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【あらすじ】昭和57年、広島呉原。戦後の闇が色濃く残るこの街で、愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦は、ヤクザさえ恐れる暴力とカリスマ性で勢力を拡大していた。暴走する沖を追うのは、広島北署の刑事・大上章吾。呉原最大の暴力団・五十子会との抗争の火種がくすぶる中、大上は沖を止められるのか。やがて時代は平成へ。警察官としての覚悟と冷徹さを身につけた、かつて大上の薫陶を受けた日岡秀一が再び沖を追い、暴力の連鎖に立ち向かう。【感想】『暴虎の牙』は、三部作の締めくくりにふさわしい、重厚で迫力ある物語でした。昭和と平成、ふたつの時代を通して描かれるのは、暴力に生き、暴力に翻弄された男たちの壮絶な生き様です。沖虎彦は圧倒的な暴力とカリスマ性を持つ凄まじい存在感のある人物で、彼の狂気と哀しみが物語を強烈に引っ張ります。その沖を追う大上章吾、そして時代が移り沖に立ち向かう日岡。二人の刑事の姿からは、それぞれの正義と覚悟が伝わってきました。シリーズを通して追ってきたからこそ、登場人物の変化と重なりが深く響きました。壮絶な暴力描写の中に友情や信念が静かに揺れていて、読後になんともいえない悲しさが残りましたね。ヤクザものはあまり好きではなかったのですが、狐狼の血シリーズ読み始めたら本当におもしろくて柚月裕子作品、全部読みたい!ってなったので次は佐方検事シリーズを読み始めました。暴虎の牙 上 (角川文庫) [ 柚月裕子 ]暴虎の牙 下 (角川文庫) [ 柚月裕子 ]
2025.07.11
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【あらすじ】『狐狼の血』の2年後が舞台。主人公・日岡秀一は広島の田舎の駐在所へ左遷され静かな暮らしを送っていたが、やがて再び陰謀と暴力の渦中へと巻き込まれていく。そこで出会ったのは、抗争の中心にいながらも仁義を重んじるヤクザ・国光寛郎。日岡は彼と兄弟の契りを交わし、その意志を継ぐこととなる。複雑に絡み合う暴力団抗争の火種が燻る中、正義と仁義の狭間で揺れながら、日岡は自らの運命を切り開いていく。【感想】前作の『狐狼の血』の迫力と重厚さを引き継ぎつつ、さらに深く暴力団の内情や警察の苦悩を描いていて、緊張感が最後まで途切れませんでした。登場人物の心理描写が細やかで、特に主人公の日岡の葛藤や成長がリアルに感じられます。暴力の連鎖と正義の狭間で揺れる人間模様に引き込まれ、まるで映画のような迫力ある展開に息を呑みました。日岡の行動がいいことなのか悪いことなのか、判断が難しい。もちろん実際は駄目でしょうね。凶犬の眼 (角川文庫) [ 柚月裕子 ]
2025.07.07
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広島の裏社会を舞台に、暴力団と警察の壮絶な駆け引きを描いた物語。一線を越えるか、それとも守るのか。この作品は、「正義」と「悪」の境界を揺るがす骨太な物語です。主人公は新人刑事の日岡。彼が配属されたのは、暴力団対策に奔走する型破りなベテラン刑事、大上のもとでした。強引で時に法を超えた捜査を続ける大上に、日岡は戸惑いながらも次第に影響を受けていきます。この物語の核となるのは、「警察」と「暴力団」、そして「正義」と「非道」の境目が曖昧になっていく点。大上の捜査は暴力も辞さず、しかしそれは果たして本当に「悪」なのか。彼の行動の裏に隠された真の目的が明かされるとき、読者は強烈な衝撃を受けるでしょう。圧倒的なリアリティと緊張感が、この小説の最大の魅力です。暴力団の世界を細部まで描き込む筆致は、まるで現場にいるかのような臨場感をもたらします。そして何より、大上というキャラクターの存在感が圧倒的。一見非道に見えるその言動も読み進めるうちに単純な善悪では割り切れない複雑な思惑が見えてきます。特にラストに向けた展開は圧巻。 これまでの物語を貫いた大上の生き様が、衝撃的な結末へとつながります。 『狐狼の血』は単なるハードボイルド小説ではなく、人間の「信念」と「覚悟」を問いかける、重厚な一冊です。この物語を読んで、あなたは「正義」をどう考えますか?孤狼の血(1) (角川文庫) [ 柚月裕子 ]
2025.07.05
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