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『少女ポリアンナ』(エレノア・ポーター著)をご存じですか?
ポリアンナは、「嬉しくなるゲーム」の天才で、どんなことの中にも嬉しくなる要素を探し出します。
嬉しいことがいっぱいある時なら、このゲームは簡単です。
でも、悲しい時にこそ、どんな薬にも勝る大効果を発揮します。
彼女は、どんなに辛いことや悲しいことに囲まれても、どこまでも食い下がって、必ず嬉しいことを見いだすのでした。
そして嬉しいことを見つけたとき、自分一人が喜ぶのではなく、周りの人にも喜びを分けてあげる名人なのです。
この童話は、何事も悪い面ばかりを見るのではなく、その裏に潜んでいる良い面を見ることが、前向きに明るく生きる秘訣だということを教えてくれます。
事業を営んでいると、取引先が倒産したり不渡り手形をつかまされたりすることがあります。そんなとき、「こん畜生」とその人を恨んだり、あれこれと悩むのが普通です。
京セラの稲盛和夫さんも、若い頃はそうだったそうです。
しかし、あるときから、過ぎ去ったことに拘泥せずに前向きに考えるようになり、「火傷程度で済んでよかった。命までは取られなかった」と思えるようになるにつれて、運のほうも開けてきたそうです。
ある経営者は、明るさが大事だと考え、毎日良いことだけを「光明日記」と名づけた日記に書いてみえます。
これを何年も続けていると、自分の人生はいいことだけで満たされている気分になり、自然と心が明るくなり、手相や顔までが変わってくるそうです。
作家の五木寛之さんは、弟さんが亡くなられてからしばらくの間、ものが書けなくなってしまいました。
そこで新しいノートを買って来て、どんなちっぽけなことでもいいから、その日嬉しいと感じたことを書き留めるようにしたところ、毎日の些細なことにも喜びを感じて、気力を取り戻したということです。
このエピソードを拙著『いい話のおすそわけ』(三笠書房)で紹介したところ、長野県のご婦人から次のようなお手紙をいただきました。
息子のことで悩んでいましたが、私も正月から『喜びノート』を作って、身近に感じた楽しいこと、嬉しいことを書き始めました。
『喜びノート』が一週間を過ぎた頃、不思議な力を発揮しだしました。
毎日、楽しいこと、嬉しいことを書いていると、自然に「ありがとう」の言葉を書きたくなるのです。楽しいこと、嬉しいことが有り難く思えて、感謝の気持ちに変わるのが不思議でした。
神々しい日の出、家の前を流れる清らかな千曲川の流れ、四方の山々の雄大さ、青く高く静けさに満ちている空、夜空には無数の星の輝き、電話の孫の声・・・。
今までは当たり前と思っていたことが、有り難いと思えるようになりました。
「私の小さな悩みなんてたいしたことはない。な~んだこれしきのことで悩んだりして」と、大きな気持ちになることができました。
去年の日記を見ると、愚痴の何と多いことか。心の持ち方一つで、こんなに人生が楽しくなるなんて知りませんでした。
私、五六歳。これからの人生、楽しい楽しい人生になります。
またある方は、毎日寝る前に、その日の楽しかったことだけを思い出して寝るそうです。
すると、ぐっすり眠ることができます。
ぐっすり眠れれば、翌日の朝は爽やかに目覚めることができます。
そこに善の循環が生まれます。
つまらないことから口喧嘩をしたり、腹が立ったりすると、すかさず顔に出ます。そんな時の顔を鏡で見ると、鬼のように恐ろしい顔をしています。
逆に嬉しい時や楽しい時の顔は、恵比寿さんのように素晴らしい顔をしています。普段から穏やかな心を持っていると、自然と穏やかな顔になってきます。絶えず怒ったり不平不満を言ったりしていると、人相そのものが暗くなってきます。
顔を造り出す心が変わってくると、自分の見聞する世界も変わってきます。それにつれ て、自然と顔の相が変わってきます。
だから、大人の顔は自分の責任と言われるのです。
微笑は、いつも人の心を和ましてくれます。
赤ちゃんを見つめていると、自然と優しい心になってきます。赤ちゃんの無心な笑顔を思い浮かべて、笑顔の練習をしてみてください。
何事にも明るく前向きに対処していると、トントン拍子に全てがよくなってきます。
「悟りとは平気で死ぬことではなく、どんな境遇でも平気で生きていくことだ」
と松岡子規は言いました。
平気で生きていくには、今あることをあるがままに受け入れ、今という時をできるだけ愉快に生きることです。
「花見んと 群れつつ人の 来るのみぞ あたら桜の 咎にありける」
と西行法師が嵯峨野のひっそりとした庵室が花見客で騒がしくなるのを嫌って謡うと、
「憂き世と見るも 世間を離れた山と見るも ただその人の心にあり 非情無心の草木の花に 憂き世の咎はあらじ」と老いた花の精が答える能「西行桜」の一節があります。
花はただ咲いているだけ。それをどうみるかは、その人の心次第です。
この世のすべてのこともそれと同じで、あなたがどう感じるかで辛くも楽しくもなるものです。
ポリアンナのように、「うれしくなるゲーム」の達人、名人を目指したいものです。
終わりに 2018.04.21
番外編 終わり良ければ総て良し 2018.04.20
番外編 終わり良ければ総て良し 2018.04.19