太田典生の「毎朝1話」良い話のおすそ分け

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2018.01.19
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正しい判断を下すときのコツ

   『出る穴が あるのに障子の トンボかな』

という川柳があるが、視野を広げてみれば逃れられる突破口がちゃんとあるのに、目の前の障子に頭を打ちつけて、いたずらにバタバタしているトンボの姿が思い浮かびます。

それは、何かを思い詰めて、目先だけしか見ていない私たち人間の姿そのものです。

物事を判断するときは、心に波風が立っているときは判断を延ばすことです。 どんなに海が好きな人でも、嵐の海に小舟を漕ぎ出すようなバカなことはしません。

私たちの心を海に例えれば、怒りや恨みなどでカッカしたり、立場やメンツ、利害損得勘定などに囚われている状態は、ちょうど海が激しく波立っている状態と同じです。

そんな状態のときに、あれこれと思案したり画策したところで、嵐の海に小舟をこぎ出すのと同じで、上手くいくはずがありません。

寸時を惜しんで、答を出さなければならないことなど殆どないはずです。心に嵐が吹き荒れているときは、嵐が鎮まるまでじっと待つのが賢明です。どんなに心が波立っていても、時間がたてば心は必ず平静になります。それからゆっくり判断すればいいのです。


 ところが、何事も性急に判断しがちです。その場の雰囲気で判断してしまって、裏切られたとか騙されたとか言って、泣き言を言ったり損害賠償を求めたりする人がよくいます。

感情にまかせて、言わなくてもいいようなことまで口走ってしまって、後になってから「なんであんなことを言ったのだろう」と後悔することもよくあります。


 もう一つ、枝葉末節を切り捨てて全体から部分を判断することです。

私たちは、とかく目先の効果や成果だけで短絡的に判断して失敗しがちです。

ある庭師は「木を見て森を見ず」を諫め、しばらくチョンチョンとやると、遠くから庭全体を見渡し、庭全体のでき具合を吟味してから、また仕事に取り掛かります。

また、別の庭師は、切り始めたとき、すでに切り終わった状態が頭にあるから仕事が早い。さらに言うと、切り終わったときの状態とは、剪定が完成したときの形ではなく、木がある程度伸びた状態を想定しているのです。だから初めて仕事を依頼した人の中には、「ちょっと切り過ぎじゃないですか」と聞いてくる人もいるが、次の年になれば納得して、必ずまた依頼してくるそうです。


 何事も、こうやって大局的に物事を見る習慣を身につければ、その場の雰囲気や目先のことに惑わされて判断を誤ったり、角をためて牛を殺す結果を招かないはずです。   


 もう一つ大切なことを、物事を多面的に観て判断することです。

桃太郎の話は、どなたもご存知ですね。
 「天声人語」に、こんな話が載っていました。

福沢諭吉は、毎朝の食事の後で、子供たちに教訓を書いたものを渡していたそうです。

ある日の教えは桃太郎についてで、「もゝたろふが、おにがしまにゆきしは、たからをとりにいくといへり。けしかなぬことならずや」と書いてあったそうです。


 鬼が島にある宝物は、鬼の所有物なのに、理由もなく取り上げるということは、桃太郎は強盗と同じではないかという問いかけです。

人間の側から観れば英雄の桃太郎も、鬼の側から見れば強盗殺人犯です。 
 桃太郎の故郷と言われる岡山県では、鬼の側から考える授業が中学であるそうです。

鬼太郎というキャラクターまで作り、「退治される鬼に子供がいたらどうなるだろう」と問いを投げかけ、「それでも鬼を退治してよいのだろうか」と議論を発展させる。
 すると、なかには「鬼を悪者と決めつけてしまったから」という意見も出るという。


 このように、相手の側に立って物事をよく観てみると、見える風景はガラリと変わります。
 それは、歴史や政治、国際関係でもよく観られることです。

自分にとっては正義でも、別の人からすれば理不尽な振る舞いかもしれません。だから、物事を正しく判断するには、いろんな角度から判断して決定することが大切です。






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最終更新日  2018.01.19 04:53:24
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