太田典生の「毎朝1話」良い話のおすそ分け

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2018.02.03
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人との関わりが人生を拓く

考えてみると、人と人との触れ合いの連続が人生そのもので、お互いの毎日には数え切れないほど多くの人との接触があります。
 その出会いを、たった一回だけの「縁無き衆生」で終わらせるか、あるいは『生涯の友』とするかで人生は大きく変わってきます。

単なる接触で終わらせることなく、人間関係を深める智慧を身につけて、自分にとって有意義な出会いにすることが大切です。

それには、利害損得なしに「もう一度お会いしたいな」と思われる人になることです。


 好かれるのも嫌われるのもほんの紙一重で、チョットした心遣いを忘れないことが大切です。
 人は自分のことだけで精一杯の自己中心的な生き物だから、自分に関心や好意を持ってくれ、自分を立ててくれる人を求め歓迎します。


 人に好かれ、良い人間関係を創りたかったら、人間の本性を知ることです。


 一つは、自分ほど可愛い者はいないという自愛の心です。

この世に、自分ほど可愛い者はいません。だから、何事も自分中心に考えがちです。


 一つは、自分が先ず幸せになりたいという我欲の心です。

私たちは、金銭欲や物欲、性欲、食欲、権勢欲をはじめ我欲の塊です。誰よりも先ず、自分がそれらの我欲を満たして幸せになりたいと思い、他人よりも自分を優先します。


 だが、「あなたなんか嫌いよ」と叫べば「あなたなんか嫌いよ」、「あなたが好きよ」と叫べば「あなたが好きよ」とはね返ってくる山彦のように、悪いことも善いこともとも、自分のなした結果としてはね返ってくるのです。つまり、善因善果・悪因悪果です。


 そこで、良い人間関係を築くには、一見遠回りのようだがまず『他者の欲求』を何らかの形で満たしてやる、つまり他者にまず『感情的・人間的・経済的な利益』を与えることです。
 すると、相手も良いことをお返ししてくれます。
 絶対に、この逆ではありません。


 仏教の説く『忘己利他』と『自利利他』(共存共栄・
WIN ・ WIN の関係)の教えをまず考えて対応すれば、相手はこちらに良い結果を必ず返してくれると信じることです。

『私が、私の』という気持を少し押さえて(忘己)、『あなたからどうぞ』と相手を先に立てる気持ちで対応すると(利他)、相手は気分を良くしてお返しをしたくなり、自ずと人間関係が良くなり共栄共存することができます。


 禅語に「終身道を譲るとも百歩を出でず」とあるが、相手に花を持たせても一生を通せば殆ど違わないばかりか、却って得することの方が多いはずです。


 絵本『きつねのおきゃくさま』(あまんきみこ:二俣英五郎)をご存じですか?

腹ぺこの狐が、痩せた雛に出会ったが、太らせてから食べよう(自利)と考えた。

雛が「狐さんどこかに良い住む処はない」と聞くと、狐は心の中でニヤリと笑い自分の家に連れて行きます(利他)。「狐さんは優しいね」と言われ、狐はボウッとなります。


 またある日、散歩に行った雛が痩せたアヒルに出会い、「狐さんとっても親切なの」と言うのでアヒルもまた狐の家に行きます。狐は親切という言葉にうっとりし、雛とアヒルにそれは親切にしました。


 またある日、散歩の途中で痩せた兎に出会った雛が、「狐さんは神様みたいなんだよ」と言うのを聞いて、狐はうっとりとして気絶しそうになります。
 そんなある日、山から下りてきた狼と勇敢に戦い、狐は恥ずかしそうに笑って死んでいきます。


 例え狐の自利が先立つ下心から生まれた誤解であっても、雛やアヒル、兎の肯定的な対応が、狐の心の中に元々あった優しくて親切な心を引き出した訳です。


 相手がどういう行動をとるかは、実は自分の相手に対する心の持ち方次第なのです。

まずは、本心からでなくても良いから、相手が喜ぶことをほんの少しでもしてあげることです。すると、相手も気持ちがよくなって、大らかに対応してくれます。
 それを繰り返しているうちに、本物になってきます。
 そんな世の中になってほしいものです。


 良い人間関係を築く究極は、お釈迦様の説かれた「四無量心(慈悲喜捨)」と「四摂法(四摂事)」を実践することに尽きると思います。

「慈悲喜捨」などと言うと難しく聞こえるが、自分が幸せな時には、人にその幸せのおすそ分けをして他と共に楽しむ。身近に不幸な人がいる時には、少しでも良いから手を差し伸べてあげる。いや、側にいて、そっと手を握ってあげるだけでいいのです。


 四無量心を実際行動として実践する手段が、「四摂法(事)」=布施・愛語・利行・同事の四つの実践行動です。


 布施とは、お寺への謝礼ではなく、自分が大切にしているものを差し出して精神的・物質的な恵を与えることです。
 ボランティアも、現代版の布施と言えます。


 財貨や人に教えたりする特別なモノが無くても、次のような無財の七施なら、その気さえあれば誰にでもできるはずです。

・慈眼施(常に人に温かい視線を送り、優しい眼差しで接する)

・和顔悦色施(いつもニコニコと、温かく、優しい顔で接する)

・言辞施(常に温かい思いやりのある言葉で接する)

・身施(人が困っている時に、そっと手を差し伸べて手助けをする)

・心施(「情けは人のためならず」と思い情を込めて接する)

・床座施(体の弱い人や困っている人に優しく席を譲る)

・房舎施(宿に困っている人があれば泊めて心からもてなしてあげる)


 愛語とは、相手の身になって親身に話しかけることです。

利業とは、相手の役に立つことをすることです。

同事とは、相手の身になって苦楽を共にすることです。


 「四摂法」の本質は、「あなたからどうぞ」と相手を先にする忘己利他(相手第一)の心だが、まずは自利利他(共存共栄)の心をもって共感力を育むことではないでしょうか?


 自分を大事にして欲しければ、他人を大事にしなければなりません。

自分の心を分かって欲しければ、人の心がわからなければなりません。

こんな共感力は、社会生活に欠かせない最も大切な能力の一つです。


 精神的、物質的な恵みを人に与える、人に優しい言葉をかける、相手の利益になることをする、相手と同じ気持ちになって考えることを心がけて行動すれば、皆が仲良く心安らかに生きていくことができます。


 何事にも偏らない優しい心をもって慈しみあい、良いことが有れば人と一緒に喜びあい、過分な欲望を捨てて持てるエネルギーを人々のために尽くそうという心を養うことが大切だという教えだと思います。






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最終更新日  2018.02.03 04:48:48
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