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March 26, 2018
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カテゴリ: 教授の読書日記
先日、片岡義男さんの『英語で言うとはこういうこと』という本を読んで割と面白かったので、これに味をしめて同じような本をもう一冊読んでみるかと思い・・・これを英語で言えば「Kataoka-san's book gave me a taste for more of the same.」ですな・・・やはり片岡義男さんがお書きになった『英語で日本語を考える』という本を読んでみました。

 ちなみに『英語で言うとはこういうこと』が2003年初版の本であるのに比べ、こちらの『英語で日本語を考える』は2000年が初版。つまりこちらの方が先に出たんですな。だから、というべきなのか、『こういうこと』と比べると、今回の『考える』の方が、やや難しいです。それに『こういうこと』は、「1フレーズ1ページ」というルールを確立していますが、『考える』の方はページ構成に関係なくダラダラと綴られている。そういう違いもあります。要するに、『こういうこと』の方が、この手の本としてはより進化している、と言えるかも知れません。

 しかし、内容的には両者よく似ていて、いかにも日本語っぽい表現をまず挙げ、それと同じことを最終的に英語で言うために、どういう思考回路を経たか、ということが説明されている。だから、結果(=解答)としての英文を読むことも大事ですけど、むしろそこに辿り着くまでの思考の過程を読めと。その思考過程の中に、日本語と英語の違いが出ているのであって、その違いを味わうことで、日本語と英語の頭の切り替えの仕組みを、読者自身の頭の中に組み込めと。

 例えば、片岡さんが挙げている例題を一つ、挙げてみましょうか。

 「考えていたものと、ちょっと違うんですけどねえ」、はい、これを英語で言ってごらんなさいと。

 で、その思考過程なんですけど、片岡さんはこう仰っておられます:

 「『違う』という言葉を英語に移そうとすると、日本語における『違う』の用法にからめとられ、英語の側に移ることができないままになりやすい。『違う』という言葉を使わずにおなじ意味のことを言うなら、頭のなかにあったものにいま少しおよばない、というような言いかたになる。
 和文英訳よりも、日常の日本語のこなれた言いかたのなかから意味だけを取り出す和文分解の練習のほうが、英語の勉強に役立つはずだと僕は思っている。
 『考えていたものとちょっと違うんですけどねえ』は、自分の頭のなかにあったものにいま少しおよばない、と言いなおせば、それは日本語で言った英語のようになる。英語では次のような言いかたなのだから。


 「和文英訳」じゃなくて「和文分解」だ、というところ、なかなかいいでしょ? 日本語ってのは、基本、饒舌なところがあって無駄な付け足しが沢山ある。そういうのをとりあえず全部とっぱらって、エッセンスだけにして、そこから英語に直すことを考える。そういうやり方を片岡さんは提唱しておられる。

 だから、「あなたの性格でもっとも特徴的な部分はなんですか?」という日本語を英語に訳すとなったならば、まず我々が考えなければならないのは、この中の無駄な言葉を見つけて、それを省くことなんです。となると、「部分」はいらないなと分かるはず。「あなたの特徴的な性格は何か?」というところまで単純化して、それを「What is your most marked characteristic?」と英語化すればいい。

 同じく、「現実性のある話というよりも、それはまだ夢の段階だと言ったほうがいいですね」だったら、「夢の段階」というフレーズのうちの「の段階」はいらない。それは「現実」と対比された場合の「夢」なんだから、「夢」の一語でいい。また「現実性のある話」という部分も、日本語的ではあるけれど、英語にはならないので、そこは考えるとして、文全体としては「That would be more a dream than an option.」のように英語になるのではないかと。

 後ね、片岡さんのお考えでは、日本語より英語の方が動詞的な表現が多く、またそれに伴って動作主をはっきりさせる表現が多いということで、「すべての人を満足させる解決策なんて、ないですよ」という例題には「No one solution will please everyone.」という英語を、また「これにめげずに、今日も頑張って」だったら、「Don't let this spoil your day.」という英語を当てている。英語ってのは、そういうもんだと。

 で、そういう片岡さんの御説を、はあはあ、なるほどなあ、と読み進めて行くうちに思ったのですけど、結局、この考え方を押し進めて行くと、英語の勉強というのは、演繹的にはマスターできない、ということなんじゃないかなと思えてきます。理屈じゃ英語はマスターできない。そうじゃなくて、まず英語の文例というものを1万も2万も覚えて、その上で帰納的に、英語っていうのはこういう風に言うよね、というものを学習者各自が掴む以外ない。

 だってさ、「人が画面いっぱいになるように撮ればいいんですよ」という日本語を、「Let the people fill out the frame.」に訳せるかっていうと、そりゃ、無理でしょ。理屈で勉強して、この英文を思いつくかっていうと、思いつくはずない。

 逆に、英語では普通、こういう時はこういう風に言う、というのをまず学んで、それから帰納的に、英語っていうのは、こういうシンプルな表現をするよね、動詞的な表現、主体が明確な表現をするよね、というのを後から体得する、という順序にならざるを得ないのじゃないかなあ。

 つまり、片岡さんの『英語で日本語を考える』という本は、理屈を言っているようでいて、本当の主張はその逆なんじゃないかと。この理屈が分かるくらい、英語の表現をまず何万例も頭に入れておきなさいよと、そういうことなんじゃないかと。

 人から本を借りて、もうそろそろ返さなきゃいけないんだけど、まだもう少し借りていたい。そういう時に、「もう少し借りていてもいいかな?」と尋ねる時、英語では「You aren't missing it?」というそうですが、そんなの知らんもん。理屈では、こんな英文、出てこないですよ。

 だから、結局、「英語では、こういう時、こういう」というのを無限に知っている、という状態にならなきゃ、英語はマスターできないよと。まあ、そういうことですな。道は果てしない・・・。

 そういう覚悟を、そういう腹を、固めさせてくれる厳しい本だよ、ということを含んだ上で、この本、教授のおすすめ! としておきましょうかね。






【新品】【本】英語で日本語を考える 単語篇 新装版 片岡義男/著





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Last updated  March 26, 2018 11:36:00 PM
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ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
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