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2007年09月24日
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テーマ: 吐息(401)
カテゴリ: Essay


 病院への道を急いでいると、とても嫌な臭いがした。
 まるで猫の糞をくっつけて歩いているような。
 どこまでもついてくる臭いの正体を確かめるように、鼻をくんくんひくつかせた。
 でも分からない。
 靴の裏を覗いたけれど何も踏んづけてはいなかった。
 病院の玄関を入ると、臭いは消えた。
 やっぱり気のせい?

 日の高い、土曜日の午後。

 やっぱり、あの嫌な臭いがつきまとった。
 ふと、足元に転がっているものに目が留まった。
 「あ、これだ」
 見上げると、街路樹の銀杏並木がどこまでも続いていた。
 黄葉の前の、薄黄緑の、その美しい枝葉を茂らせて。
 足元のそこら中に、正体は散らばっていた。
 こんなに美しいものが生産する、銀杏の実の前でわたしは少し途方にくれた。
 同時に、気付かないうちに季節は忘れないで巡っていることを、知らされた。

 少し前、長女が高熱に苦しんだ。
 扁桃炎と診断を受けて、しばし入院することになった。
 色んな問題が生じたけれど、ひとまず命に別状はなく、間もなく退院出来る。

 慌てふためいていた数日間は、ただ時間に追われていた。
 だから、銀杏の実の臭いにすら結びつかなかったのだ。
 余裕がなかったことが恥ずかしい気がした。

 しばし見上げた空の青の中に、銀杏の美しい薄黄緑色が映えている。
 なんだかまだまだ頑張れるぞ、と勇気が湧いてきた。









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最終更新日  2007年09月24日 11時46分04秒 コメント(2) | コメントを書く
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