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March 16, 2017
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カテゴリ: 教授の読書日記
晋一という人が書いた『「人生成功」の統計学』という本を読了しましたので、ちょいと心覚えを。

 ところでこの本、著者名が「晋一」となっておりますが、これは一体何事ですかね? だってこの人、「高田晋一」名義で同じような本を沢山書いているじゃないの。どうしてこの本だけ「晋一」なのか。意味不明。

 さて、本書はその副題に「自己啓発の名著50冊に共通する8つの成功法則」とあり、執筆者がマーケティング戦略のプロ、という肩書だったので、ちょっと興味を持って読み始めたのですが、ううむ、どうかな。

 この本がいかなる「戦略」によって書かれたかと申しますと、まず「自己啓発」とか「成功哲学」の名著として、何冊かの本の中でリストアップされているものをもってきて、その中で重ねてリストアップされている本、つまり、色々な人が共通して「これが名著だ」としている本であるとか、そうでなくても有名だから何となく名前くらいは誰でも知っていそうな本の中から、晋一さんが恣意的に(結局は恣意的に)50冊、選び出したと。

 で、その50冊を(50冊だけを)晋一さんが読んで、その本の中で「成功の秘訣」とされているものをピックアップしてみたら60個あった。しかも、当然のことながら、その60個の「成功の秘訣」は色々な本の中で繰り返し言及されていることが分かった。

 で、じゃあ、その60個の「成功の秘訣」の中で最も多くの本で言及されているのは何かと数えて行ったら、「願望達成をイメージする」ということだったと。これは50冊の自己啓発系名著の中の18冊が言及していた。つまり名著の36%が共通して「成功するためには、『既に成功した』というイメージを抱き続けることが大事だよ」と言っていたと。

 で、そういう風にして数え上げていくと、60個の秘訣のうち、上位8位までの秘訣が、総計105回言及されていて、頻度が非常に高いことが分かる。つまり、この上位8位までの秘訣こそが、人生で成功するために最も重要な秘訣なんだろうと、まあ、晋一さんは判断したと。

 で、その8つの秘訣とは何かといいますと、

1 「願望達成をイメージする」

3 「直観に従う」
4 「他人に奉仕する」
5 「人生の目標を明確にする」
6 「他人に思いやりをもつ」
7 「楽しいと思えることを仕事にする」
8 「自分の価値観を明確にする」

 だった。

 で、以下の章では、晋一さんはこの8つの秘訣を個々に「分析」し、この秘訣が何故有効なのかを考察した、というのが、この本の内容です。

 ただ、この「分析」というのがまったくもって噴飯もので、「他人に思いやりをもつと、思いやりを持たれた相手は自分に対して好意を持つ。すると、交渉事でも上手く行くことが多い。つまり、情けは人のためならず、ということなのであろう」とか、そのレベルの「分析」なんですな。こう言ってはアレですけど、それ読んだからどうだ、ということではまったくない。

 大体、50冊の名著の決め方にしても、その中での「成功秘訣」の数え上げにしても、これ、ホントにマーケティングのプロのやり方なのかねえ・・・。マーケティングのプロって、こうやってデータ集めて、それを「分析」しているのかねえ・・・。私が思うに、こういうやり方は、せいぜい中学生の夏休みの宿題レベルじゃないかと思うのだけど・・・。

 で、気になってこの本に対するアマゾンのレビューを見たら、その中にこんなのがありました。以下、引用しますと・・・:


主にアメリカ人が書いた有名成功本&自己啓発本50冊を取り上げ、そこに共通するエッセンスを掲載率に沿って評価したものです。
タイトルには「統計学」とありますが、ガウス分布的考察もなければ回帰分析もありません。
単に50冊の章にかかれている見出しを「正」の字を書きながら集計したと思われる統計を基礎データとし、あまり深くない分析を加えています。
50冊の解説文もアマゾンからの引用という、ほとんど著作権意識のないというか手間を省いているというか、驚愕の内容と言えましょう。

はっきり言って流山産業大学(←知ってる人は超レア)の教養過程のレポート課題を3日ほどでやっつけた内容に、 プロのライター&編集者が味付けをしてフィニッシュさせたという本ですね。
著者が出版社に企画を話したとき、一日で出版OKとなったらしい(あとがき)ので、「スピードがビジネスの根幹」を地で行っています。

総ページは200ページ弱ですが、フォントサイズと行間を変えれば30ページくらいですみます。

商品説明には「どの法則が掲載率が高かったかは、実際に書店で手にとってください」とありますが、おそらく99パーセントの人は、苦笑しながら、そのまま元の場所に戻すと思われます。


・・・だそうですが、私もほぼ同感。「『正』の字を書きながら集計したと思われる統計を基礎データとし、あまり深くない分析を加えています」という一文が、結局、この本の全てを言い表していると言えましょう。

 だけど、奥付見たら、増刷されているよ、この本。驚くね。

 強いて言えば、自己啓発系の本の中でしばしば言及されるのはこの8つの「秘訣」だよ、ということが分かったことが、私としてはタメになった点でありまして、この点だけはちょっと使えそうかなと。だから、私もこの本を全否定はしませんが、それにしても「この程度で・・・」という印象はぬぐえないというね。教授のおすすめ!は、もちろん、なーしーよ、と。


 だけど、一つ思うのは、この世に自己啓発本は多いし、それを一応「分析」しようとする本もそれなりにあるのですが、その分析本の、自己啓発本に対する視点が全然面白くないってことですな。そこが私にはすごく不思議。

 だって、自己啓発本って、すごく面白いことが書いてあるのよ。仰天するようなことが書いてある。例えば、「今あなたが見ている世界は、あなたが頭の中で作り上げた世界なので、そこに居る群衆は、実際には存在せず、あなたの頭の中にしか居ないものである。おそらく、実際には世界には70億人ではなく、数百人くらいしか居ないのではないだろうか」とか書いてあったりする。大真面目に。



 で、そんなに面白いことが書いてある本読んで、何でこの種のつまらない「分析」しか出来ないんだろうと。私はそこが純粋に理解不能。

 結局、私が自己啓発本の中に見ているものと、他の人たちが見ているものって、全然違うんだろうな。同じものを見ているのに、その中に見ているものが全然違う。

 だから、私がこれから書くであろう自己啓発本についての研究書は、従来のものとはまったく違うものになるでしょうな。

 ま、乞うご期待ですよ。



「人生成功」の統計学 [ 晋一 ]





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Last updated  March 16, 2017 12:26:06 PM
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ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
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