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1980年前半の 東ドイツ
、
国家機関 シュタージ
による厳しい監視が行われている
芸術家たちの中の一カップル、
劇作家のゲオルクと舞台女優のクリスタ
が主人公です。
そしてもう一人の重要な主人公が
彼らを監視する職にある シュタージの一員ヴィースラー
。
監視しているうちにだんだんと
彼らに陰で肩入れするようになっていきます。
ところでこのヴィースラーを演じた俳優さん、
最近亡くなってしまったそうです。
残念です。
素晴らしい演技力で、シュタージの冷たさと、
あまりの真面目さのせいで時折見える滑稽さ、
東西統一後の…
(書けません…これから見る人のために書かないでおきます)、
とにかくとても上手い俳優さんだと思いました。
シュタージによる尾行、盗聴、聞き込み、タレコミなどを駆使した
スパイ探し
は実際に行われていたことで、
80年代といえばわたしが鼻を垂らして
ゴム飛びや縄跳びで遊んでいた頃ですから、
まだ最近のことと言っても許されるでしょう。
そんなにも最近のことなのに、
こんな衝撃的なことが行われていたなんて…。
そしてそれによって仕事を失っていき、
さらには自殺するような芸術家たちもいたなんて…。
ヴィースラーの何もないアパートと、
本がたくさんありインテリアにも暖かみのあるゲオルクとクリスタの家。
この対比が悲しく感じられます。
盗聴は24時間だから性生活まで覗き見。
でヴィースラー、自分はどうかというと、
同じアパート内で一日に何件も仕事の入っている
売春婦のお世話になっているんです。
これも悲しい。そして滑稽。
とにかくラストシーンまで一切目を離す余裕のない映画です。
天罰は結局下るということもテーマの一つでしょうか。
クリスタのバスローブには星マークが入っていましたが、
何か意味があったのかしら?
ラストシーンのヴィースラーの最後のセリフには心打たれます。
このような出来事、 共産圏の国々
ではごく普通だったのでしょう。
そういえば昨日もルーマニア人の同僚が、
共産圏時代の食べ物の配給のことや、
国家に逆らって失業した人のことなどを話していました。
シャウチェスクが殺されたのなんてごくごく最近のことなのです。
ちなみに昨日この映画を一緒に観たのはドイツ人のイローナ。
彼女はかつて隣の国で壁が崩れるのを見た女の子です。
その国も今や同じ国。
そして最後に、邦題の 『善き人のためのソナタ』
というのは、
主人公の一人劇作家ゲオルクが
先輩作家に誕生日にもらったピアノ譜の曲名で、
彼はある夜それを弾き、
盗聴しているヴィースラーはその音色に心動かされます。
「善き人」はまたあとでもキーワードとなり、
ラストシーンにも別の形となって登場します。
観た方、ぜひわたしと感想を語り合いましょう。
*昨日の映画 IL FILM CHE HO VISTO IERI*
LE VITE DEGLI ALTRI
(2006年・ドイツ)
原題『DAS LEBEN DER ANDEREN』
邦題『善き人のためのソナタ』
監督*フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演*ウルリッヒ・ミューエ&マルティナ・ゲデック&セバスチャン・ゴッホ
MARIGOLD HOTEL 2012年04月04日
CINEMA GRATIS 2012年03月31日 コメント(3)
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