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天声人語の書き出し&結語・名文集【自然編】『ヒバリ』先日の日曜、家のそばの公園を歩いていたら、ケヤキの木の周りで、二羽のキジバトが追いかけっこをして遊んでいた。どうやら求愛の季節が始まったらしい。北の国からのお客さんであるツグミが、枯れ葉の上をはね歩きながら、なにかをついばんでいる。カワラヒワが一羽、桜の木のてっぺんで浮かれ歌をうたっている。コロコロとかキリリとかのさえずりがあって、ビィーン、ビィーンと張りのある声で鳴く。体は小粒だが、お山の大将われ一人、の勢いである。三月の光を浴びた羽が、まぶしい黄金色にみえる…「雲雀(ひばり)は天上に棲んでいる。そして天上の鳥のうち、この鳥だけが我々のところまで届く声で歌う」とルナールの『博物誌』にある。洋の東西を問わず、ヒバリは神秘的な鳥とされている。【掲載年月日】1986/03/11
2008.03.31
天声人語の書き出し&結語・名文集【自然編】『水俣の甘夏』不知火海(しらぬいかい)を背景にした『水俣の甘夏』と題する記録映画を東京・中野で見た。二十人ほどで満員になる狭い会場だが、終わると拍手があった。目を赤くしている人もいた。ある集団が分裂の危機に直面したとき、どうやってそれを切り抜けるか。みごとな政治的解決をはかる知恵、分裂を避ける極意を映画は教えてくれる。何よりも驚くのは、以上のいきさつをすべて、映画製作者に公開したことだ。チッソは都合の悪い資料をひた隠しに隠した。自分たちはそれと同じことをしてはならぬ、という覚悟によるものだろう。会場には「失敗の会」の甘夏が売られていた。人びとの苦渋の産物は、甘ずっぱく、なかなかの味わいだった。【掲載年月日】1984/03/09
2008.03.30
天声人語の書き出し&結語・名文集【自然編】『春眠』月曜日、火曜と週はじめの朝は起きるのがつらい。とりわけ春は「怠惰の神」にとりつかれたようになる。「春のあしたはねぶたやな」とうたった詩人はだれだったかなと夢うつつに思っているうちにまた寝入ってしまう。「朝寝していま極楽にゐたりけり」(片山鶏頭子)。春はなぜ眠いのか。東京都精神医学総合研の遠藤四郎氏の話をきいた。春は、人間の体が冬型から夏型へ変わる境目にある。だから体を徐々に自然環境の変化にあわせてゆく工夫が大切になる…「朝寝せり孟浩然(もうこうぜん)を始祖として」(水原秋桜子=みずはら・しゅうおうし)。春眠あかつきを覚えず、とうたったのは孟浩然だが、以来、始祖に学んで春眠をむさぼり、その効用を体得した人は意外に多いのかもしれない。【掲載年月日】1982/03/09
2008.03.29
天声人語の書き出し&結語・名文集【自然編】『香り』滞日10年のインド女性ワサンティ・ラオさんが本紙の「日本と私」欄で「日本の野菜や果物には特有の香りがほとんどない」といっていた。「花にも香りがない。日本の花は見なければ気がつきません」となかなかてきびしい。南インドでは、夕方になると女性が大輪の花を髪にさす習慣があるそうだ。そのあやしい芳香で男心を誘うのだろう、という注釈をきいたことがある…本紙首都圏版に、ジャスミンの鉢植えだとだまされて「におう木」を買った人の話が出ていた。葉っぱに甘いにおいの化粧水が吹きつけられていただけで、まもなくニセモノだとばれた。自然の香りに飢えた都会人をねらったこの詐欺は、いかにもこっけいで、うらさびしい。【掲載年月日】1977/03/09
2008.03.28
天声人語の書き出し&結語・名文集【自然編】『「生」と「枯」』木のはだの微妙な美しさに目が向くようになったのは、冨成忠夫さんの写真集『森のなかの展覧会』をみてからだ。木のはだ、というよりも正確には木のはだをおおう「地衣」の絵模様のおもしろさである。早春の光につつまれた丹沢山地を歩いた。湖のそばの傾斜地をわけいると、ごうごうと冷たい風が吹いて、アオキの葉をひるがえしていた。ケヤキやクマシデなどの裸木のはだにはりつく地衣類が目につく…早春の山は生と枯の万華鏡だった。からからに乾いた枯木にも、たくさんの冬芽がついている。こすれば粉のでる地衣類は「枯」そのものにみえるが、拡大鏡でみると、黒や茶の子器(しき)が……としていて、そこにも静かな「生」の営みのあることがわかる。【掲載年月日】1985/03/06
