草加の爺の親世代へ対するボヤキ

草加の爺の親世代へ対するボヤキ

PR

プロフィール

草加の爺(じじ)

草加の爺(じじ)

サイド自由欄

カレンダー

フリーページ

2019年04月01日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
第 四百二十一 回 目

    サンプル・ストーリーの 五

   『 悪党バスター 見参! 』 ―― 現代の世に蔓延る様々な悪を懲らしめる正義の味方

と言いたいところであるが、この物語の主人公達は一種の 愉快犯 で、相手を懲らしめる為なら

手段を択ばず、目には目を、歯には歯をの原始法と同じ精神を実行する、フィクション上のグルー

プである。

       「 殺人以外はなんでもやれ 」―― パイロット・エピソード

 プロローグ  或るビルの一室にある詐欺グループのアジトを急襲する擬装した警察官の一団が

ある。



忽ちの裡に手足を縛られ、目や口を粘着テープでふさがれ、床の上などに抛り出されしまう。その

水際だった手際は見事の一語に尽きる。最後にボスらしい一人が110番通報して、風の如くに

姿を消している。


  事務所の中(東京都内の某所)

 椅子にゆったりと腰を掛けた堀須達夫がテレビのニュースを観ている。

 テレビのアナウンサー「このような奇妙な騒動が全国各地の都市で連続して起きて居り、警察で

はその関連性と事件性を捜査本部を立ち上げて、本格的に調査する方針だと言います。次に…」


  ビルの屋上

 遥かに高層ビルが林立する眺望を前にして、堀須と若い二十代の娘が会話している。

 娘「横山さん、例の俺々詐欺の被害に遭われた老婦人ですが、酷く落ち込んでしまって、病院に

通う事さえままならない、本当にお気の毒な状態なのですわ」



 娘「私のように若い者でしたら、これからいくらでも幸運に巡り会うチャンスもある。そう考え

て自分を慰めることも出来ます。でも、あのお気の毒な横山さんは、もう九十歳に近い御高齢です

。私、一体何と言って慰めて差上げたらよいのか…」

 堀須「宇宙から地球を眺める科学者には、我々の住む地球はまるで宝石の様に美しく輝いて見え

るって言う。現に、あそこに見ているビル群の眺めは一見素晴らしい。でも、あの中に一度足を



 娘「ええ、何か不気味な感じが致しますわ」


  或る地方都市の中央部分にある豪邸の応接室

 この家の主人と堀須達夫が対決している。

 主人「君のいう事は全部間違いのない事が分かった。私の部下や会社の弁護団に早速調査させた

のだが、細部にわたって正確だった。彼等は皆舌を巻いて驚嘆していたよ。私としては君の要求は

全部呑まざるを得ない。だから、罪もない孫娘にだけは何もしないで貰いたい」

 堀須「中々に物分かりが宜しいですナ。私としてはこの際調子に乗って自分の事を少しばかり

語りたい気分になったので、お付合いをお願いしたい。私は若い頃は法律関係のエリートだった。

それ故に法治主義の限界を思い知らされた。そして金色夜叉ならぬ、法律無視の鬼となって悪党ど

もに私的なリンチと制裁を加えて、善良な被害者の鬱憤を天に変わって晴らそうと決意した」

 主人「殺人以外は何でもやれ、それが君のモットーだとか」

 堀須「その通り。悪党には死んで貰っては困る。せいぜい長生きして地獄の苦しみを、とことん

味わってもらわなくては、いけないから」

 主人「だが、可愛い孫娘は、悪とは無縁だ。無事に、無傷で返して貰いたい」

 堀須「大丈夫、貴男が約束を守って自ら警察に自首して、洗い浚い犯した罪の証言をしたことが

確認されれば、即刻に人質は母親の、貴男の娘の手に帰される。それは固く保証する」

 主人「君の言う通りにしよう」と、さすがにがっくりと腰かけていた椅子に、深々と腰から崩れ

落ちた。


  新聞社の編集室

 警視庁詰めの記者が編集室に駆け込んで来た。

 記者「編集長、やはりこれは特ダネクラスの記事にはなりますよ」

 編集長「私も昵懇の刑事さんに確認したのだが、確かに君のかぎ出した事件は、これまでの警視

庁が扱った事件の中でも屈指の特異性があるらしい」

 記者「それと先の異常事態との関連はまだ定かではないのですが、私の勘では何か繋がりが有る

様に思えて仕方ないのです」

 編集長「例えば、どういう点でかね」

 記者「つまり、正攻法の捜査では直ぐにデッドロックに乗り上げてしまう困難な事件で、悪の方

から警察に通報して来たり、今度の様に巨悪のボスが自分から悪の証拠を引っ提げて、警察に自首

して来るというような、珍事が起こっている」

 編集長「成程ね、日本だけではなく、世界的に見ても極めてレアな事例だと思うよ」


  警視庁の記者会見場(数週間後)

