第2話 希望を聞くのと、丸投げは違う
翌日。
新人は、お客様へ希望の道を聞いた。
教わった通りに実践したはずだった。
ところが、お客様から少し嫌な顔をされたという。
「何て聞いたんだ?」
秋雄が尋ねた。
「どの道を通ればいいですか、と聞きました」
「それは、道案内を丸投げしただけだ」
「希望を聞けと言ったじゃないですか」
「希望を聞けとは言った。お客様に運転手をやらせろとは言ってない」
新人は黙った。
「ご希望のルートはありますか、と聞くんだ」
「同じことじゃないんですか?」
「違う」
お客様に希望があれば、その道を確認する。
特に希望がなければ、運転手が道を考える。
「お任せしますと言われたら、どうするんですか?」
「では、大通りを経由してまいります。そう伝えればいい」
「ナビ通りで行きます、ではダメですか?」
「ナビを参考にして決めるのはいい。だが、お客様へ説明するのは運転手だ」
お客様に希望を聞くのは、責任から逃げるためではない。
どの道を使うか、走り出す前に認識を合わせるためだ。
「希望を聞いて、最後は自分で決めるんですね」
「そうだ」
秋雄は言った。
「希望を聞くのと、道案内を丸投げするのは違う。運転するのは、お前なんだからな」
明日10:00に更新
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