2008.03.27
天声人語の書き出し&結語・名文集【自然編】『ウスギオウレン』ヒオウギが芽を伸ばしはじめた。「下萌えて土中に楽の興りたる」。亡くなった星野立子さんの句だ。「俤」(おもかげ)を追ひただ歩き春遠し」。そんな句もある。日曜日、ウスギオウレンが咲いている、という知人の話に誘われて神奈川の大山周辺を歩いた。6年前に「新種」として発表されたばかりの花だ。しずり雪というのか、時折、木の枝の雪がはらはらと舞う中を歩く。やがて、雪になった。山を下って行くと、清流にクレソンの緑があった。西の空が晴れて、午後の光が尾根に並ぶ裸木を黒々と染めている。山頂から吹き寄せられてきた雪片だろう。風花がしきりに舞い続けた。【掲載年月日】1984/03/06
2008.03.26
天声人語の書き出し&結語・名文集【自然編】『桜前線』桜について、たのしいニュースが二つあった。一つはワシントン・ポトマック河畔の桜の分身が日本に帰ってくることだ。太平洋を渡ってくる桜の接ぎ穂は34種、三千本はやがて東京・足立の父祖の地に根を張り、「五色の桜」をよみがえらせるはずだ。染井吉野の花前線は、九州から南関東まではふつう一日 100キロの速さで北上し、その後は約 300キロの花の帯になって一日20キロの速さで北上する。桜前線は「春」という背番号をつけたマラソン走者だ。【掲載年月日】1981/03/06
2008.03.25
天声人語の書き出し&結語・名文集【自然編】『お遍路道』鎌倉市内での会合に出席したあと、夢窓国師(むそうこくし)開山の瑞泉寺(ずいせんじ)に寄った。梅が盛りだった。地蔵堂のわきに、こずえの描く直径が8メールとほどもある紅梅の老木があった。幹のわきに立って見あげると、空いちめんを染めた花と小枝の絵模様がから芳香が降りそそいできた。「道のべに阿波の遍路の墓あはれ」という虚子の句を思いだした。春の四国路を歩き続けていると、梅の花がいつか桃の花に変わってゆくのがわかる。桃林の見渡せる山道に、「悟りは迷いの道に咲く花である」と書いた立て札があったように思うが、どこの寺だったか思い出せない。きょうは桃の節季。桃には百鬼を制する神秘的な力がある、という信仰がある。【掲載年月日】1978/03/03
2008.03.24
イントラレーシック【IntraLASIK】体験談イントラレーシック(IntraLASIK) とは、高精度な医療用レーザーを使っておこなう最先端のレーシック(視力矯正手術)です。高精度の医療用レーザーを角膜に当てることによって、角膜や水晶体の屈折異常によって起こる近視や乱視、遠視を治療することができます。世界中で認められているもっとも安全な視力回復手術ですが、イントラレーシックは、コンピューター制御によって、レーザーを照射するので、安全性・正確性・安定性など、すべてにおて、従来のレーシックを上回っています。日本でも、歌手の倖田來未さん、松坂大輔投手、格闘家の角田信明さん、プロゴルファーの谷口拓也さん、レーシングライダーの渡辺篤さん、プロサッカー選手の柳本啓成さん…など、多くの芸能人やスポーツ選手が、イントラレーシックを受けています。 ≫ イントラレーシック【IntraLASIK】体験談
2008.03.05
引越祝いの相場とお返し引越祝い とひとくちに言っても「ご近所」「友人」「身内」「会社関係」など、相手によって、どんなものを贈物に選んだらいいのか? 金額や相場についても迷うところですね。引越祝は必ず行なわなければいけない、というものではありませんが、相手のかたの新しい生活を応援するという気持ちを伝えるには、絶好の機会でもあります。せっかく贈るのですから、プレゼントされた本人に喜んでもらえる品がいいですよね。引越祝いとしてもらってうれしいものとしては、現金・商品券が一番人気で、タオルや石鹸などの消耗品、鉢植えの花(胡蝶蘭)などと続き、最近では、本人が自由に選べるカタログギフトも人気があります。 ≫ 引越祝いの相場とお返し
2008.03.03
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