学校で教えて欲しかった、こんな英文法!

学校で教えて欲しかった、こんな英文法!

2010年03月11日
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カテゴリ: 時制
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Day 66 :では、さっそく今回のサミト君スマイルの英語学習を覗いてみましょう。


問題:あなたが上司や恩師にアドバイスを求めている文です。適切なのはどちら?

1) I want to ask your advice.
2) I wanted to ask your advice.



問題文はアドバイスを求めているという現在のことなので、過去形を用いた2) の wanted は不自然だとサミト君は考え、1) を選びました。でも、なんだかちょっとしっくりこないようですね。


さって、あなたの答はどうでしたか?



今回の問題は、2) の wanted を使った文が適切な文です。





「あなたのアドバイスをききたい」となります。


この日本語を聞くと、上司や恩師にアドバイスを求める文としてはちょっと失礼な感じがしませんか?上司や恩師、目上の人にアドバイスを求めるときには、ふつうもう少し丁寧に頼みますよね。


だから、今回は過去形を使った丁寧な文2)が正しい答だったのです。


みなさんも can とか will などの過去の形は丁寧な表現になる、とどこかで習ったことはありませんか?


Can you open the window? (カジュアル)

Could you open the window? (丁寧)


でも、どうして?と疑問に思ったことはありません? 理由は分らないが、そういうルールだから、と無理矢理お腹に詰め込んだ経験はありませんか?


今回はその理由もスッキリと整理しましょう!


まず、Day57 でも取り上げましたが、 過去形の持つ本質的な働き を整理しておきましょう!


過去形は単に「昨日~した」「去年~へ行った」という時間的な過去の意味を表す用法だけではありません。


「過去の意味」を持たない過去形 があるのです。


過去の意味を持たない過去形を理解する上で、重要なことは英語の過去形の持つ 3つの働き を知ることです。



英語の過去形は3つの隔たり(distance)を表します。


1. 現在からの時間的隔たり[distance] 過去の意味

2. 現実からの隔たり[distance]      ( 非現実、つまり仮定法の意味

3. 相手からの心理的隔たり[distance]   ( 丁寧・控え目の意味



1.の時間的隔たりは、よくご存知の、 I was a student 10 years ago. (10年前は学生でした)のように単純に 時間的過去 の事実を表すものです。 


2.の現実からの隔たりとは、 I wish I had a car. (車を持っていたらなぁ) のような仮定法の意味です。これは1のような時間的過去ではありません。


この過去形(仮定法過去のhad)は I do not have a car. 「車を持っていない」という 現実の事実からの隔たり を表すもので、過去を表わすものではないのです(仮定法はまた別の機会に詳しく紹介しますね)。


3.の心理的隔たりをCGEL(Huddleston&Pullum)では、過去形で表すことによって自分と相手との間に 心理的な隔たり [distance]を置き、直接的またはぶっきらぼうな響きを避けることになり、その分丁寧さが増すことになると説明しています。これももちろん過去のことではありません。



今回はこの3. 心理的隔たりを用いた問題でした。では、この心理的隔たりをもう少し簡単に説明しましょう(ここからはイメージ作りです)。


日常における 人間関係の距離 で考えてみましょう。


例えば、あなたがボーイフレンドまたはガールフレンドとバーラウンジに行ったとしましょう。テーブルを挟んで対面に座りますか?それともすぐ横に座りますか?あなたはどちらに座りますか?


きっと横に座りませんか?もちろん公共の場ではそんなことはしない、と言う方もいると思いますが、心理的には肌と肌が触れ合う距離で座りたいのが心情ではないでしょうか?


なぜならば、好きな相手なら人間関係の距離がないからです(親友や親子関係などもそうですよね)。


英語の世界では、この距離のないカジュアルな関係では直接的な表現を使います。そして現在形を用いた表現が直接的な表現になるのです。


I want to ask your advice.  (あなたのアドバイスを聞きたい) [直接的⇒カジュアル]



では、何か相談事があり、上司または恩師などとバーラウンジに行ったとしましょう。


この場合はテーブル席、つまり対面に座りますよね。
もちろん恋愛感情があれば別ですがぽっ


テーブルを挟んで座る、つまり、2人の間にテーブルという物理的距離が発生します。これが人間関係の距離、CGELが言う心理的隔たりなのです。


上司、恩師、知らない人など、非カジュアル関係の相手とは人間は距離を置いて話すのです。なぜならば、この距離があることで直接的な馴れ馴れしさを避けることができるからです。


英語の世界では、この人間関係の距離を過去形で表現します。過去形を使うことで現在形の持つ直接的またはぶっきらぼうな響きを避けることになり、その分丁寧さが増すのです。


I wanted to ask your advice.  (あなたのアドバイスをお聞きしたいのですが) [丁寧]



だから、人に何かを依頼するときに過去形を使うと丁寧になるというのはこうした理由からなのです。


Can you open the window? ⇒  Could you open the window?  [より丁寧]



余談:もう二十年近くも前のことですが、アメリカのデパートで店員さんに、


Were you looking for anything special?


と、聞かれ、どうして過去形(Were)を使うのかなぁ?と疑問に思ったことがありましたが、この過去形の3つの働きがわかって、あ~ぁ、あの店員さんは丁寧な応対をしてくれたのだとわかったのでした。


今回のように過去形の持つ3つの働き(理論)と人間関係の距離間(イメージ)がつかめたら、後は「習うより慣れよ」、より多くの英文に触れ、この「わかる⇒面白い⇒もっとわかる⇒できる」という循環を作っていきましょうね。


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最終更新日  2018年07月18日 02時18分32秒
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