心豊かに過ごす

心豊かに過ごす

2011.09.16
XML
「その男は以前、和田屋で手代をしていた文吉(ぶんきち)でした。奥様は三十はとうに過ぎているはずですが5年前と変わってはいませんでしたが、5年前は若僧だった文吉は大人の男にはなっていましたが、すぐに文吉だとわかりました。手代の文吉は大森の別邸に本宅からの届け物を持って時々来ていたから顔は覚えていました。はつえお嬢様は、文吉は、夜、時々店を抜け出して遊びに行くので、旦那様や番頭さんによく怒られていたと話していたのですが、やはり遊び人風な男になっていました。そして、奥様はなんだか文吉の機嫌をとっているかのようでした。
5年前は、私もお嬢様も子供だったからわからなかったけれど、今思うと、おかしなことが多くて、あの日、奥様はたしかに大森の家にはきましたが、いつお帰りになったかは姉も私も知らなかったのです。お調べの岡っ引きの親分に姉が聞かれた時は、奥様が明け方に大森の家を出たと自分でおっしゃっていると聞いたので、姉は否定はしませんでした。姉が起きた時は奥様はもうお帰りになっていたから、使用人の分際で奥様に不利になることは言えなかったのです」とおりんが話したのです。
おりんの話を聞いてから御前様がお調べになってみると、確かに、事件があった夜に閂を開けたのが手代の文吉でした。まだ、小僧のような17歳の手代の文吉が手負い傷をおって3人組の賊に襲われたと話したので取り調べにあたった岡っ引きや同心は、文吉の話を信じたのです。文吉の言うとおり、たしかに3人の土足の足跡が座敷に残っていたのでした。
でも、もし文吉と後妻のツネの申し開きは2人が共謀していたとしたら、事情は違ってきます。はつえが疑ったとおりなのかもしれないと島田様は考えたようです。
おみつと辰之助さまにお命じになったのは、和田屋の1人娘のはつえに会って話をきくことと、ツネと文吉の居場所を調べてあるから、その2人にも会って話を聞くことでした。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011.09.16 12:05:48
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

ron-pearl@ Re[1]:「あなたは一生働きますよ」(09/07) yamagasukiさんへ コメントありがとうござ…
yamagasuki @ Re:「あなたは一生働きますよ」(09/07) こんばんは ron-pearlさんも脊柱管狭窄症…
ron-pearl@ Re[1]:佐渡から届いた美味しい「いごねり」(07/26) yamagasukiさんへ キノコやゼンマイなどの…
yamagasuki@ Re:佐渡から届いた美味しい「いごねり」(07/26) こんばんは。 我が家では、散歩コースに『…
ron-pearl @ Re[1]:楽天ブログ初めて20周年目(06/28) yamagasukiさんへ 本当にお久しぶりです。…

Favorite Blog

今日咲いてるバラ~… New! 萌芽月さん

のんびり New! ひろこDAYsHOUSEさん

温泉 風呂具 ますお3さん

Profile

ron-pearl

ron-pearl

Freepage List


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: