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2019年02月04日

「羊をめぐる冒険」読

カテゴリ：読書

「その小切手ぶんで借金は返せるかい？」
「お釣りがくるよ。でも・・・・・」
「どうだろう、そのぶんで僕と鼠をここの共同経営者にしてくれないかな？配当も利子もいらない。ただ名前だけでいいんだ」
「でもそれじゃ悪いよ」
「いいさ、そのかわり僕と鼠になにか困ったことが起きたらここに迎え入れてほしいんだ」
「これまでだってずっとそうして来たじゃないか」
（村上春樹さん「羊をめぐる冒険」Ｐ４０３）

デビュー作「風の歌を聴け」、「１９７３年のピンボール」と続く、「僕と鼠」シリーズの完結編です。たぶん、結果的に、ということだと思いますが。

「鼠」との別れが切ないです。ふるさと（ここでは「街」と表現されていますが）との決裂の書でもあると思います。この小説で、もう村上春樹さんは、独自のスタイルを確立しておられると感じました。
しかし、「羊男」、必要ですかね？

この次の長編が「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」で、ブローティガンの「愛のゆくえ」とそっくりやんか、とか思いながらも、僕はコンスタントな村上春樹さんの読者になっていくのでした。