投資逍遥

投資逍遥

2005/08/28
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カテゴリ: 読書
1995年に発行されたこの本は、黒船襲来以降の日本経済における14件の事件を書かれています。
著者は、1949年東京生まれの経済学博士です。

今回の感想文は、1927年の金融恐慌から1932年の景気回復過程に入った頃のことを、 【この本からの引用】 【征野の感想】 という形で以下に書きます。

【この本からの引用】
「みんなが需要がなくて困っている。青息吐息なんだ。そういう時に、政府が緊縮緊縮、節約節約とお金を使わなかったら、ますますみんなが困る。どうせ持っているお金なら使え、ためこまないで使え、料亭へ行って遊ぶのでもいい」と彼は話しています。

【征野の感想】
これは、犬養内閣の蔵相だった高橋是清の言葉です。
「デフレの貧乏神」と一部で評された井上準之助前蔵相の次の蔵相のこの言葉、正反対の考え方に、まずは人間の面白さを感じます。

個人のレベルでは、日本では大多数の方が収入の範囲内で生活をされていると思いますし、このデフレ的な考え方が健全であると信じられていると思われます。

しかし、国レベルのことになると、そうはいかない。
何とも妙に思うし、もっと長い目で見れば、石油に代表されるように資源の枯渇や環境問題など、お金を使うことにともなう負の面は座視できない問題となっていると思われます。

話は高橋是清の時代に戻って、景気を良くするお金の使い方ですが、高橋のこの料亭で遊べという表現はわかりやすい例えではありますが、効果を考えると金を使わないよりはマシというところのようです。
では、どこに使えば効果的かというと、もっと波及効果の大きい重工業に投入するのが良いとのこと。
つまり、当時では軍備拡張が最も効果的に景気を回復する道であると。
実際、犬養内閣は軍備拡張路線を推進することによって景気回復を達成しました。

その後の歴史はよく知られていることです。
まあ、難しいものですね、ただ思うのは、いずれにせよ、金融緩和の後には緊縮の時代がきて、その後に金融緩和が繰り返されるのは間違いなさそうだということ。


【この本からの引用】
物価は、1929(昭和4)年から31年に綿糸が4割以上、生糸が5割以上、米が3割以上暴落しました。

【征野の感想】
デフレ政策を推進した浜口内閣は、1929年7月から31年12月までです。
この間に、綿糸、生糸、米が暴落したとのこと。

何やら、平成一桁時代のコピーのようです。

一度騰がったものを元に戻そうとする時に現われる悲劇は、私達も経験したり、見たり、聞いたりしています。
何ともドラマチックな時代に生まれ落ちたものですが、同じことが繰り返されるという経験則を思うと、この悲劇は今後も避けられないと思われます。

最後に至言で締めくくるならば、「歴史が繰り返すのではない。人間が同じことを繰り返すのだ」という歴史家の言葉を挙げたいと思います。








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Last updated  2005/08/28 10:03:17 AM
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征野三朗 @ Re[1]:12636アクセス/日 (新記録)(06/25) mkd5569さんへ おはようございます。 記…
mkd5569 @ Re:12636アクセス/日 (新記録)(06/25) おはようございます。 10000アクセス超お…
mkd5569 @ Re:征野ファンドの運用状況---対TOPIX、今週はまあまあ(06/22) こんにちは いつもありがとうございます。…

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