草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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2025年10月31日
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エドワード  ああ、いや、いや、全てが未完の儘さ。しかし君はまだ、どのようにしてセリアと知り合

うようになったか僕に話して呉れてはいないよ。

ピーター  僕は彼女にまた数日後に会った。或るコンサートで一人でいる所を。そして僕も一人だった

た。僕はいつもコンサートには一人で行っていたから。最初は、一緒に行く相手がなかったからだが、後

にはその方が好都合だと解ったからだ。が、セリアのような娘の場合はとても奇妙に感じた。新聞の社会

欄に載っている単なる名前としか彼女を思っていなかったので、その場所で彼女が一人切りでいるのを見

かけた時には。とにかく、我々は会話を始めた。そして彼女はコンサートには一人で行き、映画もそうし

て観ていたことを知った。そこで我々は同じようにしてしばしば会うようになった。そして時には一緒に

行くようになった。そしてセリアと一緒にいる事は、仲間を居たり、一人切りである状態とは違う何かだ



エドワード  そして、その跡で君を家族に紹介した、或いは、友達の誰かに。

ピーター  いいや。でも、一度か二度は家族や友人達の話をした。そして彼等の知的関心の無さについ

て触れた。

エドワード  そしてその後には何が起こったのかな。

ピーター  いいや、何事も…。しかし、彼女は実際に非常な興味を感じていると僕は思った。そして、

一緒にいるととても幸福を感じた。そう、満足だった、そして…、安らかさを。それを上手く表現できな

いけれど。僕はそれまでそんな静かな幸福感を想像すら出来なかった。僕はただ興奮して、無我夢中状態

でいただけだった。所有欲への欲望、彼女から受ける物はそうではまるでなかったのだ。それはとても奇

妙な何かだった。つまりは、…、非常な、静寂さだった。

エドワード  そして、この興味深い事態を何が邪魔をしたのだろうか。  (アレックスがシャツの袖を

捲り上げ、エプロンを掛けて姿を現した)



エドワード  カレー粉は置いていない、ラヴィーニアがカレーを嫌っているので。

アレックス  別のサプライズが出来るよ、それなら。思うにだが、マンゴウがあるとは想定していなか

ったからね。だけど、カレー粉だけは計算に入れていたのだ。 (退場する)

