草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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草加の爺(じじ)

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2022年01月07日
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「一つ一つ調べて見出した結論。私の魂はなお尋ね求めて見出さなかった。千人に一人という男

はいたが、千人に一人として、良い女は見出さなかった。ただし見よ、見出したことがある。神

は人間を真直ぐに造られたが、人間は複雑な考え方をしたがる、という事。〝 人の知恵は顔に

光を添え、固い顔も和らげる ”、賢者のように、この言葉の解釈が出来るのは誰か。それは私だ

だ、即ち、王の言葉を守れ、神に対する誓と同様に。  気短に王の前を立ち去ろうとするな。

不快なことに固執するな。王は望むままに振舞うのだから。  王の言った言葉が支配する。誰

も彼に指図する事は出来ない。命令に従っていれば、不快な目に遭うことはない。賢者は相応し

い時という事を心得ている。  何事にも相応しい時があるものだ。人間には災難の降り掛かる

ことが多いが、何事が起こるかを知ることはできない。どの様に起こるかも、誰が教えてくれよ



きない。戦争を免れる者もない。悪は、悪を行う者を逃れさせない。  私はこのような事を見

極め、太陽の下に起こることのすべてを熱心に考えた。今は、人間が人間を支配して、苦しみを

もたらすような時だ。だから私は、悪人が葬儀をしてもらうのも、聖なる場所に出入りするの

も、又、正しいことをした人が町で忘れ去られるのも見る。これまた、空しい。  悪事に対す

る条例が速やかに実施されないので、人は大胆に悪事を働く。罪を犯し、百度も悪事を働いてい

る者が、なお長生きしている。にもかかわらず、私には分かっている。神を畏れる人は、畏れる

からこそ幸福になり、悪人は神を畏れないから、長生きできず、影のようなもので、決して幸福

にはなれない。この地上には空しいことが起こる。善人でありながら、悪人の業の報いを受ける

者があり、悪人でありながら、善人の業の報いを受ける者がある。これまた空しいと私は言う。

それゆえ私は快楽を称える。太陽の下、人間にとって飲み食いし、楽しむ以上の幸福はない。そ

れは、太陽の下、神が彼に与える人生の日々の労苦に添えられたものなのだ。私は知恵を深め



察した。まことに太陽の下に起こるすべてのことを悟ることは、人間には出来ない。人間がどん

なに労苦し追求しても、悟ることはできず、賢者がそれを知ったと言おうとも、彼も悟っ

てはいない。 私は心を尽くして次のようなことを明らかにした。即ち、善人、賢人、そして彼

らの働きは神の手の中にある。愛も、憎しみも、人間は知らない。人間の前にあるすべてのこと

は、何事も同じで、同じひとつのことが善人にも悪人にも、良い人にも、清い人にも不浄な人に



誓を立てる人に起こることが、誓を恐れる人にも起こる。  太陽の下に起こるすべての中で、

最も悪いのは、誰にでも同じひとつのことが臨むこと、その上、生きている間、人の心は悪に満

ち、思いは狂っていて、その後は死ぬだけだということ。命あるもののうちに数えられてさえい

れば、まだ安心だ。犬でも生きていれば、死んだ獅子よりましだ。生きているものは、少なくと

も知っている、自分はやがて死ぬ、ということを。しかし、死者はもう何一つ知らない。彼らは

もう報いを受けることもなく、彼らの名は忘れられる。その愛も憎しみも、情熱も、既に消え失

せ、太陽の下に起こる事のどれひとつも、もう何のかかわりもない。  さあ、喜んであなたの

パンを食べ、気持ちよくあなたの酒を飲むが良い。あなたの業を神は受け入れて下さる。  ど

のような時も純白の衣を着て、頭には香油を絶やすな。  太陽の下、与えられた空しい人生の

日々、愛する妻と共に楽しく生きるが良い。それが太陽の下で労苦するあなたへの人生と労苦の

報いなのだ。  何によらず手をつけたことは熱心にするが良い。いつかは行かなければならな

いあの陰府には、仕事も企ても、知恵も知識も、もうないのだ。  太陽の下、再び私は見た。

足の速い者が競争に、強い者が戦いに必ず勝つとは言えない。知恵があるといってパンにありつ

くのでも、聡明だからといって富を得るのでも、知識があるといって好意をもたれるのでもな

い。時と機会は誰にでも臨むが、人間がその時を知らないだけだ。魚が運悪く網にかかったり、

鳥が罠にかかったりするように、人間も突然不運に見舞われ、罠にかかる。  私はまた太陽の

下に、知恵について次のような実例を見て、強い印象を受けた。  或る小さな町に僅かの住民

