその養子である折口春洋さんの「父子墓」があるから。私は国文学の徒ではないのですけれども、岡野弘彦さんの書かれた『折口信夫の晩年』を読んで以来、折口信夫という人に並々ならぬ興味を抱いておりまして、そのお墓がこちらの方にあるというので、いつかお参りしたいと思っていたんです。

 で、行ってきましたよ、そのお墓に。気多大社のすぐ近くに、環境コンシャスなアウトドア製品で有名なモンベルの配送センターがあって、その配送センターの裏手の墓地に、折口博士はその最愛の恋人にして養子の春洋さんとともに眠っておられました。生前、折口博士自身が考えた墓碑銘を、私は当然、知っていたのですけれども、それの実物を見た感動はやっぱり大きかったです。その墓碑銘ってのは、


 もっとも苦しき

 最くるしみ
   死にたる
 むかしの陸軍中尉
 折 口 春 洋
   ならびにその

   の墓  

 というのですけどね。

 大阪に生まれ、国学院に学び、そこの教授として、また歌人として東京で活躍した折口信夫が、今はひっそりと日本海のほとりに眠るという。なんかね、人の一生って、分らないもんですな。


 そして、この日は七尾の寿司の名店「寿司一」にて、桁違いに旨い寿司を堪能した後、和倉温泉は「あえの風」にて宿泊。さすが加賀屋の姉妹宿となる「あえの風」、充実したサービスでございました。


 で、翌日。能登島でガラス美術館でも見ようと思ったら休館日だったので、急遽、プランを変えて能登半島を横断し、「世界一長いベンチ」で有名な増穂浦海岸に出て、七尾の方とは打って変わって荒い能登外浦の風景を堪能。その後近くの『トラットリア・シゲゾー」で軽く昼食をとってから、片山津の柴山潟へ向かいます。

 片山津は中谷宇吉郎先生の故郷なんです。

 中谷先生、御存知? あの雪の結晶の研究で有名な。私も子供の頃、「線香花火」という科学エッセイに惹かれて、『雪』とか『科学の方法』とか、随分読んだのよ、中谷先生の本。もちろん、科学者として一流だったのでしょうけれども、文人としても名高く、師匠の寺田寅彦の後を継いで、「文人科学者」を体現した人。

 で、その中谷宇吉郎を記念して、ここに「中谷宇吉郎 雪の科学館」というのがある。記念館の設計は磯崎新氏。雪の結晶を模したと思しき、斬新な建物。

 で、この科学館を見学したのですけど、これを見るとさ、いかに昔の日本がいい国だったか、よく分かる。

 だって、雪の研究だよ? 産業的には何の役にも立たん。だけど、中谷さんのために北大は(=文部省は)専用の研究所作ったり、世界中の寒冷地での研究に中谷さんを送り出したり、相当なお金を出している。それだけ、基礎研究にふんだんにお金を出していたんですなあ、昔の日本は。

 昔の日本は、学問を重視したんだねえ・・・。今とはまったく逆で。そしてそれに応えて科学者もいい仕事したし、その一方で、その成果を文学的に表現して人々に伝えたりして、余裕があった。

 ああ、いい時代だったんだなあ、と思いながら、科学館に附属のカフェ「冬の華」(これが、湖を見下ろす絶好のロケーションにある洒落乙なカフェでありまして)でコーヒーをいただいたというね。

 で、その後、今度は武生に向い、そこにある「ヨコガワ分店」なる有名店にて、地元のB級グルメ「ボルガライス」(絶品! 三国バーガーを食べ損なった仇が討てました)を食し、今回の旅を終えたのでございます。


 今回の旅では、「ここで食べよう」と思っていたお店が休みだったり、「ここへ行こう」と思っていた施設が閉館していたりと、予定外のことが多かったのですが、まあ、なんとか急遽予定を変更して立て直しつつ、それなりに楽しんだ、という感じでしたかね。特に、私個人としては、折口信夫の父子墓にお参り出来たのが大きかったかな。

 というわけで、4年連続となる11月の北陸行。満喫して充電してきた私なのでございます。さあて、今日から、また仕事頑張るぞ!!





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Last updated  November 26, 2016 04:29:59 PM
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誰も知らないCoffeeWorld@ Re:常盤新平著『姿子』を読む(01/24) トピックと関係ありませんが、自己啓発関…
釈迦楽@ Re[1]:再校作業に取り組む(01/23) まめたん20さんへ  あー、マイクさんの…
まめたん20 @ Re:再校作業に取り組む(01/23) こんばんは すでに閉鎖されている青巒な…
ゆりんいたりあ@ Re[2]:齋藤孝著『60代からの幸福をつかむ極意』を読む(01/12) 釈迦楽さんへ そんな、昔の話、良く覚えて…
釈迦楽@ Re[1]:齋藤孝著『60代からの幸福をつかむ極意』を読む(01/12) ゆりんいたりあさんへ  明けましておめ…

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