ピーター  それこそがまさに僕が知りたかったことなのだ。彼女は単に姿を消した、何か或る絵の中

に…、フィルム効果の様に。彼女は僕に会いたがらなくなった。口実をもうけて、非常に嘘っぽいそれだ



し得ないのだ。

エドワード  彼女は単純に君に対する興味をなくしたのではないだろうか。

ピーター  それは解釈が違っている。僕はそれを違った風に思う。僕が残念に思うのは、彼女が僕に興

味を失ったことではなくて…、我々が或る知覚を共有していると思われた瞬間・瞬間、ある種の感情、あ

る種の詞では規定できない経験、その中に我々二人が無意識に浸っているのだが、君の表現用語では、

多分、彼女は僕への興味を失った事。

エドワード  それは全部がごく普通の事だ。君は今、非常に幸運な見舞われている事実に気づきさえす



れば。しばらくすれば、これは当たり前な事態になってしまうだろう。他の事柄と同様に。熱が冷めれば

彼女は別の女性だったと知ることになるだろうさ。そして、君も別の男だったと。僕は君に祝福を送り

たい、よい潮時に生還できたことをね。

ピーター  僕は君の祝福の言葉などは御免を蒙りたいね。僕は誰かに話をしなければならなかった。そ

して僕は君にリアルなことについてずっと語ってきたわけだ、僕の最初の現実体験であり、多分最後の物

だが、君は理解しなかった。

エドワード  ねえ、君、ピーター。僕はただ、君とセリアに何が起こったのかを語って聞かせていただ

けだ。後、六か月経てば…。現実はこの通りだ。君は好きにすればよい、取るなり、捨てるなり。

ピーター  だが、僕は何をすればよいのかな。

エドワード  何もしなくてよい。待っている。カリフォルニアに戻り給え。

ピーター  でも、僕はセリアに会わなくてならない。

エドワード  それは同じセリアだろうか。君が記憶しているセリアで満足するのがよりよいのだ。忘れ

ないでいたまえ、もうすでに記憶なのだからね。

ピーター  でも、僕はセリアに会わなくては、彼女自身の言葉で、一体何が起こったのかを語ってもら

う為に。それを知るまでは、記憶でさえ真実なのか否か、解らない。こうした関心を実際に共有していた

のか、或る音楽を聴いていた際に実際に同じ感情を感じていたのか。或いは、ある映画を観ていたに…。

リアルな何物かが…、だが、現実とは何か…。 (電話のベルが鳴る) もしもし…、今は、話が出来な

い。そう、詰まりは…、それでは、こちらから電話するから、出来だけはやめにね。(ピーターに) 済ま

ない、話中だったね。

ピーター  僕は言っていた、現実とは何かと。非現実的な二人の間の経験に関する。もしその記憶を保

持できさえすれば、僕は未来に耐えられる。しかし、僕は過去について真実を知らなければいけない。s

の記憶の為にも。

エドワード  樟脳で包めるような記憶はないさ。だが、蛾が入り込むだろう。それで君はセリアに逢い

たいのだね。君が現在陥っているおバカな状態から君を守るべくこんな面倒な事をしなければならない理

由が分からない。君は僕にどうして欲しいのかね。

ピーター  僕の為にセリアに会って貰いたい。君はそれだけの年長者だからね。

エドワード  それだけの年長者だって…。

ピーター  そうだ、彼女は君の話なら聞くだろうと確信している。利害関係のない者としてね。

エドワード  それなら、僕はセリアに会おう。

ピーター  有難う、エドワード。御親切に有難う。 (アレックスが上着を着て、入って来る)

アレックス  ああ、エドワード。僕は素晴らしい御馳走を準備し終えたよ。僕は実際勝利の凱歌をあげ

たいよ。これは最高に素晴らしいぜ。無から何物かを作り出すのはね。アルバニアを旅行している時でも

お宅の冷蔵庫のあんな少ない材料で夕食をでっち挙げたことはなかった。だが、勿論、半ダースの卵を見

つけたのは幸運に過ぎたがね。

エドワード  なんだって、君が卵を全部使ってしまったのかね。ラヴィニアの叔母が田舎から送って来

たばかりだったのだ。

アレックス  ああ、それじゃあ、叔母は実在したのだね。物的な、証拠というわけだ。

エドワード  いや、いや、…、詰まりは、別の叔母なのさ。

アレックス  了解、実際の叔母だ。しかし、感謝し賜えよ。モンテネグロには、ほんの少数の百姓しか

いない、君がこれから食べる豪華な食事が出来るのは、今日ではね。

エドワード  しかし、朝食はどうしたらよいのかね。

アレックス  朝食の事は心配しないで。君が必要とするのは一杯のブラックコーヒーだからね。それ

と、少しの乾いたトーストがあれば足りるさ。僕はそれをぐつぐつさせたまにして置いたからね。もう十

分以上はそのままにしておかないように。もう僕は行くからね。ピーターを連れて行くよ。

ピーター  エドワード、僕は君の時間を大分邪魔してしまったようだ。しかも、君は一人でいたいと言

うのに。ラヴィニアが戻ったら、僕が宜しくと言っていたと伝えて呉れ給え。もしも、君が構わないな

ら、僕が言ったことは「彼女」には話さないで置いてくれないか。

エドワード  僕はラヴィニアには何も伝えるつもりはないからね。

ピーター  有難う、エドワード。お休み。

エドワード  お休み、ピーター。そしてさよなら、アレックス。ああ、そして面倒でなかったら、出た

後でドアをきちんと閉めてくれないか、錠が懸かる様にね。

エドワード  忘れないでくれ、十分以上は放置しないでくれたまえ。二十分も経過した、僕の仕事はお

じゃんになってしまう。  (ピーターとアレックスは退場)

      エドワードは受話器を取り上げて、ダイアルする。

エドワード  セリア・コプルストーン嬢はいますか、……、どのくらい前ですか…、いいえ、構いませ

ん。

            幕が降りる





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最終更新日  2025年10月31日 16時02分52秒
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