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2008.06.06
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カテゴリ: 国土防衛
ランダム読書日記 「軟弱者の戦争論」 

由紀草一 (ゆうき そういち)

PHP新書 229頁 ¥720 2006.9.1 初版第1刷 発行

[目次] 

第1章 戦争は絶対悪なのか
第2章 一九九〇年代前半に見えてきたこと
第3章 それでも戦争に反対する人びとの言い分
第4章 憲法を支える/憲法によって支えられる心理


おわりに

副題 「憲法九条をとことん考えなおしてみました」

[内容]

「日本国憲法は戦争を禁じているから善い」⇔「善い憲法が禁じている
のだから日本は戦争ができない」
戦後の日本人が陥っているこの循環論法に、あなたはなんの違和感も
覚えませんか?憲法九条をめぐる長年の論争は、否定を許さない
「平和主義」の理想にからめとられ、大切なことに目をつぶっている。
風雲急を告げる国際情勢下で、日本が歩むべき真の平和を模索し
たい。戦場なんか行きたくないはずの「軟弱者」が、戦争に巻き込まれ
ないために考えるべきこととは。いまこそ私たちにとっての憲法を


と、表紙裏にあります。
著者は茨城県の公立の定時制高校教諭を務めながら発言する
論客です。

この本が述べていることをメモ風に自分なりにまとめてみました。
(少し私見もまじえて)



(1)「原理的平和主義」
ジュネーヴ条約の59条「無防備地区」
「戦争のとき、「この地区には軍隊も軍事施設もなく、占領されても
いっさい抵抗はしない」と宣言された場所を攻撃してはならない」
井上ひさしの「オープン・ネーション」論。
---しかし、無防備都市論では、日本は他国に占領されたままとなる。
  また、そもそも平時にそんな宣言をしても無効。

(2)「非武装抵抗」論
侵略には抵抗する。ただし、国家に頼らず、非武装で。
井上達夫「武力侵略という暴力に対して自衛戦争という暴力で対抗
するのは、侵略者と同じ不正を犯すものだとして、非暴力的手段に
よる抵抗を呼びかける。例えば、侵略者の銃弾に倒れながらも
不服従を示すデモ行進、サボタージュ、ゼネストなどを続けるころ
である。「殺されても、殺し返さず抵抗する」ことを要請する絶対平和
主義は、マハトマ・ガンジーやキング牧師の非暴力抵抗の思想に
連なる」

(3)しかし自分はそれでよいとしても
「家族や同胞が殺され陵辱されても黙ってみているのか」論

三好十郎「日本および日本人」
「もしどこかの国の軍隊が侵略の意図でもって日本の国土をふみ
にじり、日本人を虐殺しはじめ、そしてその事実が疑いようのない
形でわれわれに確認され、私の怒りが完全に私をもえあがらせた
ばあいは、もしかすると、私はナイフを取ってでも眼前の敵を刺し
殺すかもわからないし、またもしかすると、私とおなじ考えをもった
人たちとともに、パリチザン部隊をつくって、敵と戦うにいたるかも
わからない」

(4)トルストイの「イワンのばか」にある「侵略されても相手にしない」論
  結局これでは、侵略者に思うように支配され搾取されるだけに終わる。

(6)社会党の非武装中立論。冷戦期に日本の軍備拡大を抑制する
効果はあったかもしれないが、それ以上ではなかった。

(7)落合恵子の反戦平和思想。「戦争好きや戦争でトクをすることを
考える人たち」と「(平和を愛する)私たち」とを截然を二分する考え。
戦争は単なる厄災であり、絶対悪であって、それ以上のことを考える
のは事実上拒否する。
--この考えでは、ブッシュがフセインにやったように、前者を消せば
よいという考えにすぐ結びつく。

(8)「贖罪論」
 日本がかつて遂行した戦争は、非常に悲惨だったし、悪でも
あったから、日本は二度と戦争を起こしてはならない、という思想。
「日本人はちゃんと反省しろ」派と、
「もう十分にしたよ。どれくらい反省したらいいんだ」派。

(9)「侵略があっても米国が守ってくれるから大丈夫」論
(私見--果たして最後まで守ってくれるでしょうか?
自国に危険が及べば、自国の利益になるとなれば、それまでの
軍事同盟や不可侵条約などはすぐに反故になることは第二次世界
大戦でイヤというほど肝に銘じたのではないのでしょうか?)

(10)「日本を侵略する国などない」論
(私見--果たしてそうでしょうか?日本を核ミサイルの標的としている
国が少なくとも2つは現にあるのを知らないのでしょうか?)

[著者の提案]

○ 戦後の日本人は、平和のために、戦争をこそ学ばねばならなかった。

○ 「戦争は絶対ダメ」に固執すると、逆に戦争でなければなんでもいい、
ということになりがち。

○ 人類は当分、戦争のない世界を実現できそうにない。
それなら悲惨を減らすためには、せめて戦争にともなう悪を、
できるだけ少なくするような方途を考えるべき。戦争なら何を
してもいいのだという野蛮な思想をできるだけ減らす、
戦争のルールづくりが必要。

「感想」

空想的平和主義では、結局戦争を防ぐことはできないので、
平和なうちに戦争について逃げずに考えるべきと思います。
戦争が始まってからでは遅いのです。

以下は私の「空想的平和論」です。要するに「侵略が侵略者にとり利益
になるような事が絶対ないようにすべき」という提案です。

(1)いかなる国も他国ないし他国領土を侵略・奪取できないような
 緻密な国際ルールを平時に作成しておく。
(2)侵略があった場合は、国連ないし世界の国々が直ちに必ず侵略者を
告発する。告発しなかった国は歴史的に非難されること。
(3)他国を侵略したり他国の領土を奪取している国に対しては、
 世界の国々が、その間あらゆる協力をせず、また経済制裁を科す。
(4)自国の利益のために、定められた国際ルールを破る国は、
  侵略国と同罪とみなす。

[頁のかけら] 

○ 「平和主義者。彼らが暴力を「放棄」できるのは、他の人間が
   彼らに代わって暴力を行使してくれるからだ」
                           ジョージ・オーウェル

○「ヨーロッパがカント流の永遠平和を実現できるのは、アメリカが
  万人に対する万人の戦いというホッブズ流の世界の掟に従って
  軍事力を行使し、安全を保障しているときだけである」
                            ロバート・ケーガン

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 ランダム読書日記 

 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.6.6 No.83)






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Last updated  2008.06.11 22:06:35
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