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勇者や魔法使いが魔王を倒す、といったRPG的ファンタジー世界を舞台にしたミステリ。すんごいトリックがある、というわけではないんだけど、読み進めると「おお、そうだったのか!」という驚きがあります。魔王を討伐した勇者・アルスは城に戻ってくる途中で死亡する。数年後、アレクシア姫はアルスの功績を称えるために文献を作り出す。さまざまな人からアルスに関する証言が集められだした。アルスをふくめ、周りにいた人々の視点で事情や状況が語られます。ミステリ的なしかけのためということもあるけど、メインの登場人物たちが、それぞれ「世間」とのズレを感じていることが視点が変わることでよく判ります。ファンタジー世界でありながら、キャラクターの生き方や美学が現代を生きる人たちに通じるものがあります。このへんが「なんか大人の小説だな」と思ったら、作者は40代にしてなろうにこの作品を発表したとか。なるほど、作者自身の人生への捉え方が現れていると思いました。ラノベって、そのーどうしても文章的に……うーんって作品が多いのですが、この作品はかなりあっさりとしたテキストながら、さくさくと読みやすく楽しめました。エピローグがいかにもラノベって感じ。アルスと同じパーティにいたメンバー視点の続編もあるみたいですね。キャラを好きになった人にはいいんでしょうか。私は聖女と呼ばれながらなかなか腹黒のマリアさんが好きでした。
2026.07.17
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読み応えがありすぎた。カロリー消化しました。第二次世界大戦中、ドイツとバチバチやっているソ連が舞台。ドイツ軍に村を焼かれ、母や仲良かった村人たちが殺され、たまたま生き残った少女・セラフィマが主人公。セラフィマも精鋭の狙撃兵として戦争に身を投じていきます。その数年間の物語。タイトルの「敵を撃て」が深い。セラフィマの最後の戦いで、その「敵」の正体を見据えることになる。その空しさ、悲しさ、やるせなさ。「戦争」という大きな事象を扱った小説ですが、物語の軸はセラフィマの生き様。それこそが小説の醍醐味。「百合じゃん」みたいな批判(感想か?)を見かけたけど、百合で当然じゃね?セラフィマたちの運命を変えたのは明らかに戦争。戦争を始めたのは、戦争を続けたのは何者か?そう考えたら、セラフィマたちが、そのものを自分たちの世界から排除するのは当たり前である。ミリタリー用語が多いので、とっつきにくいな~って感じる人も多いかもしれないけど、そのあたりはさらっと読み飛ばしても大丈夫。私も銃や戦車の名前は全然覚えられませんでした。あと旧ソ連の地理や、第二次世界大戦時の歴史に詳しくなくても楽しめるし、入り込めました。小説が上手いんだろうな、この作者さんは。それにしても、すごい題材を書いたものです。今、日本も戦争へ進みたがっている人たちがいるみたいだけど、本当に戦争はダメ。平和だったおかげで戦争の悲惨さを知らない人が多いようで「徴兵されても逃げればいい」なんて言っている若い人もいるそうですが、そんな「今日学校ばっくれよう」みたいなノリで徴兵は逃げられませんよ。全ての希望や夢や、生活や、家族を奪っていくのが戦争です。一部の人の金儲けのためだけに、近づいては絶対にダメなものです。もし戦争がはじまったら。こんなふうに読書することすらできなくなるのですから……。
2026.07.10
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