 担当警察官「事件の性格上詳細に説明することは現段階では出来ないのでありますが、世界の犯

罪史上から見ても特筆するに値する幾つかの特異点がありますので、この点から先ず触れてみたい

と考えます。第一点は、反社会的な高度に知的に構成されたグループの頂点に立つ者が、自ら進ん

で自分たちの広汎な犯罪行為を認め、しかもその確証となる幾多の証拠を自発的に提示して、自ら

を裁く裁判に積極的に協力するという、まさに驚異の姿勢を示している事であります。これは

裁判の前に既に被告の有罪が確定している。そういう事を意味して居り、常識ではあり得ないこ

となので、これを申し上げている本官自身が正直信じられない思いであります…」


  奥入瀬の渓流

 その渓流沿いの径(こみち)をひとり辿る堀須達夫の姿がある。

 堀須のモノローグ「私は特に正義感が強い人間ではなかった。しかし、大学で法律を学び、大学

院でその研究を深め司法試験に合格して検事として社会に船出した際に、自己の限界、法律の限界

に逢着せざるを得なかった。それは取りも直さず人間の限界でもあった」


  堀須の回想・親友の死

 自殺した二十代の男から届いた遺書としての手紙に言う。「僕は学校や社会の試験や資格検査で

は常に最高の成績を収めた。しかしそれが何になろうか、遂に自分の愛する女性からは不合格の

判定を受けてしまった。彼女は金持ちの青年実業家を選んで昨日結婚式を挙げた…」、心友は私と

は専攻も生き方も全く違う純粋な学問の心酔者であった。幼時に両親を事故死で同時に失い、孤児

施設で育ち、奨学資金とアルバイトだけで大学を卒業している。我々は共に学問的なエリートでは

あったが、社会的な評価は謂わば両極端にいた。私は世に言う良家の子息であり、彼は身寄りのな

い貧乏人にしか過ぎなかった。法律の上では同等であり、憲法の扱いでは同列であるが、実際の生

活の上では雲泥の差別が、厳格な差異が存在している。


  元の奥入瀬の渓流

 堀須のモノローグ「友の突然の死が私の生き方を急激に変えた。私は一種の狂人になってしまっ

た…」


 堀須の回想 ―― 図書館で調べ物をする若き堀須達夫。

 モノローグの続き「私は法律の番人としてではなく、犯罪を犯す罪人や悪人の視点から法律を読

み、法網を潜るにはどのような手法が有効なのかを専門に、各種の判例や裁判の記録をとことん研

究した。その目的は正義の為に自己の知識を役立てる事にはなく、法の裏をかき重罪を遁れている

真実の悪党を、私的なリンチにかけ、無辜の市民の代わりに鬱憤を晴らす目的である」


  回想の続き ―― 盗聴の名人との会話

 堀須「これは公的な仕事ではない。だから断って貰っても一向に構わない」

 名人「はい、心得ております」

 堀須「これも念の為に言うだけだが、当然報酬も無い。ないない尽くしの勝手なお願いだ。これ

ははっきり言って私個人のエゴから発した勝手極まりない、一種の犯罪行為であり、思い上がった

許すべからざる反社会的な、一般の犯罪行為以上に性質(たち)の悪い犯行だ」

 名人「あなたの潔癖な倫理観が言わせる言葉ですね。そこがまた、あっしの好きな所でして、是

非とも協力したくなる理由なのです。あっしだって少しは人の役に立てる、人間らしい仕事がして

みたいですからね」

 堀須「有難う。宜しくお願いするよ」


  元の奥入瀬渓流

 堀須が歩みを止めて小休止している。モノローグの続き「一例を挙げればこのような具合で、コ

ンピュータ―のハッカー、窃盗、読唇術、マジック、射撃、各種の武術、催眠術、などなど各分野

の名人・達人のヴォランティア的な協力を得て、数週間から数年に及ぶ実に根気のいる緻密な事前

調査を経て、これとは別個に隠れた悪のアジトを急襲する実行部隊を編成して、F B I や K G B も

及ばない完璧な仕事を成し遂げるのである」


 堀須達夫の日常

 月曜日 ― 空手のトレーニング、火曜 ― 柔道の練習に汗を流す、水曜 ― スイミングの

クロール、平泳ぎ、バタフライ、背泳ぎを最低でも一日に千メートル以上泳ぎ熟す、木曜日 ―

ランニングに打ち込む、平地だけではなく山道や急坂などを織り交ぜて実施、金曜日 ― 剣道の

大会等に出場するのがメイン、土曜 ― フットサルに興じて汗を流す、日曜日 ― 各種の資料

に目を通し次なるターゲットに対しての予備知識を蓄える。以上は午前から夕方にかけての平均的

なスケジュールである。


  或る日の夜の会談(これは非常に大衆的な居酒屋で行われた実例)

 こじんまりとした個室での食事が堀須を囲んで行われている。今回は三十代の男女四人が参加し

ている。

 堀須「皆さんが私の事を必要以上に美化していると言うか、過大評価しているようですので、申

し上げるのだが私は謙遜で無く率直に言って、人間の屑だと言える」

 一同は一様に反対の意思を「えーっ」と言うような溜息とも嘆声ともつかない声を上げて、表明

したのだ。

 若者の1「先生、それはいくら何でも暴言でしょう」

 女性の1「そうですよ。先生の活動を洩れ聞く者は誰でも心の底から尊敬しないでは、いられな

いのですから」

 堀須「いやいや、大いに感謝しなければならない立場に居る者として、少なからず申しずらい事

なのだが、これは事実なのです。私が仲間に指示している事は、法律を無視している。その点では

犯罪者と同列なのだ」

 若者の2「でも、相手が卑劣極まりない悪党ばかりではありませんか」

 女性の2「そうですよ、天に替わって悪を懲らしめている」

 堀須「確かに一面ではそう言える。が、法治国家で法律を無視するのは明らかに犯罪行為です。

その点を心に留め置いての上での協力なら、感謝して諸君の御協力の申し出をお受けしたい。どうぞ

宜しくお願い致します」


                       《  紹介編 終わり  》





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2019年04月03日 09時41分42秒
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: