草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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2021年10月20日
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アポロドーロス  僕が席に着く前には召使が手洗い用の水を運んで来た。やがて別の召使が来

て、ソクラテスが隣家の玄関先に居た事が判明したと告げた。彼はそこに佇んでいて、召使のお

屋敷の内部にお入り下さいといくら懇願しても聞こえない人のようだったとか。「何という変わ

った人なのだ」とアガトーンは嘆息を発してから「もう一度行って彼を呼んで来い。承諾の返事

など待つ必要は無いのだ」と召使に言った。そこで僕は「いいや、彼を一人にしておくがよい。

それは彼の流儀なのだから」と僕は言った。「彼は人から時々離れた位置を取って、其処がどこ

であれじっと立ち止まっているのさ。そのうちにやって来るに相違ないから、暫く彼の思うまま

にしてやったほうが良い」、

「君がそう思うなら、そうしようか」アガトーンはそう言った後で、召使達に次のように命じ



ているのだから思う存分に自分達の計らいで奉仕してくれればよいのだ。君らに命令を下す者な

どは一人もいないわけだからね。僕も何一つとしてこれをするなとは命じなかったのだからね。

だからこの際は我々を賓客だと考えて、この僕を含めることは勿論だ、奉仕して欲しい。その成

果が我々の賞賛に値するかどうか、見るとしよう」と。

 その後で食事が始まったが、ソクラテスはやって来なかった。アガトーンは何度か彼を呼びに

人をやろうとしたのだが、僕がそれを制止した。遂にはソクラテスはやって来たのだが、彼とし

ては決して遅い方ではなかった。その頃は夕食のコースも半ばに達していたのだ。偶々、テーブ

ルの端に座っていたアがトーンが大声を発して言った、「此処、僕の隣の席に座り給え。そして

貴方が玄関の所で発見した何かを僕に話して聞かせてくれませんか。僕の見るところでは、貴方

は自己の抱えていた問題に解答を得て、虫ピンで留めるように確認した筈だからね。そうでなけ

ればまだ姿を現さないだろうから」、



ただろう。水の様に知識の多い者からより少ない者に、ウールの糸を伝わって二つのコップ間を

伝達するのだったら。一杯の水のコップから空のコップへ移し替えられる物ならね。もしそれを

知識に応用すれば、僕は君の隣に座れる特権を大いに評価するのだ。何故ならば、君はなみなみ

と溢れる素晴らしい知識の一飲みで僕を満たしてくれることは間違いのないことだから。僕が所

有している知識等と言っても僅かなもので、夢よりももっと儚いものさ。君の知識はより素晴ら



の言葉も無い、一昨日三万人以上のギリシアの聴衆を前にした目も眩む如き輝きはどうだ!」、

「貴方の皮肉はもう十分です、ソクラテス」とアガトーン言った。「我々は自分達の尊敬すべき

知識に対する意見はもう少し後で片付けることにして、デュオニュソス、ワインの神の判断を待

つことにしましょう。暫くは、貴方の食事を堪能して下さいませんか」、

 ソクラテスが寛いでから他の客達同様に夕食を終えてから、我々は神酒を地面に注ぎ、神への

賛歌を歌い、慣例の儀式を全員で行った。それから酒盛りを開始したのだ。この時にパウサ二ア

スが次のごとくに話し始めた。

 「さあ、諸君。飲み会をするのに何も厳しい決まりなどは無い。昨日の飲み比べは僕にとって

実に不満だった。僕は諸君も同様であると愚考するに吝かではない。そこで、飲み会での最小の

取り決めとは一体何かを議論したいのだが」

 するとアリストパネスが言った、「同感だね、パウサニアス。それを示せば我々は気軽になれ

ると思うからね。僕は昨日いささか痛飲した口だから」、「全く同感だ」とエリキマカス、アキ

ュメナスの息子、が言葉を継いだ。「しかし、僕には意見を拝聴したい一人の人物がいる、アガ

トーン、君は大丈夫だったのかね?」、「いや、全く降参したね」とアがトーン。エリキマカス

も応じた、「これはもっけの幸いというものだよ、アリストデモス、パイドロス、その他の友達

よ、我々の中で最強の酒豪が降参したのだから。我々は嘗て彼に対抗出来なかったのだ、当然に

ソクラテスは勘定に入れていないけれども。何しろソクラテスはどちらの方法でも構わない無敵

者なので。しかしここには無制限な飲酒に無関心な者は一人もいないので、酩酊に就いての真実

を聞いても我慢してくれるだろうと思うのだ。痛飲酩酊は人々にとって良くないことだと、私の

医学的な経験は確信させている。深酒を自身ですることや他者に深酒を勧める事に私は消極的で

あります。とりわけ前日から二日酔いの者には殊更に」、

 ここでマリナス出身のパイドロスが介入して言った、「僕はいつでも貴方のご意見を傾聴する

習慣を持っているのですが、格別に医学的な忠告には。他の方々も、もし賢者であるならば、こ

