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アヘン生産の歴史
アヘン(阿片)は天然の植物成分で、麻薬と呼ばれる物質の中でもっとも広範囲に用いられ、人類の歴史に大きな影響を与えてきました。
アヘンはケシの実から採れます。ケシは現在は世界中に生えている植物で、日本の野山にも帰化植物であるアツミゲシなど普通に見られます。但しアヘン成分を含む種類を栽培することは禁じられています。
アヘンがいつ頃から利用されてきたのかははっきりわかりませんが、人類の文明のかなり早い時期からケシの栽培がおこなわれてきたことをうかがわせる、楔形文字の粘土板やレリーフがあるとされています。
メソポタミア、アッシリア、バビロニア、エジプトなどには、ケシの栽培やアヘンの利用を示唆する神話・伝説・書物が残っていますがいずれも確証はありません。
その一つの理由として原料の植物名が伝えられて否か、また昔の名前で伝えられているために、ケシの実かどうか確定できないことがあります。
紀元前 4 世紀~ 3 世紀、古代ギリシャにテオフラストスという人がいました。この人は有名な哲学者・科学者のアリストテレスの弟子です。
彼は、『植物誌』という薬用植物に関する書物を残した人ですが、この中にケシと思われる植物があり、汁を絞ることも書かれています。ですから少なくとも古代ギリシャでアヘンが用いられていたことは確かでしょう。それから2000年以上もアヘンの製造と流通が続いていることになります。
古代ローマ時代に入ると帝国内では皇帝から市民までアヘンに親しむようになります。ご賢帝の一人のマルクス・アウレリウス・アントニヌス帝はアヘンの常習者で、戦闘中に禁断症状になったことが記述されてています。 312 年にはローマ市内にあるアヘンを扱う店が 793 もあったことが記録に残されています。
ヨーロッパが修正に入り文系の中信がアラビアに映るとアヘンもアラビアに伝わりますが、アラビア医学ではアヘンを下痢止めの薬として使っていたようです。
舟さん遂行、アヘンは再びヨーロッパの記録に登場します。シェークスピアの「オセロ」にもアヘンと思われる薬品が描かれていますし、学名による動植物の分類を初めて体系づけたカール。フォン・リンネは、ケシの学名に「眠気を催す」というラテン語を採用しています。おそらくヨーロッパの人々はアヘンをアラビアから再輸入したのでしょう。
【脳内麻薬‐人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体】中野信子/幻冬舎新書
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