第3話 道を知っているふりをするな
「知らない場所を言われた時は、どうすればいいんですか?」
新人が尋ねた。
「確認すればいい」
「でも、運転手なのに知らないと思われますよ」
「知ったふりをして、反対方向へ走るよりいいだろ」
新人は返事をしなかった。
行き先の名前を聞いたことはある。
しかし、正確な場所までは分からない。
そんな時、新人は黙ってナビを操作してしまう。
「何も言わずに画面を触り始めたら、お客様は不安になる」
「分かりません、と言えばいいんですか?」
「言い方がある」
秋雄は、お客様へ話すように言った。
「申し訳ありません。場所を正確に確認させてください」
続けて、ナビを操作するしぐさをした。
「こちらの施設で間違いないでしょうか」
「それなら、知らないとは言っていませんね」
「知らないことをごまかしてもいない」
目的地を正確に確認する。
ナビで場所を見る。
必要なら、お客様へ目印を聞く。
分からないまま発車するより、その場で確認した方がいい。
「確認するのは、恥ずかしいことじゃないんですね」
「確認しないで走る方が恥ずかしい」
秋雄は言った。
「道を知らないことより、知らない道を知っているふりして走る方が危ないんだよ」
明日10:00に更新
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