の際は同様の行動を取るでありましょう」、

 この後では誰もが今回は酔いどれるまでは飲まずに、ほろ酔いまでにしておこうと同意した。

「それから後では、このように決定したので、如何なる強制も無くし、銘々は自分の適量だけを

飲もうとした。それから僕はその時入って来たばかりのフルート奏者の少女を送り帰し、今日は

会話だけを楽しもうと提案したいのだ」とエリキマカスが言った、「もしどんなテーマでと訊か

れたなら、それに関しても自分なりの意見があるのだ」、すると皆が言葉を続けるように彼を促

したので、言葉を継いだ、「僕はエウリピデスのメラニッペの流儀で始めたい、自分自身につい

てではなく、これから語ろうとしている話を。そしてそれは僕らの友・パイドロスに相応しい

ものだ。彼はいつも憤然としてこう言っている、「エリキマカス、或る神々には詩人から讃歌や

褒め讃える歌が献呈されているのに、大勢いる詩人の誰ひとりとして遠い古代から伝えられる強

力な愛の神への賛辞は創作していないのは、恥ずべきことではないだろうか? 或いは、あの善

良なる職業教育者たる人々、例えば優秀なプロディカスだが。彼等はヘラクレスその他に散文の

讃辞を書いている。それは多分それ程驚くべきことではないだろうが、僕は嘗て或る学者が書い

た一冊の本を偶々読んだことがある。その書物は塩の有用性は素晴らしい賛辞のテーマなのだと

主張している。そうした例は他にも多数見つけることができる。しかし愛の神にそうした例が皆

無なのは非常に残念だと思われる。それ程にこの強力な神だけが無視され続けているのだ。そう

パイドロスは主張し続けているのだが、僕は両手を挙げて賛成する。今日に至るまで、誰一人

として愛の神に相応しい言葉で褒め讃える勇気を持った者はいないのだからね。それ程にこの強

力な神は完全に無視されているのだ。だから僕はパイドロスに感謝して一つの寄付を呈したい。

つまり、この場に参加している我々で愛の神を賛美するのは、大いに時宜に叶った事だと思うの

です。もし賛同が得られるなら、この場では会話以上に我々を夢中にさせてくれる物はないと思

うのです。僕の提案と言うのは、我々銘々が、左から右へ順番に、その神を賛美賞讃する最高

の言葉を表現するべきだというもの。そして、パイドロスから始めるべきだと言いたい。彼は最

も左側の席を占めているばかりではなく、そのそもがこの考えの創案者なのだからね」、「誰も

君の提案に反対する者はいないよ、エリキマカス。愛の神こそは僕が理解するただ一つの論題だ

から、此処にいる誰もが、アガトーン、パウサ二アス、それにディオニュソスとアフロディテに

しか関心のないアリストパネスでさえ、同意すると考えるのだ。勿論、最後に席を占めている者

には公平ではないけれど、最初の方の話者が素晴らしい話し方で論題を全て尽くしてしまったと

しても、構わないと思う。さあ、パイドロスから愛の賛美を始めよう、幸運があるように祈る

よ」と、ソクラテスが発言した。

 全員がソクラテスの意見に賛同して、パイドロスに始めるよう呼びかけた。アリストデモスは

各人が言ったことを正確には思い出さなかったし、僕も彼が僕に語った事柄を全部は思い出して

はいない。それでも記憶するに値すると思われる話の最も重要な点については、君に語ろうと思

う。

 前に述べた如く、アリストデモスはパイドロスから始めたと話したが、パイドロスは愛は偉大

な神であるという出発点を選んで論述をした。愛の神は人間や神々の間で多くの点で崇拝されて

いるとは述べたが、その出自に関しては何も言及しなかった。

 パイドロス曰く、その神は全ての存在する物の中でも最古の一つである、とするのが称えるべ

き内容のタイトルである。その証拠として自分は愛の神には両親がいない事を指摘したい。彼の

両親に言及した作家は散文にしろ、韻文にしろ、一人も居なかった。かの有名な「仕事と日々」

や「神統記(しんとうき)」の著者の偉大なる叙事詩人・ヘシオドスは次の如くに述べている。――

初めにカオスが生まれ、そして次に胸豊満なる大地が出現し、その堅固不抜なる基の上に創造が

開始された、同時に愛もが生じたのだ、と。「系譜学」を著したアキュシラオスもヘシオドスに

賛同して、カオスの後に大地と愛の二者が生じたのだと述べている。そしてかのパルメ二デスは

「万物は変化しない。永遠不変の存在である」とヘラクレイトスの「万物は変化する、永遠不変

の存在などない」と喝破した偉大なる天才に異を唱えたが、創造を述べるに際して、「創造は他

の神々に先んじて愛を生み出したのだ」と主張している。だから、愛の神の非常な古さに関して

は広く同意がなされている。





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最終更新日  2021年10月20日 17時40分02秒
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