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第7の手紙
物質の力


“霊界”に住む者の心に、地上の記憶は突然よみがえる。

「なんてことだ!」と彼は言う。「おれがいないのに世界は続いている。あっちはいまどうなっているんだろう?」

自分がいないのに世界が続いているというのは、許しがたいことのようにさえ思える。彼はいらだつ。自分は時勢に遅れている、のけ者にされ、取り残されている、と思う。

あたりを見回しても、四次元の場(フィールド)が静かに広がっているばかり。ああ、物質のもつ鉄のような力にもう一度とらわれたい!なにかをがっちりとつかみたい!

そんな気分はやがて過ぎ去るが、ある日二倍の強さで戻って来る。この希薄な環境から抜け出し、濃密な素材に満ちた手ごたえのある世界に戻らねば。だが、どうやって?

そうだ、思い出した!すべての行為は記憶から生まれる。前にやったことがあるからこそ、無謀な実験にならずにすむのだ。

彼は目を閉じ、霊界でくるりと向きを変える。人間の生に、人間の集団が発する強烈なバイブレーションに、引き寄せられていく。そこには共感がある――いま交流している人々の魂と過去に共有した経験による共感なのか、あるいは気分や想像力が生んだ共感にすぎないのか。いずれにせよ、彼はつかんでいた自由を手放し、意気揚々と人間の生に身を沈める。



意志が強く頑固なら、逆戻りせず、そのまま成長して人間になる。希薄な素材に囲まれていた前世は、ただの夢だと思いこむかもしれない。夢の中ではそこへ戻れるからだ。その夢は彼につきまとい、物質を味わう喜びをだいなしにする。

歳月が流れ、彼は物質界での闘いに疲れ果て、エネルギーがつきてしまう。彼は再び霊界の腕の中に沈みこみ、人々は声をひそめて、彼は死んだとささやく。

だが、彼は死んだのではない。もといた場所に戻っただけだ。





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Last updated  2007.12.12 01:44:22
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