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2019年10月10日
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カテゴリ: 伝統こけし

こけ女のバイブル『 kokeshi book ─伝統こけしのデザイン』

第 3 次こけしブームを牽引する「こけ女」のバイブルだという COCHAE 編『 kokeshi book ─伝統こけしのデザイン』(青幻社)。こけ女という言葉に魅かれて入手。

たしかにこれまでのガイドブックとは異なって、カラフルでかつ現役工人を中心にしている。こけしの配列も整然と並べるのではなく、右を向いたり左を向いたりと工夫されている。タイトルに「デザイン」というだけあってデザインが詳しい。しかしそれだけでなくて、こけしに関することが一冊でわかる優れもので、なるほどこれをこけ女が読んでいるのかと認識を新たにした。東北の風土、歴史についてはあえて省いたと後書にある。帯文は漫画家のさくらももこ。「かわいいつもりなのにおもしろいカオがヅラリ。こけしの味わいは尽きません。」とある。

東京こけし友の会の紹介はあっても、他のこけし会の紹介はない、こけしショップも東京、鎌倉だけと徹底的にターゲットは東京中心の女性に絞り込まれているとみた。初版は 2010 年 4 月 10 日発行、私が入手したのは 2011 年 6 月 10 日の第 3 版。

COCHAE (こちゃえ)というのは軸原ヨウスケ、武田美貴によるデザインユニットという。

良いところもたくさんあるが、つっこみどころも沢山。

表紙が奥瀬恵介の盛秀型の「伝統ならざる」下睫毛のこけしというのが、まず気になった。それも恵介らしくない「かわいい」ものである。

さらに首をひねったのはイントロダクションの「伝統こけしの現状は 第 2 次こけしブーム (昭和 20 年代後半~昭和 40 代前半)以後、衰退の一途を辿っています。」の文。

はて第 2 次こけしブームは「昭和 20 年代後半~昭和 40 代前半」なのだろうか。私の認識では昭和 30 年代後半から昭和 50 年代前半で、きっちり 10 年異なる。だいだい昭和 20 年代は、前半も後半も戦後の荒廃期で、こけしに限らず玩具や遊びがブームになる要因はまったくない。第 2 次こけしブームは高度経済成長期と重なる。ブームを支えたのは経済成長である程度の余裕を持つことが出来た大都市のサラリーマンが中心であった。この時期は企業などが慰安会などで団体旅行を行い温泉地を訪れることも多くなった。それもブームの要因の一つとなっていた。

COCHAE 自身が関係している「 kokeshi pop ─ポップでカワイイこけしの世界」という展覧会の紹介記事にも「第 2 次のブームは戦後 1960 年前後から始まる。千趣会の前身である「味楽会」がこけしの頒布会である「こけし千体趣味蒐集の会」を始めたのが、 1954 年。 1959 年には第一回の「全国こけしコンクール」が開催されている。」[新川徳彦]とある。

 毎年、新春などに各デパートが競って、こけしの展示即売会を開催したのも、昭和 30 年代後半から昭和 50 年代前半ではなかろうか。

KokeshiWiki に第 2 次こけしブームの項はないが、朝倉きぬの項に「昭和 41 年頃より第 2 次こけしブームで伝統こけしに注目が集まるようになり」とある。これは筆者の認識と同じである。

第 3 次こけしブーム は「 2009 年前後から、それまでの蒐集家とは異なる 20 代 30 代の女性を中心に始まった。 2010 年 4 月には『 kokeshi book ─伝統こけしのデザイン』(青幻舎)が刊行され、ヒット。このブームのさなかに東日本大震災が起きたことで、おもに東北地方でつくられているこけしの蒐集には復興支援という活動も加わった。 2009 年に鎌倉にこけしとマトリョーシカの店「コケーシカ」を開いた沼田元氣は、雑誌「こけし時代」を創刊。(一部要約)」(前出:新川徳彦)

 現在は第 3 次こけしブームなのだろうか。もう終わったという説もあるが、あちこちのイベントなどでも「こけ女」が多いことはうれしい。

 『伝統こけしのデザイン』には、こけしの入手方法が紹介されているが、そこにはヤフオクなどのネットはまったく紹介されていない。これも約 10 年の時代の違いである。

 いろいろな問題点はあるものの、読んで損のない一冊であると思った。一読をお勧めしたい。

 画像は伊豆護・徹のページ。ちょうど中央に伊豆護( 1925-2019 )の​ 一筆目 ​があった。この一筆目の情感についてはすでに書いた。

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(追記)10/11「こけし手帖」10月号が来た。そのなかに国府田恵一氏の<盛秀こけしの伝承>があり、その冒頭に「昭和40年から50年代(所謂第二次こけしブーム)の頃」とある。私の「昭和 30 年代後半から昭和 50 年代前半」と事実上は同じで、これが実際に第二次こけしブームを体験したものの共通認識であるようだ。付記しておく。






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最終更新日  2019年10月11日 20時40分21秒
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