心豊かに過ごす

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2011.08.14
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おみつは元与力の島田様から孫の与力見習いの辰之助さまと一緒に5年前の事件の探索を頼まれたのでした。迷宮入りになった仕立屋「和田屋」の主人殺しのことで再調査することになったのは、島田様の身の回りの世話をしていた女中のおりんの話がきっかけでした。

和田屋の1人娘のはつえが大森で療養中に身の回りの世話をしていたのがおりんの姉おとしだったのです。家族からも離れた別宅で1人暮すはつえが不憫(ふびん)で、自分の末の妹のおりんを話し相手として屋敷に呼び寄せていたのです。その時おりんは、はつえと同じ11歳でした。
和田屋は主人が殺された後、後妻のツネが店を出て行き、はつえは日本橋の店に戻って、店に残ってくれた番頭と手代や女中など店の者と一緒に、親戚の助けを借りて仕立屋の家業を細々と続けていたのでした。そして今年16歳になったのです。5年前は子供で身に起きた不幸に翻弄(ほんろう)されただけのはつえでしたが、成長するごとに「父親が殺された事件に継母のツネが関係していたのではないか」という疑惑(ぎわく)が強くなってきたと幼馴染(おさななじみ)のおりんに話したのです。
「お金の管理は殺された父と番頭がやっていたのだけれど、父の部屋には盗まれた手文庫の他にも金品を保管していたはずなのに亡くなっていたし、蔵からもかなりの小判が無くなっていたの。そしてツネが家を出てからすぐに手代の文吉もいなくなったのよ」
おりんがはつえの遊び相手をしていたことは継母のツネには内緒だったのです。継母のツネが来た時は庭の隅や姉の小部屋で隠れていましたが、ツネの顔は見知っていました。はつえが継母のツネを嫌っていて、一緒に暮らしたくないから病気のふりをして大森の別邸で暮らしているとも言っていたため、おりんは、はつえが嫌う継母ツネの顔をしっかり覚えていました。そして、ついこのあいだ、そのツネを見かけたのでした。おりんが品川の料理屋に頼まれて手伝いに行った時、ツネが1人の男と話し込んでいる部屋に酒や料理を運んで行ったのでした。相手の男の顔もおりんは覚えていました。








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Last updated  2011.08.14 16:02:18
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