がいた。そこへ強大な王が攻めて来て包囲し、大きな攻城堡塁を築いた。その町に一人の貧しい

賢人がいて、知恵によって町を救った。しかし、貧しいこの人のことは、誰の口にも登らなかっ

た。それで、私は言った。知恵は力にまさると言うが、この貧しい人の知恵は侮られ、その言葉

は聞かれない。支配者が愚か者の中で叫ぶよりも、賢者の静かに説く言葉が聞かれるものだ。  

知恵は武器にまさる。一度の過ちは多くの善をそこなう。死んだ蠅は香油作りの香油を腐らせ、

臭くする。僅かな愚行は知恵や名誉より高くつく。賢者の心は右へ、愚者の心は左へ。愚者は道

行く時すら愚かで、誰にでも自分は愚者だと言いふらす。主人の気持があなたに対して昂ぶって

も、その場を離れるな。落ち着けば、大きな過ちも見逃してもらえる。  太陽の下に、災難な

ことがあるのを見た。君主の誤りで、愚者が甚だしく高められるかと思えば、金持が身を低くし

て座す。奴隷が馬に乗って行くかと思えば、君侯が奴隷のように徒歩で行く。落とし穴を掘る者

は自らそこに落ち、石垣を破る者は蛇に噛まれる。石を切り出す者は石に傷つき、木を割る者は

木の難に遭う。なまった斧を研いでおけば力が要らない。知恵を備えておけば利益がある。呪文

も唱えぬ先に蛇が噛み付けば、呪術師には何の利益もない。賢者の口の言葉は恵み。愚者の唇は

彼自身を呑み込む。愚者は戯言をもって口を開き、うわ言をもって口を閉ざす。愚者は口数が多

い。未来のことは誰にも分からない。死後どうなるのか誰が教えてくれよう。愚者は苦労してみ

たところで疲れるだけだ。都に行く道さえ知らないのだから。如何に不幸な事か、王が召使のよ

うで、役人らが朝から食い散らしている国よ。如何に幸いなことか、王が高貴な生まれで、役人

らがしかるべき時に食事し、決して酔わず、力に満ちている国よ。両手が垂れていれば家は漏

り、両腕が怠惰なら梁は落ちる。食事をするのは笑うため。酒は人生を楽しむ為。銀はすべて

に答えてくれる。親友に向かってすら王を呪うな。寝室ですら金持を呪うな。空の鳥がその声を

伝え、翼あるものがその言葉を告げる。  あなたのパンを水に浮かべるて流すがよい。月日が

経ってから、それを見出すだろう。七人と、八人とすら、分かち合っておけ、国にどのような禍

が起こるか、分かったものではない。天が雲に満ちれば、それは地に滴る。南風に倒されても北

風に倒されても、木はその倒れた所に横たわる。風向きを気にすれば種は蒔けない。雲行きを気

にすれば刈り入れは出来ない。妊婦の胎内で霊や骨組がどのようになるのかも分からないのに、

すべてのことを成し遂げられる神の業が分かるわけがない。  朝、種を蒔け、夜にも手を休め

るな。実を結ぶのはあれかこれか、それとも両方なのか、分からないのだから。光は快く、太陽

を見るのは楽しい。長生きし、喜びに満ちている時にも、暗い日も多くあろうことを忘れないよ

うに。何が来ようと全て空しい。若者よ、お前の若さを喜ぶが良い。青年時代を楽しく過ごせ。

心に叶う道を、目に映る所に従って行け。知っておくが良い、神はそれらすべてについて、お前

を裁きの座に連れて行かれると。心から悩みを去り、肉体から苦しみを除け。若さも青春も空し

い。青春の日々にこそ、お前の創造主に心を留めよ。苦しみの日々が来ないうちに。「年を重ね

ることに喜びはない」と言う年齢にならないうちに。太陽が闇に変わらないうちに。月や星の

光が失せないうちに。雨の後にまた雲が戻ってこないうちに。その日には、家を守る男も震え、

力ある男も身を屈める。粉を挽く女の数は減って行き、失われ、窓から眺める女の目は霞む。通

りでは門が閉ざされ、粉挽く音は止む。鳥の声に起き上がっても、歌の節は低くなる。人は高い

ところを恐れ、道には慄きがある。アーモンドの花は咲き、イナゴは重荷を負い、アビヨナは実

をつける。人は永遠の家へ去り、泣き手は町を巡る。白銀の糸は断たれ、黄金の鉢は砕けて落ち

る。塵は元の大地に帰り、霊は与え主である神に帰る。何と空しい事か、とコヘレトは言う。全

て空しい、と」コへレトは知恵を深めるにつれて、より良く民を教え、知識を与えた。多くの格

言を吟味し、研究し、編集した。コヘレトは望ましい語句を探し求め、真理の言葉を忠実に記録

しようとした。賢者の言葉は全て、突き棒や釘。ただひとりの牧者に由来し、収集家が編集し

た。それよりもなお、わが子よ、心せよ。書物はいくら記しても限がない。学びすぎれば体が疲

れる。すべてに耳を傾けて得た結論。「神を畏れ、その戒めを守れ」、これこそ人間の全て。神

は、善をも悪をも、一切の業を、隠れたこともすべて、裁きの座にひきだされるであろう。





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最終更新日  2022年01月07日 11時56分28秒
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