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その根拠は、何でしょうか。
私たちの 社会の矛盾、とりわけ「新自由主義」「市場原理主義」の矛盾が明らかに激化しており、それがはっきり目に見える形をとってきていることです 。
竹内芳郎は 、『国家と文明』 において「史的唯物論」の 「生産力-生産関係矛盾論」 を検討した結果、「生産様式(経済構造)の矛盾はただちに社会体制の変革につながらないこと」、「社会の変遷には周辺革命の傾向的法則性が働くこと」を明らかにしました。
しかし同時に、再構成によってこの理論(仮説)が無意味となるわけではなく、「 生産様式 (例えば市場原理主義的な資本主義経済) の矛盾 の解明は 社会変革の 「1、客観的可能性」や「2、変革の方向性」 の解明にはいまなお有効である、と述べています。
さて、社会変革の 「1、客観的可能性」 についてですが、しだいに 「自己責任論」を克服する方向へと現実が動きつつあるかに見える理由 をまず補っておきましょう。それは、「反貧困ネットワーク」をはじめとする多くの人々の活動・努力も背景に 「新自由主義」、「市場原理主義」の矛盾がはっきりと目に見えるようになってきた(可視化されてきた) ということです。
それは同時に、 日本社会の底にある現実(貧困など) やそれを克服しようとする取り組みが 、 多くの報道機関によって意識され、重要な問題として提起されるに至った 、ということでもあります。
湯浅誠は、次のように述べています。
転換点は、2006年度夏の NHKスペシャル「ワーキングプア」 および朝日新聞の一連の偽装請負報道だったことは間違いない。 「格差」という表現が一般化し 、それだけでは収まらない現実をどう提示するかという点で 、「貧困」は報道の表舞台に、おそらく高度経済成長期以後初めて、何十年ぶりかで復活してきた 。 〔『岩盤を穿つ』163頁〕
さらに、貧困が子どもたちに与えている深刻な影響については NHKスペシャル「しのびよる貧困 子どもを救えるか」 でも特集されました。
〔なお、 「ワーキング・プア」に関する紙屋さんの詳細な解説 はこちらです〕
このような報道や活動を背景として 「現実認識が変化」し、大きな矛盾と問題が現存することを人々が生活のなかで実感したからこそ「政権交代」も実現したのでしょう 。ただ、当然のことながら、今後の 「2、変革の方向性」 こそが問題にされなければなりません。
「 人間らしい労働と生活を確立することが『責任』だとされる社会にしなければならない 」、という湯浅誠の言葉を引くまでもなく、これまでないがしろにされてきた 「生存権」・「社会権」を確立していくことの必要性は、多くの論者や各種の報道機関にも意識されており 、 それが「北欧社会」への関心の高まりにつながっています 。
「しのびよる貧困 子どもを救えるか」では フィンランドの事例 が紹介されていましたが、 『週刊東洋経済』 や 『オルタ』 などを含め、色々なところで北欧の社会が紹介されています。
そして、北欧のように 「生存権」「社会権」がしっかりと確立されていくことは同時に「生産様式の矛盾(経済的矛盾)の克服」という観点からも有効である 、ということも多くの論者が指摘しているところです。( 『東洋経済1』 、 『東洋経済』2 )
Mr. Hot Cakeさんにご紹介いただいた経済学のブログ も興味深いです。
(竹内理論では、「 成熟した資本主義社会の周辺で、比較的短期間に生存権・社会権の確立に向けての合意形成と社会づくりに成功した北欧社会 」が、 EUのみならず日本においても有力なモデルとなっているのです 。)
しかしながら、 私たちが共有してきた文化(価値観) というのは、 成熟した「資本主義経済体制」(例えば「日本型資本主義」)を背景にして強固に形成されてきたものであること 、 それを変革し、さらにこの社会を変革していくことは、まさに「『岩盤を穿つ』ほど困難である(困難をなお残している)」 ということも正面から見据えることが必要でしょう。
「日本型資本主義」を基盤とする私たちの社会の矛盾は、何も最近になって初めて発生したわけではありません。
貧困問題は、現実には 高度経済成長期を通じて、日雇労働者やシングルマザーなどにおいて連綿と引き続いていたにもかかわらず 、「 一億総中流」の中で忘れ去られていた 〔『岩盤を穿つ』163頁〕という指摘も含めて、なぜ矛盾が矛盾として共有されてこなかったのか、ということを追求していくことが大切であると考えるのです。
『国家と文明』(まとめ3)へ 教育問題に関する特集も含めて
HPしょうのページ
に
(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)
労働分配率の改善(人間らしい労働・生活… 2010.07.10 コメント(20)
「北欧社会民主主義」と労働運動の課題 2010.07.03 コメント(6)
『国家と文明』 (まとめ3) 2010.06.02 コメント(2)